ウィトラのつぶやき

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囲碁トップ棋士若年化の必然性を思う

2019-09-15 15:54:24 | 生活

現在、囲碁の名人戦の挑戦手合い7番勝負が行われており、39歳の張栩名人に19歳の若手、芝野虎丸八段が挑戦している。数年前なら名人に対して若手が勢いに任せてどこまで通用するかを興味深く見守る、というところだが、現在では、私は実力は挑戦者の芝野八段のほうが上で、7割くらい名人が入れ替わると思っている。第1局目で芝野八段が優勢な碁を逆転負けして、張栩名人がリードして「これで面白くなった」と思ったくらいである。

現在の日本の囲碁界に関しての感覚的なランキングでいうと、1位:井山裕太4冠(30歳)、2位:一力八段(22歳)、3位:芝野八段(19歳)で、それに続いて平成四天王と言われる山下、羽根、高尾、張栩名人など40代前半から30代後半の4人と20代の多数の若手がいる感じである。平成四天王は、徐々に力が落ちており、あと2-3年で日本のトップ棋士は井山氏に20代の棋士を加えた状況になると思う。ちなみに世界ランキングベスト10は1位申氏(韓国19歳)、2位柯氏(中国22歳)、3位朴氏(韓国)26歳、4位辜氏(中国21歳)、5位楊氏(中国20歳)、6位芈氏(中国23歳)、7位連氏(中国25歳)、8位江氏(中国27歳)、9位陳氏(中国29歳)、10位謝氏(中国21歳)である。ちなみに日本人トップは一力氏で60位である。世界では20歳代それも20歳代前半がピークという傾向にある。

囲碁のトップ棋士は個人の才能に負うところが大きいので、才能豊かな人が現れると若くしてトップに立つのでトップの平均年齢が下がり、しばらくはその人の高齢化とともに平均年齢が上がる。現在の井山4冠がそのような存在であり、将棋の世界では羽生九段がそのような存在だった。しかし、最近の中国や韓国の若い棋士の台頭と、トップ棋士でも30代に入ると勝てなくなる現象は個人の才能ではなく、年齢と能力の関係だと私は考えている。若いときは読みが深く、正確だが、年齢を重ねると経験によるノウハウが重なるので読みでは負けていても勝負には勝てる、というのがこれまでの状況だったのだが、最近は勉強方法が進化してきて若くてもノウハウを取得することができるようになり、経験よりもその時点での能力のほうがはるかに重要になったのが最近のトップ若年化の理由だと私は考えている。

ここでいう能力は「仮説と検証」の能力である。仮説は発想であり、検証は実行である。囲碁の読みとは自らで仮説を立てて読みによって検証し、一番良い打ち手を探すことである。セブンイレブンは仮説と検証を繰り返していることで有名であるが、仮説は頭で考えることができても検証には実作業が必要である。しかし、囲碁の場合には仮説(発想)も検証(読み)も頭の中で行うことができる。仮説と検証は別の能力だと思うが、どちらも20代がピークだと最近私は思うようになった。

こう考えた時に、日本の学生のナイーブさが私は気になっている。現在の日本の大学の研究室では準教授が研究の中心であり助教、博士課程の学生あたりが研究実行の中心になっている。修士の学生や学部3-4年生などはお手伝いという感じで扱われているし、本人たちもその意識で手応えは弱い。しかし、本来の能力からすれば、修士、博士の学生がもっとも高い研究能力を持っているはずである。学生の研究能力をもっと引き出す、教育システムがあり得るのではないかと最近は考えている。



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1 コメント

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研究の主力 (中田 登志之)
2019-09-16 11:27:48
私の研究室は,私の下がすぐ,修士2年なので,十分研究の中心を担っていますよ.
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