桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

但木検事総長

2008-07-03 | Weblog
俺たちが土浦で再審開始決定を得たとき、東京高検に抗告するなと申し入れに行ったことがある。
そのときの高検検事長が但木さんだった。
当事者には会わない方針らしいが、何かの手違いで俺も応接室に入ってしまった。そのときの応対で感じたことが二つあった。
但木さんは当事者には会わない方針を言いながら、入ってしまった以上は仕方ないと、俺の要請も聞いた。多分、会わないと拒否も出来たろうが、そうすると通した人の責任問題になるから黙認したと感じた。人の上に立つだけあるなと感じた。
でも、要請を聞く瞳には人間の感情が無かった。対応は丁寧だが感情が無い。検察幹部になれば人の感情などは持ち合わせない、失うのだと感じたね。
その但木さんが一日付けで検事総長を退任した。
俺たちの高裁決定は、再来週、その日まで、辞めなけりゃ良かったのに。
彼が直接に指揮したり、関わらない抗告にしろ、彼が高検のトップだった。責任はある。完璧な勝利で「責任を取れ、証拠をだせ」と、但木さんに言いたかった思いなのだ。
残念!