真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

HPは hide20.web.fc2.com
ツイッターは HAYASHISYUNREI

大日本帝国統治下の朝鮮における教育 NO1

2020年12月29日 | 国際・政治

 大日本帝国統治下の朝鮮において、日本はどのような教育政策を進めたのかを知るために、特に教育政策に関わる総督府令や訓令、通牒などの主なものを「続・現代史資料(10) 教育 御真影と教育勅語 3」(みすず書房)から抜萃しました。

 それらの資料から、”我カ皇祖皇宗國ヲ肇(ハジ)ムルコト宏遠ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ…”という、神話的国体観に基づく「教育勅語」(教育ニ関スル勅語)が、そのまま日本と異なる歴史を歩んできた朝鮮民族の教育に適用されたこと、そして「半島人ヲシテ忠良ナル皇国臣民タラシメル」ことを目的として、具体的な教育政策が進められたことがわかります。

 だからそれは、”日本と朝鮮が合邦し、清国と力を合わせて、欧米の侵略を防ぐ”ためのものではなかったと、私は思います。また、「一視同仁」や「内鮮一体」という当時のスローガンも、その内容は、朝鮮の人たちの歴史や伝統、言い換えれば、その民族性を無視して”一体化”しようとするものであったと思います。したがって、当時のスローガンを「朝鮮を差別待遇せず、内地と一体化しよう」とするものであったなどと、美化してはならないと思います。下記資料が、それを示していると思うのです。

 資料1は、いわゆる「御真影」と「教育勅語」謄本の扱いについて定めたものです。”特別ナル奉置所”を設けることや”清浄ナル場所”に納めること、”最尊重ニ奉置”することが定められ、それらを守るために、日本と同じように”職員ヲシテ宿直”させることが定められています。

 資料2は、朝鮮における休業日を、日本の皇室行事を中心としたものに改正する、というものです。すべて日本の休業日です。

 資料3は、朝鮮の教育は、日本と同じように”教育ハ教育ニ関スル勅語ノ旨趣ニ基キ忠良ナル国民ヲ育成スルコトヲ本義トス”と定めた”朝鮮教育令”です。

 資料4は、”朝鮮教育令の施行”について述べたものですが、”特ニ力ヲ徳性ノ涵養ト国語ノ普及トニ致シ以テ帝国臣民タルノ資質ト品性トヲ具ヘシメムコトヲ要ス”とあることで分かるように、日本の政策に抵抗することなく素直に従い、日本語を使うことを求めているのだと思います。

 資料5は、日本の「教育勅語」が、朝鮮に下されたこと、したがって、「教育勅語」謄本を頒布することを伝え、”聖旨ニ奉答”することを求める文書です。

 資料6は、文字どおり”教員心得”ですが、第一条の”忠孝ヲ本トシ徳性ヲ涵養スヘシ”などというところその他に、戦うための教育を進めようとする意図が読み取れるのではないかと思います。

資料1ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

                 七 八紘一宇への途

                

  (一)朝鮮

    一 

 御影並勅語謄本奉置心得 明治四十二年四月 韓国統監府訓令第十四号

 

第一条 御影ハ学校内ニ特別ナル奉置所ヲ設ケ若ハ校舎内清浄ナル場所ヲ選ヒ一室又ハ一区域ヲ設ケ唐櫃(カラウト)等ニ納メ最尊重ニ奉置スヘシ

学校ニ適切ナル場所ナキトキハ理事庁民団役所等ニ於テ前項ニ準シ奉置スルコトヲ得

第二条 勅語謄本ハ 御影ト共ニ奉置所ニ奉置スヘシ

勅語謄本ノミヲ下付セラレタル学校ニアリテハ校舎内ノ最清浄ナル場所若ハ職員室内ノ高所ニ尊重ニ奉置スヘシ

第三条 御影並 勅語謄本ヲ奉置セル学校ニ在利テハ職員ヲシテ宿直セシムヘシ

勅語謄本ノミ奉置セル学校ニ於テモ亦同シ

学校内ニ教員住宅ノ設アリテ管守ヲ欠カサルモノハ特ニ宿直ヲ置クコトヲ要セス

第四条 非常変災ノ為予メ奉遷所ヲ定メ置クヘシ

第五条 御影並 勅語謄本ハ儀式ヲ挙行スル場合ノ外他ニ仮用セシムルコトヲ得ス

第六条 御影並 勅語謄本奉置ノ学校ニシテ廃校シタル場合ハ御影並 勅語謄本ヲ返納スヘシ

資料2ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

   

 教育関係諸法令中休業日改正ノ件  明治四十三年十月一日 朝鮮総督府令第二十号

 

 隆熙三年学部令第六号……国語学校令施行規則第十一条中休業日ヲ左ノ通改正ス

 一 四方拝

 一 元始祭

 一 孝明天皇祭

 一 紀元節

 一 神武天皇祭

 一 神嘗祭

 一 天長節

 一 新嘗祭

 一 春季皇霊祭

 一 秋季皇霊祭

 一 日曜日

 一 春季休業

 一 夏期休業

 一 冬季休業

附則

 本令ハ公布ノ日ヨリ施行ス

資料3ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 朝鮮教育令〔抄〕 明治四十四年八月二十四日 勅令第二百二十九号

 

 朝鮮教育令

第一章 綱領

第一条 朝鮮ニ於ケル朝鮮人ノ教育ハ本令ニ依ル

第二条 教育ハ教育ニ関スル勅語ノ旨趣ニ基キ忠良ナル国民ヲ育成スルコトヲ本義トス

第三条 教育ハ時勢及民度ニ適合セシムルコトヲ期スヘシ

第四条 教育ハ之ヲ大別シテ普通教育、実業教育及専門教育トス

第五条 普通教育ハ普通ノ知識技能ヲ授ケ特ニ国民タルノ性格ヲ涵養シ国語ヲ普及スルコトヲ目的トス

第六条 実業教育ハ農業、商業、工業等ニ関スル知識技能ヲ授クルコトヲ目的トス 

第七条 専門教育ハ高等ノ学術技芸ヲ授クルコトヲ目的トス

 〔以下略〕

資料4ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

     

  朝鮮教育令の施行について朝鮮総督の論告  明治四十四年十一月一日

 

本総督曩ニ大命ヲ奉シ朝鮮統轄ノ任ニ膺(アタ)ルヤ首トシテ施政ノ綱領ヲ示シ教育ノ要義ニ付亦論ス所アリタリ今ヤ朝鮮教育令公布セラレ茲ニ之カ施行ニ際シ更ニ教育ノ方針ト施設ノ要項トヲ明カニシ以テ率由(ソツユウ)スル所ヲ知ラシム

帝国教育ノ大本ハ夙ニ教育ニ関スル 勅語ニ明示セラルル所之ヲ国体ニ原(タズ)ネ之ヲ歴史ニ徴シ確乎トシテ動カスヘカラス朝鮮教育ノ本義亦此ニ在リ

惟フニ朝鮮ハ未タ内地ト事情ノ同シカラサルモノアリ是ヲ以テ其ノ教育ハ特ニ力ヲ徳性ノ涵養ト国語ノ普及トニ致シ以テ帝国臣民タルノ資質ト品性トヲ具ヘシメムコトヲ要ス若夫レ空理ヲ談シテ実行ニ疎リ勤労ヲ厭ヒテ安逸ニ流レ質実敦厚(トンコウ)ノ美俗ヲ捨テテ軽佻浮薄ノ悪風ニ陥ルカ如キコトアラムカ啻(タダ)ニ教育ノ本旨ニ背クノミナラス終ニ一身ヲ誤リ累を家国ニ及ホスニ至ルヘシ故ニ之カ実施ニ関シテハ須ク時勢ト民度トニ適応シ以テ良善ノ効果ヲ収メムコトヲ努ムヘシ

 

朝鮮ノ教育ハ之ヲ大別シテ普通教育、実業教育及専門教育トス普通教育ハ国語ヲ教ヘ徳育ヲ施シ以テ国民タルノ性格ヲ養成シ並生活ニ須要ナル知識技能ヲ授クルヲ本旨トシ女子ノ教育ニ於テハ特ニ貞淑温良ノ徳ヲ涵養スルヲ要ス実業教育ハ実業ニ関スル知識技能ヲ授ケ兼ネテ勤労ノ慣習ヲ馴到セムコトヲ期シ専門教育ニ至リテハ高等ノ学芸ヲ授ケ之ニ堪能ナル者ヲ育成スルヲ目的トス私立学校ノ教育モ亦法令ニ準拠シ帝国教育ノ本旨ニ戻ルヘカアラサルハ固ヨリ其ノ所ニシテ之カ提撕(テイセイ)誘導ヲ要スル頗ル切ナルモノナリ又信教ハ各人ノ自由ナリト雖帝国ノ学政ニ於テハ夙ニ国民ノ教育ヲシテ宗教ノ外ニ立タシムルヲ主義トス故ニ官立公立学校ハ勿論特ニ法令ヲ以テ学科課程ヲ規定シタル学校ニ於テハ宗教上ノ教育ヲ施シ又ハ其ノ儀式ヲ行フコトヲ許ササルヘシ当事者須ラク此ノ旨趣ヲ体シ子弟教育ノ針路ヲ誤ルナキコトヲ期スヘシ

抑朝鮮カ帝国ノ隆運ニ伴ヒ其ノ慶福ヲ全ウスルハ実ニ後進ノ教育ニ俟タサルヘカラス朝鮮ノ民衆善ク此ニ留意シ各自其ノ分ニ応シ子弟ヲシテ適当ノ教育ヲ受ケ盛徳達材ノ途ニ就カシムヘシ斯ノ如クニシテ始テ朝鮮ノ民衆ハ我カ

皇上一視同仁ノ鴻恩ニ俗シ一身一家ノ福利ヲ享受シ人文ノ発展ニ貢献シ以テ帝国臣民タルノ実ヲ挙クルコトヲ得ム 

資料5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

     八

  教育勅語謄本ノ頒布ニツイテ朝鮮総督訓令  明治四十四年一月四日 朝鮮総督府訓令第一号

謹テ惟フニ我カ

天皇陛下夙ニ臣民ノ教育ニ軫念シタマヒ曩ニ教育ニ関スル 勅語ヲ宣セラレ今又之ヲ朝鮮ニ下シ賜フ是レ帝国教育ノ本義ヲ明ニシ一視同仁民衆ヲ子愛シタマフ 聖旨ニ外ナラサルナリ正毅 勅語ヲ拝戴シテ感激ノ至ニ堪ヘス謹テ其ノ謄本ヲ作リ管内ノ学校ニ頒ツ苟モ教育ノ職ニ在ル者ハ常ニ之ヲ奉体シテ生徒ノ薫陶ニ努眼殊ニ学校ノ式日ニハ恭シク之ヲ奉読シ生徒ヲシテ夙夜服膺セシメ以テ教化ノ実ヲ挙ケ 聖旨ニ奉答セムコトヲ期スヘシ

 

  朕惟(オモ)フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇(ハジ)ムルコト宏遠ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世々厥(ソ)ノ美ヲ濟(ナ)セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ敎育ノ淵源亦實ニ此(ココ)ニ存ス爾(ナンヂ)臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己(オノ)レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ德器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵(シタガ)ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ是(カク)ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾?先ノ遺風ヲ顕彰スルニ足ラン

()ノ道ハ実ニ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶(トモ)ニ遵守スベキ所之ヲ古今ニ通シテ謬(アヤマ)ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕爾臣民ト倶(トモ)ニ拳々服膺シテ咸(ミナ)其德ヲ一ニセンコトヲ庶幾(コヒネガ)フ

    明治二十三年十月三十日

 

朕曩ニ教育ニ関シ宣諭スルトコロ今茲ニ朝鮮総督ニ下付ス

    明治四十四年十月二十四日

  御名御璽 

資料6ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    十二

教員心得〔抄〕  大正五年一月四日 朝鮮総督府訓令第二号

 

 教員心得左ノ通定ム

    教員心得

帝国教育ノ本旨ハ夙ニ教育ニ関スル 勅語ニ明示セラルル所其ノ内地人ニ対スルト朝鮮人ニ対スルトヲ問ハス均シク 聖慮ニ基キ忠良ナル国民ヲ育成セサルヘカラス蓋シ我カ帝国ハ開闢以来万世一系君臣一体世界ニ比類ナキ国体ヲ有ス故ニ帝国臣民タルモノハ協心戮力祖先ノ美風ヲ継承シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼セサルヘカラス是レ実ニ教育ノ大本ニシテ又国家カ特ニ教育ヲ布ク所以ナリ故ニ教育ノ任ニ当タル者ハ常ニ国民教育ノ大本ニ思ヲ致シ特ニ左ノ三箇条ニ留意シテ努力奮励セムコトヲ要ス

 

第一条 忠孝ヲ本トシ徳性ヲ涵養スヘシ

忠孝ハ人倫ノ大本ニシテ臣子ノ至情ニ出ツ此大本ニ基キ此ノ至情ニ出テテ始メテ百行其ノ軌ヲ謬ラサルヲ得ヘシ忠誠孝順能ク臣子ノ本分ヲ知ルモノハ日常其ノ業ヲ執ルコト忠実ニ其ノ産ヲ治ムルコト勤倹ニ以テ身ヲ立テ世ニ処シ国運ノ発展ニ貢献スルノ人タルヲ得ヘシ故ニ教育ノ任ニ当ルモノハ忠孝ヲ本トシテ徳性ヲ涵養シ以テ帝国ノ臣民トシテ其ノ本分ヲ完ウシ得ルノ人物ヲ教養セムコトヲ期スヘシ

 

第二条実用ヲ旨トシテ知識技能ヲ教授スヘシ

教育ノ要ハ実用的人材ヲ育成シ国家ノ需要ニ応セシメンムトスルニ在リ若シ国民ニシテ徒ラニ空論ニ走リテ世用ニ遠サカリ勤労ヲ厭ヒテ実行ヲ忽(ユルガセ)ニスルカ如キコトアラハ何ソ能ク身ヲ立テ産ヲ興シ国益ヲ増進シ以テ其ノ本分ヲ完ウスルコトヲ得ムヤ故ニ教育ノ任ニ当タル者ハ須ラク利用厚生ノ道ニ着眼シ有用ナル智能ノ啓沃(ケイヨク)ニ務メ以テ国家ノ需要ニ適応スル実用的人材ヲ育成セムコトヲ期スヘシ

 

第三条 強健ナル身体ヲ育成スヘシ

凡百ノ事業ヲ遂行スルニハ強健ナル体力ヲ要シ国家ノ富強モ亦強健ナル国民ノ努力ニ待ツコト大ナリ身体羸弱(ルイジャク)ニシテ用ニ耐ヘスムハ何ソ能ク世ニ処シ業ニ服シ以テ帝国ノ進運ニ貢献スルコトヲ得ムヤ故ニ教育ノ任ニ当ル者此ニ留意シ強健ナル国民ヲ育成セムコトヲ期スヘシ

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする