今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

年末慰労の宿その2:喜連川温泉

2013年12月26日 | 温泉
年内に済ませるべき公私ともどもの作業をすべて終え
(自室の大掃除も賀状投函も済ませた)、
晴れて、年末慰労の宿”その2”に向った。

毎月1回の温泉旅をノルマにしている私だが、
その多くは研究のための専門書読破や論文執筆のための”お篭り”を兼ねている。
なので、夕食の酒も控え目にして、残りの時間は室内でひたすら”仕事”三昧なのだ。

そもそも、われわれ大学人が一般より過分に与えられている”夏休み”は、論文執筆の、
”春休み”は新年度の授業準備の期間だ。
それに対し、”冬休み”は、論文原稿を出し終えたばかりで(校正作業は先日終えた)、
今期の授業を年明けに少々残すだけなので、一年で一番解放された状態。

年末特有の私的用事を済ませれば、あとは完全フリータイム!
なので仕事からの解放感を一年で最も味わえるのが、今回なのだ。
といっても、実家は正月準備なので、一人遊び呆けるわけにはいかず、1泊しかできないが…

今年最後に選んだ宿は、東京に帰省していることもあり、かんぽの宿「栃木・喜連川温泉」。
今月の宿は、東海と関東のかんぽの宿に1泊づつ分けたのだ。
栃木には名湯が数々あるが、日光湯元、鬼怒川、塩原、那須といずれも北西の山の中。
それに対し、ここ喜連川温泉は、めずらしく平野にある。
平野にあるだけに観光地ではなく、周囲には何もないが、「日本三大美肌の湯」の1つらしい
(他の2つは、島根の斐之上温泉と佐賀の嬉野温泉だそうな)。

慰労の宿とて、”計測マン”としては仕事を休まない。
まずは、宿の前で放射線を測定。
空気中のγ線は、0.15μSv/h。
東京の自宅内で0.12だったから、平常値といっていい
(そもそも矢板から南は高くない)。
Bqで測ると、8.4/g。

さて喜連川温泉そのものに移ろう。
まずは浴室に掲示されている「温泉分析書」(平成20年)を解読する。
湧出地は、ここから1キロほど離れた崖下(少々距離がある)。
湧出量は毎分320ℓ、泉温は47.1℃。
これだけで”豊富な温泉”といえる。

pHは8.0,電気伝導度は8250μS(25℃)。
弱アルカリ性で、トータルの成分は濃さそう。

さて、泉質だが、
残留物は4776mg(1000mg以上あれば”温泉”としての効能が期待できる)
と温泉成分は濃い方で、
「療養泉」の基準を軽くクリア。
陽イオンではナトリウムイオン、陰イオンでは塩素イオンが断トツ。
なので泉質名は「ナトリウム-塩化物温泉」。
名称的には平凡だが、濃いだけに肌の保湿効能は期待できる。
メタケイ酸が129mgあるのも美肌にいい。
以上は源泉のデータ。

浴槽の湯口で採取した湯を私が分析する。
まず浴槽の湯は、加水はなく(夏に限ってするらしい)、加温・塩素循環してあるという
(すなわち鮮度は落ちるが、薄まってはいない)。
pHは同じく8.0なので弱アルカリ性。
石鹸でごしごし洗う必要はない。
表皮に効く泉質に弱アルカリ性が加わるので、「美肌の湯」となるわけだ。
残留塩素は0.2mg未満、Mアルカリ度は180mgで他の温泉と同じ。

ところが電気伝導度は6600μS(38.4℃)とかなり高い(ただし源泉での値よりは下っている)。
前回(その1の宿)の三ケ根温泉(愛知)の10倍の濃さだ。
わが定宿中津川温泉(岐阜)と比べても2倍濃い。
私的に温泉として合格◎。
電気伝導度を測ることで、実際の浴槽の湯の”濃さ”が分るようになった。
源泉が少量のため、浴槽は加水して真水のように薄い湯もあるが、私は見破る。

ここ喜連川温泉は、ロケーション的に風光明媚でもなく(写真のように日光連山の眺めはいい)、
観光資源に乏しい(散策路すら乏しい)のが残念だ。
(下流にかかる橋が「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」のロケ地になったという程度。でもロケ地探索なら烏山でしょ)。
平野だけに鉄道の駅からも近く、温泉自体を目的にすればいいんじゃなかろうか。