博客 金烏工房

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『武媚娘伝奇』その14(完)

2015年09月03日 | 中国歴史ドラマ
『武媚娘伝奇』第77~最終82話まで見ました。

月日は流れ、媚娘は母の栄国夫人のもとで養われていた亡き姉の娘賀蘭敏月を引き取り、高宗の世話係としますが、彼女は媚娘を母の仇と怨んでいたのでした。媚娘の姉韓国夫人は妹を羨み、高宗のもとに出入りしてその地位を乗っ取ろうとし、媚娘の毒殺を図ったところ高宗に喝破されて死罪となったが、賀蘭敏月は媚娘が母に嫉妬して殺したと信じている……といういきさつがあるらしいのですが、その様子は作中では描かれません。全82話もあるんだからそこんところちゃんと描いてよ!!

で、この敏月ちゃんが復讐のために画策を開始。高宗の世話を通じて彼の心をつかむ一方で、兄李弘が皇太子となったことに不満を持つ李賢に接近。そして家族一同が集う酒宴で、みなの目の前で李弘が何者かに毒殺されるという悲劇が発生。犯人は敏月に唆された李賢だったのですが、高宗は媚娘が我が子を毒殺したのではないかと疑っている……と思いきや、その高宗も当初から李賢が怪しいと睨んでいたのでした。

敏月が黒幕と察知した媚娘は、彼女を毒殺。しかし時既に遅く、彼女の家庭は敏月の目論み通り破壊されてしまったのでした。仁徳に厚い李弘も学才にすぐれた李賢(ちゃんと『後漢書』の李賢注を作る場面も出てくる)も今は亡く、消去法的に李顕が新太子に。しかしその李顕は定見がなく、妻の韋氏や舅の韋玄貞の言いなりになるアホなのでした…… 媚娘の息子たちはいずれも青年時代はイケメンなのに、大人に成長した李顕が口髭生やした小太りのブサメンになっているのは解せない……

この頃から媚娘改め武瞾は帝位を意識するようになります。そして病に倒れた高宗見取り、更に月日は流れ、武瞾は中国史上唯一の女帝として即位。


やはりラスボスみたいな格好をしております……

帝位に即いた彼女のまぶたには、かつて愛した太宗・李牧・高宗のほか、韋貴妃・楊淑妃・蕭薔・徐慧・魏徴・長孫無忌・呉王李恪・高陽公主・王皇后・賀蘭敏月といった強敵(とも)たちの姿が……って、ホントに最終回で北斗無想転生をやってくれましたね。で、第1話冒頭の退位後のシーンへと戻り……

【総括】
ということで第1話最初の張易之・張昌宗兄弟殺害とか、武則天が張柬之に退位を迫られるシーンは本編では出てきませんでした (^_^;) というか張易之・張昌宗兄弟自体が本編に出てこない…… ここまでお読みになった方には既にもうおわかりの通り、本作は武則天の前半生に主軸を置いた作りとなっており、特に高宗の皇后になってからはおまけ程度の扱いになってます。タイトル通り女帝武則天ではなく、武媚娘の物語なんですね。おまけに歴史ドラマと言うよりは後宮物の性質が強い、というか思い切り後宮物のドラマです。『括地志』や『後漢書』李賢注みたいな学術イベントや、関隴集団対寒門士子みたいな歴史要素もないわけではないですが……

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