今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

夜に来る竜巻の恐怖

2021年12月13日 | お天気

アメリカ中部で起きた季節外れの竜巻被害。

発生した個数の多さもさることながら、時刻が夜だったことも被害を大きくしたようだ。
なぜなら、竜巻は日中だと目視によって進路から逃れることがきるのだが、夜だと、稲光による一瞬しか、その姿を見ることができない。
逃げることもできない巨大な見えない力が、轟音とともにやってくるのは恐怖でしかない。

かつて筑波での竜巻跡を見に行ったが、そこは局地的な津波被害、あるいはゴジラが歩いた跡のように、破壊され尽していた。
津波もゴジラも目に見えるから、発見が早ければ逃げることができるが、
夜間の竜巻は気配だけで、見ることができない(こういうシーンは、竜巻映画の傑作「ツイスター」にもあった)。

竜巻発生の注意情報(アメリカでは警報)を出すことは可能だが、台風のように進路を正確に予測することはできない(現象規模が小さすぎるため)。
最善なのは防空壕と同じく地下にもぐること(実際、竜巻避難とミサイル攻撃からの避難は共通している)。

アメリカの中部平原で巨大竜巻(トルネード、ツイスター)が発生しやすいのは、メキシコ湾からの熱帯性の暖気と、北極圏(カナダ)からの寒気が直接水平面でぶつかるため(あるテレビ局では寒気をロッキー山脈越えの方向で示していたが、それは間違い。山越えする空気は昇温するので寒気ではなくなる)
アメリカの中部平原は、地球上で最も温度差のある空気がぶつかる場所なので(こういう場所は他の大陸にはない)、回転性の巨大な円形積乱雲※(スーパーセル)が特異的に次々と発生するのだ(発生機序的には寒気と暖気がぶつかってできる渦の温帯低気圧に似ていて、熱帯で発生する超巨大なハリケーンとは異なる)。
※:旱魃以外の気象災害はすべて積乱雲による。
通常は寒気と暖気の力が拮抗する晩春の頃に発生するのだが、今回は12月になっても暖気が優勢だったために発生したようだ。
ただし異常気象(平年からのズレ)は、すべて原因が温暖化などの気候変動(年平均のトレンド)によるとは限らない。