スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

トリムカット&別個性条件

2021-01-29 19:14:30 | 血統
 NARグランプリで3歳最優秀牝馬に選出されたアクアリーブルの輸入基礎繁殖牝馬は,3代母で1988年にアメリカで産まれたトリムカットです。ファミリーナンバー5-i
                                        
 牝系は広がっていますが,重賞の勝ち馬は1頭だけ。トリムカットの孫で2012年に関東オークスを勝ったアスカリーブル。アスカリーブルはこの年にユングフラウ賞,東京プリンセス賞,黒潮盃,戸塚記念も勝ち,NARグランプリの3歳最優秀牝馬に選出されました。
 母が勝てなかった桜花賞と,母仔制覇を達成して東京プリンセス賞を勝ったアクアリーブルはアスカリーブルの初産駒になります。母仔でNARグランプリ,それも最優秀3歳牝馬に選出されたということになります。
 牝系は広がっていますから,他の分枝から活躍馬が出ることもあるでしょう。アスカリーブル~アクアリーブルの系統は,この牝系の中での中心血脈になり得ると思います。

 第一論駁と第一答弁を前提としているのが,アルノーAntoine Amauldによる第四論駁です。すなわちアルノーの論駁は,『省察Meditationes de prima philosophia』の本文だけではなく,カテルスJohannes Caterusによる第一論駁と,それに対するデカルトの第一答弁を読んだ上でなされていると考える必要があります。
 アルノーはまず,自己原因causa suiという概念notioは非整合的であると主張します。デカルトは起成原因causa efficiensという概念が,因果性の原理によって考えられなければならないということを第一答弁の中で主張していました。しかしアルノーはそのことを否定的に考えます。アルノーはあくまでも原因と結果effectusの関係は,原因と結果が別でなければならないと主張します。原因と結果が異なるという意味で,この関係を別個性条件といいます。すなわちアルノーの主張では,起成原因という概念に,この別個性条件が含まれていなければならないのです。
 このアルノーの主張の根幹は,次の点にあります。あらゆる結果はその原因に依存しなければなりません。したがってあらゆる結果は,その原因からそれ自身の存在を受けるということになります。したがって,どのようなものであってもそれ自身からその存在を受けるということが不可能であるとアルノーは主張します。要するにアルノーにとって,因果関係というのはあくまでも別個の原因と結果との関係を意味するのであり,この関係は少なくともふたつのものの間にのみ生じるものでなければならないのです。
 このアルノーの主張の最初の部分は,第一部公理三第一部公理四と一致しているといえます。その意味ではアルノーとスピノザは一致しているといえるでしょう。とはいっても,第一答弁の中で明らかにしたように,このことはデカルトRené Descartesもまた否定することはないでしょう。もしも起成原因とその結果が異なるものであれば,結果の存在は原因に依存するということは当然のことで,これはだれも否定できないからです。ただし,このことが第一部定理一七備考と一致しているとは必ずしもいえないと僕は考えています。なぜなら,アルノーは因果関係という関係性を大前提として主張しているのに対し,スピノザは原因と結果という語句の相違に着目しているだけだからです。
コメント
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