スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

書簡五十八&母の希望

2018-09-14 18:54:09 | 哲学
 書簡五十七に対するスピノザの返信が書簡五十八です。書簡五十七はチルンハウスEhrenfried Walther von Tschirnhausからとなっていますが,実際にはシュラーGeorg Hermann Schullerを介して送られたものでした。このために書簡五十八の宛先はシュラーになっています。
                                     
 この書簡は別ですが,シュラーを介しているのは,チルンハウスとの文通の背後にライプニッツGottfried Wilhelm Leibnizがいるという見解にとってはやや有利だと思います。ライプニッツはスピノザと直接的にやり取りすることは危険な行為と考えていたでしょう。ですからチルンハウスを介しさらにシュラーを介すれば,危険性をそれだけ排除することができるからです。
 書簡の内容は長いですが,スピノザの主張のうち肝となるのはふたつです。
 まずチルンハウスがデカルトに倣って,外的原因によって強制されないことを自由libertasというとき,強制されるということが自己の意志voluntasに反するという意味であるなら,人間に自由意志voluntas liberaがあるということをスピノザも認め得るのです。しかし強制というのが必然的necessariusであるという意味なら,つまり必然的にnecessario行動しない人間が自由な人間であるというなら,自由な人間が存在するということをスピノザは認めないのです。いい換えれば人間は自己の意志に反して行動するということはあり得るのですが,そのように行動するとしてもそれは必然的に行動するのであって,自己の意志に反するような自由な意志によって行動するのではないというのがスピノザの見解です。
 もうひとつは,もし人間が必然的に行動するなら悪malumを犯す場合にも必然的に犯すのだから,その行為は許されることになる,いい換えればどんな悪も許されることになるとチルンハウスはいっています。ですがスピノザによればこのことは大した問題ではありません。なぜなら必然的に悪であろうと自由に悪であろうと,悪の恐ろしさや危険性には変わるところはないからです。つまり悪は恐ろしさや危険性のゆえに悪であるといわれるのであり,それが必然的になされるのか精神mensの自由な決意によってなされるのかは無関係だというのがスピノザの見解なのです。

 この日はいつになく母から主治医に対する質問や依頼がありました。これは今度の主治医が自分に合っていると母も感じたためでしょう。あるいは,僕はあまり気にはしないのですが,今度の主治医が母にとって同性であった,つまり女医であったということもその一因になっていたかもしれません。
 まず足や腹のむくみについてですが,母は和らいだと言っています。主治医からは,水分の摂取は1日に1ℓ以内にした方がいいということと,体重を継続的に量った方がいいという助言がありました。体重が増加していたら,それは水が溜っている証拠だからです。母の症状が和らいだのは利尿剤の効果でしょうから,利尿剤の処方は継続することになりました。
 次に,母は立ったり座ったりするときに痛みが生じるという主旨のことを言いました。これは癌に由来する痛みかもしれないので,鎮痛剤を処方することで対処することになりました。ただ,母は錠剤はとても飲みにくかったのでそのことを主治医に伝えますと,主治医は鎮痛剤は貼り薬があるので,それを処方してくれることになりました。名称は後に示しますが,この貼り薬は麻薬です。それと同時に,麻薬ではない液状の鎮痛剤も同時に処方してくれました。また,利尿剤は錠剤だったものを,粉砕して粉状にして処方してもらえることになりました。粉砕はたぶん薬局の薬剤師による作業であったと思われます。これまで処方されていた鉄剤と胃薬は飲まなくていいとのことで,この日の処方はありませんでした。
 さらに,母は今後の希望として,最終的には病院で死にたいということ,できれば父と同様に緩和ケア病棟最期を迎えたいという希望を医師に伝えました。これについては,次回の診察の日に,緩和ケア病棟で相談することができるよう手配してくれました。
 いくつかのやり取りがあっていつもより診察時間は長かったのですが,この日はそれまでより予約時間が早かったこともあり,昼食を摂るには時間が早すぎました。ですから精算を済ませてそのまま帰りました。帰宅したのは11時50分でした。この日は僕の都合が悪く,処方された薬をもらうことはできませんでした。
コメント
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