桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

吾、ガララーガたらん!

2013-05-09 | Weblog
メジャーリーグの投手だったガララーガと言っても、今では知る人も、そう多くないかも知れない。
デトロイトタイガースで活躍したガララーガは大投手であると同時に人格者として名を馳せた。
メジャーに挑戦して2年目のダルビッシュは、あらゆることに慣れたせいか、今年は実力を発揮している。初登板では、完全試合に、あと1人まで行った快投を演じたが、その後も好投が続いて、今ではレンジャーズのエースと目されるようになった。
ガララーガは、ダルビッシュと同じに、あと1人の完全試合まで行った投手だ。あと1人、打者は一塁ゴロ、ガララーガは一塁ベースカバーに入り、ボールを受けてベースを踏んだ、完全試合達成!のはずが違った。
一塁審判はセーフの判定。結局、1安打完封勝利したが、試合終了後、ドラマは始まった。
審判室に戻った審判は、自分の判定をビデオで確認して間違いを知り、すぐにガララーガを呼んでミスジャッジを詫びたのだ。
それに対して、ガララーガは答えた「Nobody
perfect」。涙ながらに詫びる審判を許したのだ。
完全試合を壊した審判のミスを怒ったデトロイト市民も、この話を聞いて、率直にミスを詫びた審判、ジム・ジョイスの態度と、それを許したガララーガの人間性を讃え、大称賛したのだ。
ただ、その後も活躍したガララーガだったが、ついに完全試合を達成することなく引退した。
ガララーガの言ったように、人間に完璧な人はいない。ミスは犯すが、真に人間性が問われるのは、ミスを犯したり、直面したときだろう。つい過ちを咎めがちな俺は、ガララーガの人間性を見習いたいと思っているが、検察、ジム・ジョイスたらんや!と問いたいものだ。