トシの読書日記

読書備忘録

「おんな文化」の一大絵巻物語

2011-06-20 19:17:15 | た行の作家
谷崎潤一郎「細雪」読了



厚さにして4.5cm、上、中、下巻合わせて929頁の大長編を、やっとこさ読み終えました。しかし、期待にたがわず面白かったです。


蒔岡家の四姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子。物語は、主にその次女、幸子の視点から語られていきます。三女、雪子の何度もある見合いの話を軸に、春の花見、夏の蛍狩り、観劇、旅行等々、優雅な行事を散りばめ、長女、鶴子夫婦の東京への引越し、大雨の後の大洪水、幸子の流産、妙子の勘当と妊娠発覚、そして死産と、いろいろな事件を勃発させていきます。


相手の言うことも一応は受け入れながらも、言いたいことはちゃんと伝え、婉曲に相手を批判する…これが関西の女性特有の処世術とでも言いましょうか、そこらあたりの会話、姉妹それぞれの胸の内を、谷崎は実に見事に描いています。


いやぁ、実に素晴らしい、堪能しました。谷崎潤一郎の代表作を以下に書き出して、今後の指針にしようと思います。





明治43年(24才 「刺青(しせい)」
大正13年(38才)「痴人の愛」
昭和3年(42才)「卍(まんじ)」「蓼喰う虫」
昭和6年(45才)「吉野葛」
昭和8年(47才)「春琴抄」
昭和11年(50才)「猫と庄造と二人のおんな」
昭和17年(56才)「細雪」
昭和25年(64才)「少尉滋幹の母」
昭和31年(70才)「鍵」
昭和35年(74才)「夢の浮橋」
昭和36年(75才)「瘋癲老人日記」


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