今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

慰労の熱海温泉

2023年02月19日 | 

1月半ばからスタートした年度末の”慰労”温泉シリーズ。
要するに、後期授業終了・成績つけ・入試と次々にやってくる年度末の業務を乗り越えるごとに、慰労の温泉旅をしているわけで、今回は第三弾・熱海温泉だ。

熱海ということで出発地は東京。
すなわち、年度末の業務もほとんど終わって実質的に春休みに入っているのだ。

例年ならこの時期は、勤務先関係の共済の湯河原あたりの宿を利用するのだが、今年は連日満室。
次候補の「休暇村」なども満室でしかも強気な料金設定。

温泉は「アルカリ単純泉」を除外しており、熱海なら「ナトリウム塩化物泉」なので合格(熱海にもアルカリ単純泉の宿があるので注意)
※:成分が薄く自宅の入浴剤入りの風呂と同じレベルなのでありがたい効能はない。各地の”日帰り温泉”はほとんどこれ。なぜなら、成分がなくても水温が25℃以上ならば温泉法上「温泉」と認定されるから。実は「アルカリ単純泉」は有名な温泉地にも多く、客はそれなりにありがたがっている。東京の近場では箱根湯本温泉も該当。

宿が取れたのは、安宿チェーンの伊東園系列のホテル大野屋
ここは”ローマ風呂”で名を馳せた所。
安宿チェーンは一般的にバイキングの質が不満だが、ネットのコメントによると「伊東園の中ではいい方」とのこと。

せっかく熱海なら、バブリーな名残も味わいたいので、この宿の空き部屋の最後に残った「眺望なしのシングルルーム」に予約のボタンを押した(安宿チェーンの中にもコロナ後は強気の料金設定になって”安宿”でなくなっているチェーンがある中、伊東園の宿は安宿チェーンの意地を貫いて万札1枚でお釣りがくる)

安宿チェーンの宿は、昔の団体旅行ブームを当てこんで増築した状態を残しており、規模(容積)はやたらでかい。
このホテルもかつての団体向けから個人旅行に対応すべく、客室階にある掃除用具の倉庫を「眺望なしのシングルルーム」にしたので、一人客もok(割増無し)となっている。
こちらも安宿チェーンに居住性や旅情は期待しておらず、温泉とバイキングが満足できればよい。

まず夕食のバイキングだが、ここは”鯛の寿司”の特集をやるなど、ガッカリ感に落とさずワクワク感を与えている。
鯛以外にも普通の刺身類も多く、また同じ静岡県ということで浜松餃子があったのは餃子好きには嬉しい。
こうして食べ物レベルが合格圏内になると、伊東園のアドバンテージである追加料金なしの「飲み放題」が俄然輝いてくる。
ビール(スーパードライ)・ワイン・酎ハイ・日本酒(地酒)が追加料金なして飲み放題ということで、客層もこれを当てにした中高年男性グループの比率が多い。
もっとも安宿チェーン客に比較的目につく”訳あり家族”もそれなりにいて、私の隣席では、母親同士が姉妹の母子2人の2組だった。

次に風呂については、売りにしているローマ風呂は男女入れ替え制で、男は夕食後〜早朝までなので、1泊で4回入る私にとっては寝る前の1回しか入れない。
それ以外に露天と内風呂があるが、宿の規模の割には小さめで、こちらはハズレ感がする(この宿の温泉は貴重な”高張性で、成分が皮膚から浸透するので入り甲斐はある)。
※:成分の濃度が非常に高く、浸透圧が高いので、成分がどんどん皮膚から浸透する。日本のほとんどの温泉はこの逆の”低張性”で、1日程度の入浴では成分の効果は出ない。

だが、ローマ風呂は、さすがの広さで、円形の湯船の直径が大きすぎて、誰も湯船の中央に達しない。
もちろん、浴室内はローマ帝国の大浴場を模していて、しかも私が入った時は大柄な外国人が数人湯船に浸かっていて、実にテルマエ・ロマエ!という雰囲気を味わえた(これが1回しか味わえないのが残念)。

「眺望なしのシングルルーム」の客室については、寝れればいいので何も言うまい。
トイレが立派な洗浄機付きだったので、文句はない。
ただし フリーWiFiが1-2階(ロビーと食堂)のみで、客室では通じないのは不便だった。

そういえば、旅行割も該当するので、元々安い宿代がさらに2割ほど割引され、また2000円分のクーポンもついたので、いつもより高めの土産を買った。

翌朝、朝のバイキング(朝はどこもほとんど同じ)はやや控え目にし、このまま東京に直帰してもつまらないので、遊覧船に乗ることにした(1300円)。
旅先に船の航路があれば、陸上では得られない景色を味わえるから、できるだけ乗るようにしている。

考えてみれば、熱海からは初島や大島に船便があり、バスでは十国峠で富士を間近に見ることもできる。
そういう意味で観光地拠点としての熱海を見直す。

遊覧船の乗り場は、宿から歩いてすぐで、宿でもらった100円引きのパンフを差し出す。
乗船前に、乗客全員に救命胴衣が配られ、装着すると知床遊覧船事故を思い出して気が引き締まる。

乗船して、出発前に船の下の階に降りると、窓から魚が見れる(写真:船内の図鑑によると小さい群れがスズメ鯛、大きいのがメジナ?)。
こういう経験も陸上では得られない。

船が動き出すと、港にいたカモメが一緒についてくる。
目の前でカモメが等速度で羽ばたいているので、静止状態での飛ぶ姿を見れる。

海上から熱海を見返すと、ホテル群が海岸に連なっていて、確かにハワイのビーチの風景を連想させる(写真)。
その中で昔からある熱海城が孤然と日本的風景を演出している。

乗船場から海岸沿いに歩いて、昔は有名だった”お宮の松”を見て熱海駅に達した。
※:明治時代の作家尾崎紅葉の「金色夜叉」が熱海を一躍観光地にさせた。小説中の寛一が熱海の海岸でお宮を足蹴にするシーンが銅像となっている。小学生から熱海を訪れていた私は、そのいわれを知らず、この銅像を模した土産のこけしを見て、男性が女性を虐待している姿を平然と土産物になっていることを不思議に思った。

いそがないので、小田原で小田急の急行に乗り換えて、30分余計にかかるが500円安くして帰った。
実に安上がりな旅だった。

熱海は、確かに一時期は深刻な危機を迎えたものの、アルカリ単純泉でない療養泉の温泉場としての価値があり(箱根湯本や伊豆長岡とここが違う)、あちこち巡る観光拠点としての価値もあり(1駅分東京に近い湯河原とここが違う)、それでいて東京からのアプローチもよく(伊東とここが違う)、またこれら周囲全ての温泉地と比べて個性的な宿も多くて選択肢も広いことから、温泉旅の候補地としてやはり抜きん出ていることを再認識した(実は小学生の頃から熱海が好きだった)。


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