スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大阪王将杯王将戦&近藤の関心

2020-03-16 19:25:20 | 将棋
 13日と14日に指された第69期王将戦七番勝負第六局。
 広瀬章人八段の先手で角換り。先手が早めに1筋の位を取ったので後手の渡辺明王将右玉に。先手が後手玉を剥き出しにして挟撃体制を築いたので,そのあたりは先手の方が模様のよい将棋だったと思います。ただ僕にはどこが悪かったのか分からなかったのですが,終盤は激戦に。
                                        
 先手が銀を打った局面。放置すれば☗5二角成の一手詰めですから受けなければならず,☖7四歩と打ちました。先手は☗3二銀成。
 ここで飛車取りを放置して☖5六角と桂馬を取ったのですが,これがこの将棋の勝因となったように思います。飛車取りにもなっているので先手は☗2三飛成と王手で逃げました。次の☖3三金もこの一手の受け方。
 ☗3一成銀☖2三金の取り合いは後手が勝ちます。なので☗3三同成銀と取りました。後手はもちろん☖同桂。そこで☗2二龍と入りました。
                                        
 この手が後手玉への詰めろとなってなく,第2図は後手の勝ちになっています。先手は☗3二銀成のところで☗3二銀不成と取る手はありました。これにも☖5六角と取られるのですが☗3一銀不成☖2九角成という取り合いに進め,☗7五桂と打ってどうだったでしょうか。
 渡辺王将が勝って3勝3敗。第七局は25日と26日です。

 まず,近藤の関心の中心がどういったところにあるのかを説明しておきます。
 『〈内在の哲学〉へ』には序章があって,これはこの本のために書き下ろされた部分です。その中に,「人新世」というキーワードが出てきます。僕は初めて知った語で,地質学に属する概念だそうです。人間の活動が,たとえば火山の大噴火とか巨大隕石の衝突といった大規模な自然現象と同様に,地質あるいはもっと広く地球の環境に大きな影響を与える時代という意味です。つまり地質学的には現在は「人新世」といってもいい時代に突入している,他面からいえば現代の人間による活動は,大噴火とか隕石の衝突並みに地球の環境に大きな影響を齎している時代であるという考え方が存在するのです。僕は地質学のことはほとんど分かりませんから,この概念が地質学会の中でどういう評価を受けているかは分かりません。ただ,現代の人類の活動が,大規模な自然現象並みに地球環境に多大な影響を与えているということについては,否定することはできません。
 近藤はこの「人新世」が始まったのは,1950年代前後とするのが妥当であるといっています。この妥当性については僕は肯定も否定もしません。というか肯定したり否定したりする材料を有していないので,肯定も否定もできないといった方が正確です。
 次に近藤は,この「人新世」という時代を産出するプロセスがあるといっています。なおかつそれらのプロセスにプラスのフィードバックがかかっていると主張しています。プラスのフィードバックがかかっているがゆえにそのプロセスは否定されにくい,たとえそのプロセスからネガティブな結果が産出されても,否定されにくくなっているといっています。このプロセスは自動的に再生産される仕組みになっているのですが,単純なプロセスというわけではありません。現代社会を構成するそのプロセスは4つのシステムから成立しています。第一に科学技術,第二に資本,第三に軍事,第四に議会制民主主義です。これらのシステムはそれぞれ単独で増殖運動を展開することができると同時に,各々の増進が相互にプラスのフィードバックを齎す形で編成されています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする