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山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

山岡荘八『徳川家康』第1巻を読む

2023年08月21日 | 作品・作家評

8月中の業務・仕事を終えて、気分転換にと手にしたのは、山岡荘八の『徳川家康』第1巻。
この作品、世界最長の小説で、全26巻ある。

なので私も多くの人と同様、第1巻を開くことに並々ならぬ勇気・覚悟を要した。
もちろん、一旦読み始めたら、いつ終わるかわからない話に延々と付き合っていかねばならないから。
本作品は新聞小説だったこともあり、著者が書き上げるまでに18年を要したという(第1巻あとがきより)。

こういう常軌を逸した大長編は、日常生活下ではなく、長期入院用にふさわしい。
それ用にまずは中里介山の『大菩薩峠』が候補だったが、せっかく長期間付き合うなら、架空の剣豪ではなく、日本史上最大の傑物たる徳川家康の方がいい。

ただ文庫本でも26冊揃えるのは場所を取りすぎ(幾度も読む本なら本棚にしまう価値があるが、この小説は一生で2回は読めない)。
この理由だけで、この作品を読まないことを正当化できたが、今では電子書籍になっているので、この理由は使えなくなった。
それに、この世界最長の大長編を読んだとすれば、それだけで人生の思い出になり、他人に自慢もできる(暇人と呆れられるかも)。
という幾つかの理由もあって、とりあえず第1巻だけ、電子書籍で購入していたのだ。

読んでみた第1巻は、主人公の”前史”にあたる父母の時代の話が中心だった(主人公も誕生するが、まだまともに喋れない)。
特に家康の母である於大の方(おだいのかた)が主人公扱いで、これは私にとっては嬉しかった。
数ある戦国武将の中で、その母親に存在感があるのは珍しい(今川義元の母は別格)
しかも家康を産んでまもなく離縁されて、我が子との関係が一旦は断たれる。
その不幸な顛末がこの巻の主な内容だ。

ということでそれなりに満足して第1巻を読み終えたが、問題は第2巻に進むかどうか。
歴史小説として、登場人物の内面なども描かれていて、その点は”文学”として読みでがあるが、一方で史実でない人物を登場させるなどのフィクション性があるので、”歴史”を味わうには不要な部分がある(これは他の作家作品でも同じ)。

煎じ詰めれば、学術書と違って、小説を読むのは”暇つぶし”だ。
長大な時間を費やすことがわかっている1つの暇つぶしに取り掛かるのは、今の時点でも勇気・覚悟がいる。
そもそも研究者として現役のつもりなので、読むべき学術書だけで目白押しで、気分転換こそあれ、つぶすべき”暇”などない(はず)。
今回の気分転換もこの1冊分で終わる。
でも人生で1回経験できるかどうかの挑戦の機会でもあるし…
まだ迷っている。

後日追記:1巻を読み終えた段階で、2巻に手を伸ばしたくなったが、26巻まで手を伸ばし続けるには、時期が熟していない。長期入院という機会も訪れる保証はないので、とりあえず定年退職後という機会を待つことにした。


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