桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

安らぎ

2008-07-26 | Weblog
「この家は安らぎますか」と聞かれた。
自分が育った家、という意味では、それは安らぐと言えるかも知れないが、ここで過ごす時間は、安心はできないね。
昨日は、帰宅して、すぐに水中ポンプを設置した。雷雨が来たとき、すぐに排水するためだ。先夜の地震では飛び起きた。揺れで倒壊を案じたからだ。歩くたびに落下の心配をする家なんて、芯から安らぐはずはないよね。嫌じゃない、この家こそ、俺にはふさわしいとも思うが、余計なことを案じないで過ごしてみたいとは思うね。
今日も雷雨の報。俺は蒲郡だから、その時は床下浸水だね。


寝る前に

2008-07-25 | Weblog
仕事の三日目。汗を流しまくり、麦茶など、ペットボトル3リットルくらい飲んだが、身体は、昨日よりも楽だった。慣れて来たんだな。毎日、仕事ならば、この程度は大した苦ではない。
明日から救援会の全国大会。準備してパソコンを開いたら、抗告に際して高検次席の鈴木和宏なる人物が「有罪判決を揺るがすような証拠の新規性、明白性があるとは到底思えない」とか、「すでに確定判決で認定された事実関係について蒸し返しており、認める訳にはいかない」とか言っていたと知ったので、少し反論しておく。
確かに、我々は有罪とされた。そこで認定された事実関係はある。
でも、一度認定されたら未来永劫、揺るがないのかい?そんな普遍の論理、検察は持っているのかい?
良く考えた方がいい。
確かに認定されたが、その認定が、あなた方検察が隠して来た証拠によって揺らいだからこそ、間違ったと判った訳じゃないか。
あなた方が、一度認定された事実関係に縋るのは、隠したという事実を直視出来ないから。それだけのこと。証拠を隠したから、間違った認定をした。判らないかい?
それに、「証明力や明白性がない」とか言ってるが、あの目撃を語る彼女の、当日の行動を裏付ける証人たちの供述調書を、ことごとく隠してる検察の言う言葉かね、鈴木さん!
恥ずかしくない?
自転車を借りた人、野菜を買い出しに行った先の人、何て言ってますか?
あなた方は、それらを見て、彼女が被害者宅前を通過した時間も把握してますよね。でも、それらを提出して彼女の証言に信用性を与えては、自白強要をしたと認定された上、証拠隠しさえも指弾される。故に、かくなる恥知らずな弁舌を弄して特別抗告をした!
ですよね、鈴木さん。
ここに書いた俺の指摘が正しいか、あなたの抗告での言葉が正しいか、判断するのは国民だ。決して最高裁ではないよ。勘違いしない方がいい。裁判員になる国民が判断するんだよ。
被害者宅を訪問しようとして目撃した彼女は、事件発覚後、自ら交番へ行って目撃の事実を話した。そんな彼女の真摯な協力を無視したばかりか、今、自分たちの誤った捜査を糊塗するために彼女の言葉を歪めて、糾弾する。もう一度言うけど、恥ずかしくない?
これが日本の検察庁だ。
大林宏名での抗告届けが、今日、高裁から届いた。何だか、即時抗告書などの二番煎じの内容らしく、何で夜間受付の提出になったか理解出来ない程度らしいね。まあ、そのうち、じっくり反論します。大林さん、証拠隠し、必ず暴かれますよ。道理が証拠の存在を語る以上、世論は、あなた方の犯罪行為を許さないですから。
あなた方は最高裁を頼りに抗告したのでしょうが、俺は社会の常識、正義を頼りに41年、闘って来ました。フェア、検察には絵に描いた餅、ですかね。

暑かった!

2008-07-24 | Weblog
昨日から仕事をしてる。
やはり、久し振りで疲れてしまい、昨夜は早々と寝たのに、今朝は寝坊しそうだった。
いや寝坊には、夜中の地震も原因がある。家が潰れる心配があって飛び起きた。そのせいもある。
目覚ましが鳴ってる、我が家には目覚ましが無いはずなのにおかしいと思って目が覚めたらば、水戸からの電話。住宅を借りるに必要な書類を間違えたとの指摘だった。
今日は、つくばの民家でブロック積みだった。陽射しを遮るものが無い炎天下。頭がクラクラした。でも、気持ち良く汗を流して、本当に仕事はいいなと、何時も思う。
あれから初めての仕事だが、みんな予想以上に事情関係を知ってる。それだけ報道が凄かったのだろうが、検察は甘いよ。こういうことが重なり、検察の汚さを社会が知って行く。最高裁で勝利したらどうなるか、今から楽しみだな。

果報者

2008-07-22 | Weblog
昨日夕方は、常陸大宮市に住む支援者・Oさん宅に届け物があって訪ねた。決定日にも高裁前に夫人が、水戸集会にもご夫婦で来てくれていたが、忙しいと思って電話を遠慮していたのだと、殊の外、訪問を喜んでくれた。
持参した決定日のニュース番組ビデオを見てのち、お祝いに食事をと言う話になった。近くの魚専門店へ行ってご馳走になったのだが、今日は出所祝いだと言う。12年前に出来なかったから、今日は決定祝いじゃなくて出所祝いだと言うのには笑ってしまった。
洋風の建物や雰囲気なのに魚料理で、しかも味がなかなかイケた。
軽く飲んで食べて、ご夫婦と別れるとき、「今日は、本当に来てくれて有り難う」と言うのだ。
毎年の正月、こOさん宅に招かれて宴会をし、楽しい時間を貰っている。ご夫婦の温かさに、水戸の母だと、俺は勝手に話しているが、こっちが言うべき有り難うの言葉を受けて、我は果報者なり!と、万感胸に溢れる思いになった。
誰をも恨まない闘いの月日を過ごせたのは、こういう人様の優しさを与えられたからと、俺は連れ合いの運転する車で嬉し涙を流してしまった。この果報に相応しい生き方をしなければ!この果報に相応しい闘いをしなければ!

尾籠な話で恐縮

2008-07-21 | Weblog
連れ合いから、ブログの記載に違和感がある指摘。
どこかと思ったら、「モットー」の冒頭だった。
冤罪はゆるくない、北海道便、とやってしまった!
ゆるくない便かと思ったらしい。失礼しました!
北海道弁でした。
明日、訂正しますので、悪しからず。

川上家

2008-07-21 | Weblog
昨日は、川上家での祝杯だった。本来ならば、次男ユウトの誕生日に飲み、ユウトと一緒に寝る予定だったが、川上家の不幸で延期になり、昨夜は勝利決定をも祝う会になった。
楽しく飲み、語り、ユウトと寝たが、今朝は長男マサトも階下に降りて来て、三人で朝寝をした。
そんな朝飯。ユウトが、俺のために目玉焼きを作ろうとしたらしい。でも、母親は一度に全員分のを作った方が良いと、ユウトの意思を無視して全員分を入れてしまったらしい。で、泣いてるんだよね、ショウジに作りたかった!と。
参った!だね。こんな子供の純粋な愛を貰えるなんて、俺は幸せ者!
今日は東京ではマリオン前宣伝。皆さんには申し訳ないことだったが、、子供たちとプールで遊び、息抜きの一日を過ごした。

政治屋

2008-07-21 | Weblog
彼らが欲しいのは、金、権力。それだけ。
昔の政治家は、それなりに国家社会を考えて、大所高所から政治に携わる人が多かった。まあ悪いこともしたろうが、見識を感じる人が多かったように感じる。今はダメだね。大体、政治家が政治屋になってるよ。金儲けが一番!当たり前だよね、ジイさん、オヤジの代からやれば、もう職業。三代目なんかに大所高所からの政治なんてやれるはずがない。自分の地位、利益に繋がる現体制が総てで、国民は二の次。呆れ返るばかりだよ。
検察庁も勘違いしてる。国家体制を守るためにあるのが検察!なんて錯角してるのだ。正義や真実よりも、多少の嘘を行使しても、現体制を守るのが一番と考えてる。政治屋と似てるよね。正義や真実が蔑ろにされて国家体制なんて成立しない。こんなことさえも判らなくなってるのが、今の検察なんだ。
明日、多分、検察は特別抗告をするのだろうが、司法、行政、立法の三権分立の下で、行政たる検察・法務が証拠を隠して、何故犯罪にならないのだ!証拠隠しの犯罪集団が司法に異議を唱えられるのだ!
俺は立法の力も借りて、必ず検察の犯罪を当たり前に裁く社会にするつもりだ。樋渡さん、大林さん、次からの闘いは、もう証拠隠しは出来ないと思ってね。どんな抗告書か、楽しみにしてるよ。

モットー

2008-07-19 | Weblog
冤罪はゆるくない、北海道弁ね。辛いよね。
今日も暑かったし、部屋に入りっぱなしの刑務所、汗まみれだろうなと思う。
先日、冤罪仲間が千葉刑務所に送られた。俺たちが出て来てから12年。かなり変わったろうが、良く判る構造と日常だから、どんな思いで過ごしてるかと気になる。
俺は千葉へ移されたとき、とにかく目の前のことを全力でやる、それを目標にした。冤罪の苦しみに向き合い、なぜ俺が!なんて考えなかった。
千葉へ移ったばかりの彼は、そうは行かないみたいだな。身の不運を嘆いて、不運の思いに苛まれる毎日だとか。良く判るよ。
無実で刑務所にいて苦しくないはずは無い。苦しい、辛い、息をするのも辛くなる。でもさ、泣いても叫んでも続く毎日ならば、その中にある楽しみや喜びを見つけて闘って欲しいんだな。
彼の「明るく楽しくなんてムリ」の手紙を読んで、そうしろは、まだ早い注文だったかなと反省した。
俺は幾つかのモットーを持って千葉刑務所での月日を過ごしたが、みんなと楽しく、みんなが楽しく、なんてのもあった。今は、この先に、みんなを楽しくの言葉が入ってるけども、無実のムショ暮らしと言えど、決して無駄にはならない。彼にも、今の俺と感慨を持てる日が、1日も早くあるように願うばかりだ。
全力でやらなくちやあ、彼にも申し訳ないね、俺は。

矢野伊吉氏

2008-07-19 | Weblog
こういう名前の裁判官がいた。財田川事件の再審裁判に関わり、再審開始判断をしたが、陪席両名の反対に合い、棄却決定を出した後、裁判官を辞めて弁護士になり、財田川事件の救済をされた偉人だ。その後、財田川事件が再審開始になり、死刑台から救われたのは、歴史の通りだ。俺は冤罪に苦しんだ者として、矢野さんの存在は涙が出るほどに嬉しいし、その存在を以て裁判官を信じて良い気持ちになる。
布川事件に再審開始決定を書いた門野博裁判長は、名張事件の再審を取り消した人として有名だ。あの日、俺も名古屋高裁に行き、「カドノ、許さんぞ」と叫んだくちだが、全国のマスコミに批判された。でも、その評価は誤りではないかと、もしかすると門野裁判長は「矢野さん」だったのではないか?と思い始めた。そう考えると辻褄の合う話が沢山あるのだ。
人の評価は難しい。誤らずにありたいが、誤るのが人間。そのときは、せめて素直に誤りを正したいものだ。努々検察官のようにはなりたくないものだが、勿論、検察官には「矢野伊吉氏」など、見る影も無い。

検察庁

2008-07-19 | Weblog
田中森一という元検察官がいる。闇社会の弁護人になり、先頃、刑務所に入ったニュースを覚えている人もいるだろう。
この田中さん、多弁に自己弁護をしている。書籍も出していて、その中で、なぜ検察官が強引な捜査や起訴をするのかと言えば、、その理由は金にあると書いている。やはりだよね。
警察の裏金は有名になり、かなりの人が知っていよう。新人警官にありもしない超過勤務手当てや休日出勤手当てを与えて手懐け、5年過ぎると架空の領収書を作らせて裏金作りに加担させるのだと、つい先日、群馬県警を相手に身分回復訴訟をしてる元警察から聞かされた。なぜ正義感強い若者が裏金作りに巻き込まれるのかと不思議だった俺には、全面的に信用する気は無いが、そうだったのかと判る話だった。
田中元検察官の話も、また同じ思いになるものだ。検察官も金なんだね。
本来、検察庁は警察を指揮出来る組織のはずだ。でも、現実は指揮どころか、捜査能力の無さが致命的で、警察の思うままにやられている。警察の違法、無法な捜査能力にブレーキをかけるどころか、つるんで悪事をしてる始末。証拠隠しは、その骨頂だろう。弱味でも握られてるのだろうか。捜査力を持つ警察に従わねば裏金などの不正を捜査されたら困るので、何も抵抗出来ないとあれば、それは納得の行く話だが、まあそこまでは無いだろうね。
田中森一さんの本は、検察庁の裏側と汚さを知る上では、それなりに面白いね。頑張れ、ムショ仲間!