博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『ナポレオン 獅子の時代』

2009年12月21日 | 世界史書籍
長谷川哲也『ナポレオン 獅子の時代』(少年画報社、既刊12巻)

前々から何となく気になっていた作品なんですが、きつりさんとこのブログで紹介されているのを見て無性に読みたくなり、帰国に合わせてAmazonでポチッと購入してしまいました。

基本的にナポレオンの生涯と革命当時のフランスを描いた歴史物……のはずなんですが、ジャンプ漫画のノリを多分に持ち込んでしまったおかげでクートンが車椅子に銃や大砲を仕込んでバラス率いる兵卒と戦ったり、マッセナが女と(ピー)しながら戦場を駆け巡ったり、総裁カルノーがナポレオン配下の部将オージュローと一騎打ちして互角に渡り合ったりと、とにかくフリーダムな描写に溢れています。

もっとも、このあたりは著者自身がこの作品を歴史漫画ではなく番長漫画だと公言しちゃってるわけですが…… ということは中途半端な死に方をしたサン・ジュストは生きていると期待していいんでしょうか!?

あとは兵卒の行軍の壮絶さを延々と描写しているのが目につきますが、こういうのを見てるとナポレオンの勝利は彼の戦術がどうこうと言うよりも兵卒の気合いと根性の賜物だったんじゃないかという気がしてきます。昔の毛沢東の長征もこんな感じの地獄の行軍だったのかのうと思うと何だかしみじみしてきます。

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おかえりなさい (君子蘭)
2009-12-22 13:53:27
さとうしん様

無事にご帰国、良かったですね。
長春で日本人医師の居る病院に行くには、確か・・数千元の仲介手数料が・・でした。
納得がいかなかった私は”南極人”を着込んで冬眠か仮死かの状態で越冬したっけ。
今は昔のお話でスミマセン。

”ナポレオンと来たか!”で思い出しました。
多分ご存知だと思いますがアベル・ガンス監督のは最高です。1927製ですがコッポラ親子がリニューアルしています。
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Unknown (さとうしん)
2009-12-22 20:53:18
>君子蘭さま
長春に日本人医師なんていない……と思ってましたが、一応いてはったんですね。しかし数千元なんて金は私も払いたくないです……

>多分ご存知だと思いますがアベル・ガンス監督のは最高です。

すみません、はじめて知りました…… DVD出てるかな?と思ったら、コッポラのリニューアル版はお求めやすい価格で出てるではありませんか!何かの買い物のついでポチッといってみることにします。
返信する
哲也それマジックちゃう (きつり)
2009-12-22 22:50:39
ネットでは長谷川マジックと呼ばれるクートンの車椅子やマッセナ石鹸カッターですが、意外と調べると「だ い た い あ っ て る」というか、むしろ良心的に細かいところつっこんであるのが魅力です。
元帥の伝記とかナポが一番しっかり書いてあったり、ナイル海戦あたりの無駄なディテールの細かさとか、読む度驚きが増します。
一番カットしてあるのが、ナポの色恋やジョゼフィーヌ不倫周辺なあたり、すっぱり男らしいですな。
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ボナパルトと毛沢東 (臨夏)
2009-12-23 04:29:12
そうそう、始めの書き込みで、
”わたしが見た”と書いた、映画『ナポレオン』は、
君子蘭さまの仰るやつです。

白黒で、画面が3面あるやつです、
DVDではどう見えるのかな?
これで、サンジュストに惚れましたw

やはり、大陸軍が強かったのは、
奈翁の天才もあったでしょうが、
兵卒一人一人が、「国民兵」やったから、
という面も強いでしょう。
中世の傭兵と違い、そもそも勝つ気でいますし、
勝つ為にはなんでもやるし。

毛が、あんな田舎に居って政権取れたのも、
やはり土地革命や、イデオロギー武装その他で、
紅軍は、国民党兵士とくらべ、
士気からして違たからでしょう。
やはり、両方とも、革命軍ですね。
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Unknown (さとうしん)
2009-12-23 19:42:30
>きつりさま
>意外と調べると「だ い た い あ っ て る」というか、

な、なんだってーーーー!!
あのあたりは完全なフィクションだと信じて疑わなかったのですが、何か下敷きがあるうえで遊んでるわけですね……

>一番カットしてあるのが、ナポの色恋やジョゼフィーヌ不倫周辺なあたり、すっぱり男らしいですな。

まあ、このあたりは他のナポレオン漫画とかが扱ってそうですしね。

そう言えば青池保子の漫画でネルソンが出て来るやつがあるのを思い出しました。本棚をあさってみねば……

>臨夏さま
>白黒で、画面が3面あるやつです、

うわあ、これは本当にDVDではどう処理されているんでしょう(^^;)

>やはり、両方とも、革命軍ですね。

まさしくどちらも「革命軍は地上最強ォォォ!!」なわけですね……
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トラファルガー (ぐんまま)
2009-12-23 22:18:38
>青池保子の漫画でネルソンが出て来るやつ
 私は画集の「ノルウェーブルーの夢」で読みましたぜい。
 タイトルはずばり「トラファルガー」だったと思います。

 青池さんはまた歴史もんを連載されないんでしょうかね?
「アルカサル」も中断したり、雑誌が変わったりと大変でしたしねぇ。‥‥私は好きなんだけどなぁ。

>ナポレオン
 わたしもきつりさんとこの記事を拝見して、気になってるんですが、今「ワンピース」大人買いしようか悩んでいるので‥‥保留。
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Unknown (さとうしん)
2009-12-24 20:59:43
>ぐんままさま
『トラファルガー』、本棚から出て来ました。ネルソンを狙う狙撃手の話でしたね。(細かい内容はすっかり忘れてました……)秋田文庫の『魔弾の射手』の中に入ってました。

>今「ワンピース」大人買いしようか悩んでいるので‥‥保留。

『ワンピース』の方がお子さん達は喜ぶでしょうね(^^;) ノリはどっちもジャンプ系なわけですが……
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Unknown (きつり)
2009-12-24 22:38:01
驚異の だ い た い あ っ て る は

・ジュノーとイチャつくルイーズという侍女は実在する
・ナイル海戦部分は、ネルソンのハミルトン夫人に愛していると伝えてくれ(本当は妻)と、決戦時期以外のディテールはほぼ本当
・セリュリェは本当に味方の十歩前を走っていた
とかですかね、あとなにげに本作がエライのが、大陸軍の外道っぷりを隠蔽する気がまったくないところでしょうか。
スタール夫人もタレーランも、最初はビビったけど史料を調べていくと「あれでイメージぴったりw」と思えてくるところがおそろしいです。あと肖像画と比べるといちいち顔が特徴をとらえていて噴きます。
ttp://napoleonicwars.web.fc2.com/nw_portrait.html
ttp://grandearmee.web.fc2.com/marshals.htm
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Unknown (さとうしん)
2009-12-25 17:10:28
>きつりさま
他はともかく

>ジュノーとイチャつくルイーズという侍女は実在する

これは驚いた。どんだけ調べこんだうえでムチャをしているのかと……

鹿島茂の『ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789-1815』を読みましたが、タレーランが愛の伝道師になっているわけが分かりました。スタール夫人もちんちくりんな所以外は大体合ってるのが恐ろしい……

ご紹介のサイトを見てると、フリーダムに見えたオージュローでさえそれなりに特徴をとらえているんですなあ。
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