アンナ・カヴァン著 佐田千織訳「あなたは誰?」読了
本書は2015年に文遊社より発刊されたものです。
アンナ・カヴァンといえばずっと以前に「氷」という作品を読んで、その冷徹で不条理な世界に息を呑んだ覚えがあるんですが、本書もそれに負けず劣らず濃い内容の長編でした。
その「氷」とは反対に今度は場所は特定されていないんですが、灼熱の南国が舞台です。うだるような暑さの中、無数のチャバラカッコウが「WHO ARE YOU」と泣き叫び、夜になるとカエルが盛大な大合唱を始めるという、なんだか読んでいてこっちの頭がおかしくなりそうでした。
しかし、そういったシチュエーションとは裏腹に、カヴァンの筆致は極めてクールです。そこがいいですね。月並みな解釈かも知れませんが、女が男に屈服させられるという、性差別のようなものからの解放というものをテーマにしていると解するのはあまりに短絡的かも知れませんが、そんな風に読めるところは多々ありました。
いずれにせよ、このカヴァンの鋭利な刃物のような文章に酔いしれたのでした。
ネットで以下の本を購入
牧野信一「父を売る子/心象風景」 講談社文芸文庫
本書は2015年に文遊社より発刊されたものです。
アンナ・カヴァンといえばずっと以前に「氷」という作品を読んで、その冷徹で不条理な世界に息を呑んだ覚えがあるんですが、本書もそれに負けず劣らず濃い内容の長編でした。
その「氷」とは反対に今度は場所は特定されていないんですが、灼熱の南国が舞台です。うだるような暑さの中、無数のチャバラカッコウが「WHO ARE YOU」と泣き叫び、夜になるとカエルが盛大な大合唱を始めるという、なんだか読んでいてこっちの頭がおかしくなりそうでした。
しかし、そういったシチュエーションとは裏腹に、カヴァンの筆致は極めてクールです。そこがいいですね。月並みな解釈かも知れませんが、女が男に屈服させられるという、性差別のようなものからの解放というものをテーマにしていると解するのはあまりに短絡的かも知れませんが、そんな風に読めるところは多々ありました。
いずれにせよ、このカヴァンの鋭利な刃物のような文章に酔いしれたのでした。
ネットで以下の本を購入
牧野信一「父を売る子/心象風景」 講談社文芸文庫
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