今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

熱海に泊まり伊豆山に行く

2024年03月19日 | 

職場の大学の卒業式も終わって春休みに入ったので、年度末の慰労に、昨年行った熱海のホテル大野屋に泊まった。

ここは安宿チェーンの伊東園系列ホテルなので、宿代が安く・夕食は食べ放題に飲み放題がつく。
昨今の情勢に応じた値上げをしていないのが嬉しい。

ただいくら安くても、部屋や料理が貧乏臭くて気にくわなければ利用しないが、
この宿を再訪したということは、”気に入った”ことになるのかもしれない。

まず、最安値のシングル部屋(そこしか空きがなかった)は、ベッドの足元の壁面にテレビが掛かっている作りで、
ビジネスホテルの”狭めのシングル”だと思えば我慢できる。
少なくとも、部屋の作りは新しい(特に洗面所・トイレ)ので不快でない。
そもそもここの宿の売りは客室の居住性ではなく、籠っての原稿執筆が目的ではないから、寝れればいい。
そうそう、昨年と違って、今年は客室にWi-Fiがつながっていた。

料理は、昨年の記事にあるように「伊東園の中ではいい方」という評判。
少なくとも、同じ系列で「次回はない」と思った宿のレベルではない。

元々安宿チェーンのバイキングに豪勢さは期待していない。
平凡な料理でも、自分の好みであれば喜んで食べる。
実際、マグロの刺身、えび天とエビフライ、牛の焼き肉、浜松餃子、タケノコの煮物、
五目煮、それに小皿のフェットチーネ(具・ソースは3種類から選択)を堪能した。

嬉しいのは飲み放題で(他の安宿チェーンはここまでやらない)、ワインや日本酒・焼酎などがある中、
バイキングでガツガツ食べ・グイグイ飲むならやはりビールが合う。

そして風呂。
大野屋ならではの売りは巨大なローマ風呂だが、男女入れ替えのため、
4回の入浴のうち寝る前の1回しか入れないのは残念(早起きすればもう1回入れるが)。
いくつかある貸切風呂は、予約なしで空いていたら入れて、そこは唯一源泉掛け流しで、
ここの源泉本来の濃さ(高張性!)を堪能できた
(この濃さを堪能しないとここに泊まる意味がない。同じ熱海でも宿で泉質が異なる)。
この他に、真鶴岬を眺めながら入れる露天風呂もあるが、湯はぬるめで薄い(加水)。
ローマ風呂は露天より濃いが源泉よりは薄い。

以上を堪能して、1万円でお釣りが来る(しかも2ヶ月以内利用で1000円の割引券をくれる)
諸物価高騰の折り、高張性の温泉+飲み放題付きでこの値段は貴重。

客層は、この宿だけでなく熱海全体で、若い学生グループ(男女別)が目立った
(私が学生の頃は、「温泉なんて年寄りの行く所だろ」って思ってた)


さて今回は、チェックアウト後、熱海温泉街の北に隣接する伊豆山を訪れることにした。

熱海は小学校の頃から家族旅行で”通って”きたが、伊豆山にはついぞ足を運ばなかった
(下に記すように石段がきつく家族向きではない)。
歴史に興味があって初めて伊豆山に関心をもつことになった。
そう思っている間に、2021年7月、あの土砂災害(土石流)が発生。→記事

しばらく行くことがためらわれた(実際、現地では興味本位で立ち入らないでほしいという看板がある)。

伊東園の送迎バスで熱海駅に着いて、そのまま路線バスのターミナルに行き伊豆山神社にを通る4番で待つ。

伊豆山は、独立した山ではなく、山の急斜面なのだが、
※:急斜面で土石流が作った地形。本来的には人が住むには向かない。
地面に湧出してる温泉(走り湯)で、歴史的にも熱海より古く、
宗教的にも箱根・三島と並ぶ格の高い神社(元は”権現”で神仏習合)であり、
関八州(伊豆も関東)の総鎮護とされてきた。
熱海温泉は、ここの参詣の湯治場として発展したのだという。

そもそも”伊豆”の名は、ここ伊豆山(寺の山号?)が発祥という。
ということで、伊豆の玄関・熱海に行ったらむしろ最初に訪れるに値する所だ(特に関東人は)。

熱海から乗ったバスは急勾配の細い道を唸りながら登り、
そして道が水平になって山ひだを進むと、あの土石流の現場(再建中)を通過し、
その少し過ぎたひだの峰の所が伊豆山神社のバス停。

ここから170段あまりの参道の石段を登って(この石段の登りがこたえた)、
途中、役小角(えんのおづぬ)の木像(写真)がある堂を見て、
伊豆山神社がある広場に着く。
※:修験道の行場であったことがわかる。
ここから初島・大島、伊東の小室山などが見渡せる。

境内には、源頼朝と北条政子が逢瀬(デート)で座った岩(ちょうど2人がけの椅子状態)があり、ハート型❤️のオブジェもあって今では、修験道ではなく縁結びの霊験の地となっているらしい。

社殿の奥に郷土資料館👍があり、鎌倉時代の精巧な銅製の神像などが展示されている。

社殿のずっと山の上に本宮があるのだが、片道40分の登りなのでそれは諦め(十国峠・岩戸山からの下りに使える)
むしろここから参道の石段を海岸まで降りて(837段!)走り湯に向かう。

走り湯は、海岸近くの洞窟内に湧出している横穴式源泉(写真が入口:入浴はできない)。
でも「走り湯」という名称から、以前はもっと高所に湧出して、急斜面を走るように流れていたのではないかと思ったら、
走り湯の説明でそれが正解だった(今は送湯管で再現しているとのこと)。
そういう神秘的な自然現象こそ、本来の御神体に値する。

石段とは別の道で斜面を上がって娘・大姫の延命祈願として母政子が建立した逢初(あいぞめ)地蔵を見て、(土砂が流れた)逢初橋からバスで熱海に戻る。

かように、熱海の周辺部は頼朝・北条氏にまつわる史跡・伝説が豊富。
温泉で泊まる以外にもこうした訪問先が豊富なのも熱海の強み。

ちなみに、帰宅後、地元スーパーの階段を降りる時、左脚の腸脛靭帯が痛んだ。
837段の下りが響いたか。