桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

質問に答えて。

2013-05-01 | Weblog

「桜井さんも自分の写真が燃やされ良い気分がするか」と問われた。

うーん、微妙だねえ。

冤罪を背負い続けた人生は、人様の誤解を受け続けたと言うことだし、無罪になった今も「桜井は犯人。たまたま有罪を立証できなかっただけ」と、検察官に言われている俺だから、誤解されるのには慣れているけど、やはり、いい気分はしないと思う。

でも、安倍首相の写真が燃やされるのと、俺の写真では問題が違うと思うなあ。

俺は冤罪になって、人生や生き方を学んだ。沢山の善意の人と出会って、人の幸せがどこにあるかも知った。だから、冤罪になって良かったと思っている。だけど、今も生きている、俺を犯人にした警察官や裁判官に「犯人にしてあげたのを感謝しろ」なんて言われたらば、冷静ではいられないよね。

判る?

安倍首相や右翼政治家の語ることは、これと同じことなんだよ。

「朝鮮を併合したせいで、朝鮮の進歩と改革があった。日本の朝鮮統治は朝鮮の利益だった」なんて、馬鹿と言うか、間抜けと言うか、強盗犯人が「俺が金を取ってあげたから、その後のお前の人生が良くなった」なんて語るのと同じだろう。

人の痛みを感じない、この手の政治家が、日本には多すぎる。

日本が第二次大戦で行ったことは鬼畜の行為だった。もちろん、我が祖先の行為。正しくあって欲しいし、そう認めたくない気持ちは判るが、残念ながら「天皇国家・神国日本」が行った戦争行為には、既に「世界の評価は下されている」のだ。それを認めずに「今後の歴史が決める」などと語る安倍首相の言葉は、全く戦争を反省してないと言うことだから、まあ写真を燃やされて仕方ないかな。

日本の権力は反省しない。力を持つ者たちは、なんで反省しないんだろね、警察、検察、裁判所、学校、政府・官庁、etcと。

日本国内では、それでも通用するかも知れないが、世界では通用しないね。

確かに、外国の政権者の写真を燃やす行為は、見栄えの良いことではないし、決して褒められない。昭和天皇がヨーロッパ初訪問をしたとき、確か同じようにした国があったと思うが、やるにはやる事情があるよね。そこを考えて、なぜ?を考え、誰にも通じる理性を語りたいよね。

過去を反省しない人は、必ず再犯する。国家も同じさ。過去の行為を正しく見極められない政治家なんて、存在価値がないし、そのような人を選ぶ国民が、恥ずかしい存在になるのではないだろうか。