職人たちの徒然草

新潟県・燕市在住の職人ヤスさんと、東京都・杉並区在住の職人ナガさんの交換?日記です。

月夜の晩に拾ったボタンは

2007年11月21日 | ヤスさん日記
みぞれ落ちる大地の峻厳さ
雷光と轟きの瞬間性
仰ぎ見る空の鉛色
全てが冬を招く儀式のように
新潟の空気を包んでいます。

あー、やばい。
早くこのイメージを
定着させなくては
と思う時
ありませんかね。
出口を探してカラダの中を彷徨している
ことわ感じるのですが
コトバにしろ文字にしろ絵にしろ
定着させることが出来ない時。
先達に出会うことも
よくあることで。

「月夜の晩に、ボタンが一つ
 波打際に、落ちていた。

 それを拾って、役立てようと
 僕は思ったわけでもないが
 なぜだかそれを捨てるに忍びず
 僕はそれを、袂に入れる。

 月夜の晩に、ボタンが一つ
 波打際に落ちていた。

 それを拾って役立てようと
 僕は思ったわけでもないが
   月に向かってそれは抛れず
   浪に向かってそれは抛れず
 僕はそれを、袂に入れた。

 月夜の晩に、拾ったボタンは
 指先に沁みた、心に沁みた。

 月夜の晩に、拾ったボタン
 どうしてそれが、捨てられようか。」
中原中也

今ここに定着することで
永遠になることもあったり
えーと。
中原中也さんの指先や口元から
放たれたコトバは
水平な直線のようにいつまでも
光をきり続けているようです。

空に飛びたいと願う人は
ともすれば地面に叩き付けられることをはらみながらも
そうでありたいと願うのでしょう
それその落下速度の中で感じる時間
をも一生懸命な人なのでしょうね。
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