セットの中で何より強烈な印象を残したのが、まずは1~2曲目の流れだろう。私自身が2006年6月1日の共和国への投稿で「最初2曲は「Passion~single version~」&「This Is Love」が最強だと思う」とレスした通りの展開の2曲で、これはもう我が意を得たり願ったり叶ったりだった。(正確には「Passion」は単なる「~single version~」ではなく導入部を「~after the battle~」として2つを1つにユナイトした、いわば「Passion ~ United Version ~」ともいうべきものになっていたが)
最初の方は明白だろう。最新大傑作アルバム「ULTRA BLUE」のオープニングを飾るのが「This Is Love」であり、エンディングを飾るのが「Passion」なのであるが、このエンディングとオープニングを繋げてコンサートの最初に置いたのである。
アンコールの方は、読者からするとなかなかピンと来ないかもしれない。私はこれもまた(私見に過ぎないが)『“アルバムの終局から冒頭へ”という流れでライヴ・スタートを形成したのと同じ発想』で選曲されていたと考えた。2004年の武道館ライヴ「ヒカルの5」のセットリストを思い出してほしい。あのときは衝撃的な「光」から始まり、セットをデビュー曲「Automatic」で〆る、という選曲だった。そしてこの「UTADA UNITED 2006」ではその「ヒカルの5」の本編エンディング曲「Automatic」から本編スタート曲「光」へ、という流れを最後の最後にもってきている、と、そう私は解釈したのだ。
少し考えてみてほしい。この「UTADA UNITED 2006」の最初の最初のスタートは、どこにあったか。私がそこで真っ先に思い出すのは、「ヒカルの5」最終日の最後の最後に彼女が観客席に向かって叫んだあのことば、「今度は、私が全国を回るから!」だ。あのひとことから、今回の6年ぶり2度目の全国ツアー「UTADA UNITED 2006」が始まっていたのではなかろうか。
この多層構造。もう一度反復しておこう。宇多田ヒカル/UtaDAによる全国ツアー「UTADA UNITED 2006」のセットリストは、ツアーの“始まり”となった前回の局所集中連続公演「ヒカルの5」のオープニングとエンディングの2曲を順序逆としてライヴのアンコールに配置、この2年半の活動の一旦の集大成といえるアルバム「ULTRA BLUE」のオープニングとエンディングの2曲を順序逆としてライヴのオープニングとする、という2層の“終わりが始まり”で形作られている、とそう私は解釈した、とそういう話である。以下に図解しておく。(テーブルタグが使えないのでレイアウトがズッコケ気味なのはご愛嬌;)