トルコ・シリア地震はM7.8と7.5が続いて起き、いずれも同じ内陸活断層型の兵庫県南部地震(1995年)・熊本地震(2016年)のM7.3を上回る強さだ。
これほど強い地震が日本の内陸で発生するかというと、発生する(した)。
1891年10月28日に発生した濃尾地震は M8.0と国内の内陸地震で最大の強さだった。
濃尾地震の名が示す通り、被害は濃尾平野を擁する美濃(岐阜県)と尾張(愛知県)にまたがり死者7223名。
当時の新聞は「身の終わり」と記した。
震源に近い岐阜県西濃にある根尾谷に断層の跡が当時の畦道の段差として残って(保存されて)いる。
活断層による直下型地震が懸念されているのは、東京湾北部を震源とする首都直下型地震が有名だが※、それを受けて東京都は防災対策を進めた結果、想定死者が11000人から6100人にまで減少している(もっとも都内に実家のある私は都内の震源予想地付近には近寄らないことにしている)。
※:首都直下型地震だけやたら煽る人は勉強不足か東京しか関心のない人。東京以外の人たちがこの情報に感化されて自分たちの所は大丈夫と思うことが恐ろしい。
実はそれよりはるかに被害が大きい直下型地震が(内閣府の中央防災会議によって)想定(発表)されているのだが、何故かマスコミをはじめほとんど話題にならない(”南海トラフ”は定義外)。
大阪の中心部を南北に縦断する上町断層の地震で、切迫度は首都直下より低いものの、想定死者42000人と、東日本大地震を上回り、今回トルコ・シリア地震並みの数(2月15日時点)となっている(大阪府はどうしているのだろう)。
ちなみにトルコ・シリア地震の震源地は、内陸ながらユーラシアプレートとアラビアプレートとアフリカプレートという3枚のプレートの境界点に近い。
3枚のプレート境界点は世界でも数箇所しかない。
その数少ない3境界点が日本にもある。
太平洋プレートとフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界点が相模湾にある。
関東大地震の震源地だった。
こちらはプレート境界なので、活動周期が明確で、あと100年ほど猶予がある(以前はこの地震と震源地もメカニズムも異なる直下型地震が混同されていたため、関東大地震が切迫していると思われていた。ちなみにいまだに混同している M永氏などの”識者”もいるので注意)。
活動周期からみて猶予がないのは、東海地震(フォリピン海プレートとユーラシアプレートの境界)で、すでに起こってエネルギーが解放されていなくてはならない。
それが起きないまま、同じプレート境界に並ぶ東南海と南海地震の周期が近づいてしまったので、最悪の3連動地震が懸念されているわけだ(しかも過去、東海地震は単独では発生していない)。
実は上町断層地震は、その断層自体の活動周期はもっと長いものの、南海トラフの地殻変動による影響を受けそうで、南海トラフ地震の”前後”に発生が懸念されている※。
大阪は南海トラフ地震の被害は大阪湾の津波程度(避難する時間的余裕は充分)だが、こちらの直下型地震が怖いのだが。
※:同じ理由で発生が懸念されている地震に濃尾平野の猿投-高浜断層地震があるのだが、こちらも全然話題にならない。
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