スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ルーシーロケット&連続体の実体

2021-01-06 19:33:36 | 血統
 昨年暮れの中山大障害を優勝したメイショウダッサイの輸入基礎繁殖牝馬は4代母でイギリス産のエリモルーシーという馬です。ただしその後にエリモルーシーの母にあたるルーシーロケットも輸入されていますので,ここではそちらからの系統という形で紹介します。実際にはルーシーロケットの産駒はエリモルーシー以外に残っていませんから,すべての系統がエリモルーシーからの分枝です。星旗と同じでファミリーナンバー16-h
                                        
 エリモルーシーが産まれたのは1970年。最初の産駒が産まれたのが1974年。牝馬も複数いて牝系は広がりましたが,重賞の勝ち馬というのはなかなか出ませんでした。30年以上を経過してようやく重賞を勝ったのが,2002年にフェアリーステークスを制したホワイトカーニバルでした。このホワイトカーニバルが繁殖入りして産まれたのが,2014年にブリーダーズゴールドカップJBCレディスクラシック,2015年にTCK女王盃,マリーンカップ,レディスプレリュード,さらに牡馬相手のチャンピオンズカップを勝ったサンビスタ。重賞の勝ち馬はこの馬が2頭目で,大レースの勝ち馬になりました。
 メイショウダッサイの母はホワイトカーニバルの2つ下の半妹。2019年に小倉サマージャンプを制し,昨年は東京ハイジャンプと中山大障害を制しました。
 重賞の勝ち馬はこれだけ。30年以上が経過してようやく重賞の勝ち馬が出て,さらにその後に大レースの勝ち馬が2頭も出たのは,牝系の活力という観点からみれば驚異的に思えます。

 第一部定理一五備考から理解できるのは,スピノザが水,現実的に物体corpusとして存在する水について,それを物体的実体substantia corporeaに還元することができると解していることです。さらに後半部分から類推する限り,水そのものの実体,いわば水の実体というものを仮定して,水の実体は生じることも滅することもないといっているようにすら解せそうだということです。
 水についてこのようにいえるのであれば,連続体あるいは連続体の部分についても同じようにいえるということになるでしょう。すなわち連続体というのは可分的であり,部分に分割することができるけれども,連続体の実体あるいはそこまでいわなくても,物体的実体としてはそうではないということになるでしょう。したがって,分割された連続体の部分が無限個であるか有限個であるかを問うことは,すでに連続体が分割され得るということが前提されているので,少なくともそれを実体として解していないことになります。よってそうした事柄について,それが無限infinitumであるか有限finitumであるかを問うということ自体が,原因causaから抽象化された形で連続体を解しているということになると僕は考えるのです。少なくともこの仮定によれば,連続体の実体あるいは物体的実体があるのでなければ,連続体というのはあることも考えるconcipereこともできないものでなければならないからです。
 このことは水の場合で考えればもっと容易に理解することができるでしょう。スピノザは,水は水として分割することができるといっています。そこである一定の量の水を分割するときに,それは無限個に分割できるのか有限個に分割されるのかと問うならば,これは当然ながら現実的に存在する水,すなわち有限である水についてその問いが発せられていることになるのです。これと同様に,連続体の部分が無限個であるか有限個であるかと問うならば,これは有限である連続体についてそう問うているのだと解するべきなのです。ですからその部分が無限個に分割されるというならば,それは,書簡十二でいわれているところの,数によって算定され得ないがゆえの無限個であって,実際には無際限に分割することができるというべきなのです。
コメント
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