スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大山名人杯倉敷藤花戦&第三部定理三六

2018-09-29 18:58:28 | 将棋
 昨日の第26期倉敷藤花戦挑戦者決定戦。対戦成績は中村真梨花女流三段が1勝,谷口由紀女流二段が10勝。谷口二段の10勝のうちひとつは不戦勝です。
 振駒で中村三段の先手。後手となった谷口二段の三間飛車に先手の向飛車という相振飛車になりました。
 この将棋はたぶん先手が早くに形を決めてしまったため6筋方面で後手に動かれ,手損をしてしまったのが響いたのだと思います。
                                    
 互いに端歩を突き合った局面。先手の3九の銀は,2八に上がったのを,盤面の左側での動きに対応するために引いたものです。
 先手はここでまた☗2八銀と上がりました。このときに☖2四歩と突いたのがよい牽制の一手。先手は銀を上がった目的を達成するために☗2六歩と突いて銀冠を目指したのですが☖2五歩☗同歩☖2六歩と垂らされました。
                                    
 この垂れ歩が強力で,これ以降は終局までずっと後手がリードしていたのではないかと思います。先手は第1図から銀冠を目指そうとするのは無理で,銀冠を目指すのであれば銀は2八のままで引かずに対応するほかなかったのではないでしょうか。
 谷口二段が挑戦者に一昨年以来の三番勝負出場。第一局は11月6日です。

 退院決定は病院から強要されたわけでなく,少なからず母の意向も介在しています。これはフェンタニルパッチの効果で疼痛に襲われる頻度も強度も低下したため,家で生活することができると母が判断できたためでしょう。
 母はつい先日は家で生活するのは辛いので入院したいという希望を有し,入院して少し楽になったら家で生活したいという希望を有するようになったわけです。人によってはこう短期間に希望が変わるのを我儘であると感じるかもしれません。ですが僕の考えでいえば,これは人間の現実的本性actualis essentiaに実に適合した変化なのです。単純にいえば,人は家にいるときには病院の方がいいと思い,逆に病院にいる場合には家の方がよいと思うようにできているのです。
 『エチカ』にはこのことをそのまま示したような定理Propositioは残念ながらありません。しかし似たようなニュアンスのことをいっている定理はあります。それは第三部定理三六です。
 「かつて享楽したものを想起する人は,最初にそれを享楽したと同じ事情のもとにそれを所有しようと欲する」。
 僕たちがかつて何らかの喜びlaetitiaを感じていたとします。そのとき,その喜びと同時に表象されたものは,第三部定理一五によって喜びの原因であるとみなされるようになります。これはそのものが本当に喜びの原因であるのかないのかということとは関係ありません。第三部定理二八は,僕たちに喜びを齎すと表象するimaginariものについては,そのすべてを実現しようとするコナトゥスconatusが働くという主旨のことをいっています。このために,かつて何かによって喜びを感じた人間は,その喜びを想起する場合には,その喜びと共に表象されたすべてのものを実現しようとするコナトゥスが働くことになるのです。第三部定理七は,このコナトゥスこそ現実的本性であるといっていますから,第三部定理三六でいわれていることは,僕たちの現実的本性によって僕たちに生じるということになります。
 僕たちが何かを想起するとき,その想起されたものは,表象の種類でいえば知覚の対象,すなわち現にあると表象される場合もあれば,そうでない場合もあります。ここではそうでない場合が重要です。
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