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都響演奏会@東京文化 

2006-05-17 | Weblog
 久しぶりに都響の演奏を聴いてきました。(5年ぶり?)文化会館でオケ演奏を聴くのも久しぶり。券は当日売りの最安席の1500円。席は4階のレフトバルコニーでした。文化会館のバルコニー席はオペラハウスのように垂直に配置されているのだけど、奥に座っても舞台全体をきちんと見ることができます。(この点、オペラシティのコンサートホールは本当に悲惨な設計だと思います。3階席のサイドに座ると舞台の半分が見えない上に、椅子が馬鹿正直に垂直に配置されているので、首を回して舞台を見なくてはならず非常に疲れます。設計した人は生涯をかけて恥じてください。)文化会館の音響の素晴らしさは今更言う必要もないでしょう。都内のホールの中では飛び抜けていると思います。古代神殿を思わせるようなホールの外観といい、これを設計した前川國男氏には本当に脱帽です。(先日行われた氏の業績の展覧会は非常に興味深かったです。)
 さて演奏ですが、今回の目的は2つ。まず一つめはニールセンに親しむこと。実は殆ど知らないのです。メイン曲の「不滅」でさえ、これまでまともに聴いた記憶がありません。ティンパニを2セット使うんだろ?くらいの知識です。ですから前プロの「仮面舞踏会」序曲なんて存在も知らない。2つ目の目的はルガンスキーというピアニスト。最近新聞や雑誌によく露出していて、チャイコ・コンクールの覇者だというので興味がありました。といっても最近のショパンおよびチャイコのコンクール覇者は?な感じなのでそれほど期待していたわけではなかったのですが・・・

 「仮面舞踏会」序曲は予想に反して非常におもしろかった。実はこれが一番よかったかも?もっと演奏されてもいいと思うくらいにオープニング向きの快活な曲です。この曲だけで一気にニールセン株が上がりました。弦楽器は早回しが多そうなのでちょっと難しいかもな。
 続くルガンスキー氏のチャイコ協奏曲ですが、点数をつけたら40点でした。可はあげられませんでした。なにしろ音が汚い。ペダルが下手なのか、常に音が濁っていて、音の美しさを感じることが全くなかった。後は曲の盛り上がり方が薄っぺらい。特に1楽章の最後。これは指揮者(後述)のへっぽこさもあるのだけど、なんだかもっさりして燃焼力に欠けてました。指は回るようで2楽章はよかったのだけど、それも目の覚めるような技巧派というわけでもなく、オクターブで駆け回るところは失速気味で萎えました。全体として目立ったミスもなく上手だとは思うのですが、それほど飛び抜けた奏者ではないなと言うのが本音です。経歴を詳しく見ると、どのコンクールでもいつも2位なのか。チャイコ・コンクールでも1位なしの2位。なんだか判るような気がしました。(ひどい書きようですが・・)
 さてメインの「不滅」ですが、この曲の解釈としてどうだったのかは初聴きなのでわからないけど、楽しめたというのが正直な感想です。まず演奏時間が適度だということ(40分弱)、各楽章の個性がしっかりしていて緩急があり飽きないということ、各所に弦楽や管楽だけのアンサンブルがあり、最後のティンパニの応酬も含めて楽器の使い方が面白かったこと。いまいち主題がわからなく、曲としてもう一度是非聴いてみたい!という衝動がわき上がるほどではなかったけど、ニールセンには興味が湧きました。この曲は聴くより弾くほうが楽しいかもしれない。ティンパニ以外の編成はそれほど大きくないので、チャレンジしたいものですね。それにしても、ヨゼフ・スウェッセンという指揮者。非常によろしくない。学生指揮者みたいにいつも同じ振り方しかできないんですよ。元々はヴァイオリン弾きらしいですが、そういった前の経歴で補強しているだけで、指揮自体の技量は???なのではなかろうか・・・・。都響は今後も彼を使う気なんでしょうか?もっと良い指揮者はたくさんいると思うのですが。
 最後に都響についてですが、非常に安定していて良いオケだと思いました。過去に聴きに行ったときは、吃驚するくらい管楽器がミスをしていたのですが、昨日に関してはそれはなかったように思います。バスセクションは昔と変わらずでブラボーです。弾き方に統一感があってパートとしてまとまりを感じるのですよね。「不滅」の4楽章での長い早回しは圧巻でした。それにしても相葉先生の手首のクネクネさは異常です・・・。財政難で運営が厳しいと言われてますが頑張ってほしいものです。選曲も面白いしチケット代も良心的だし。N響=NHKホールの当日券聴きと同様に、都響=文化会館もこれからもちょくちょく聴きに行こうかと思います。