スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大阪杯&第二部定理四九証明

2017-04-02 19:19:50 | 中央競馬
 第61回大阪杯
 逃げて結果を出していたマルターズアポジーがここも先手。向正面では5馬身程度の差をつける大逃げになりました。単独の2番手にロードヴァンドール。この後ろはまた差が開いてキタサンブラックとサクラアンプルールが併走。1馬身半ほどでステファノスとサトノクラウン。また1馬身半ほどでスズカデヴィアスとモンドインテロとディサイファの3頭。1馬身ほどでヤマカツエースが追走という隊列。前半の1000mは59秒6のスローペース。
 直線に入るところで隊列は短くなっていましたが,マルターズアポジーはまだ先頭。しかし徐々に追い上げていたキタサンブラックが交わして先頭に立つとそのまま後続の追い上げを凌いで優勝。勝ち馬マークのようなレースになったステファノスが4分の3馬身差で2着。3コーナーを回ってから馬群の中を進出し,直線では前にいたサトノクラウンの外に出して差し込んできたヤマカツエースが半馬身差で3着。
 優勝したキタサンブラックジャパンカップ以来の勝利で大レース4勝目。逃げても競馬をする馬で,ここは2頭が前に行くことが予想されたので,それを負かしにいくような競馬になった場合には差し込まれる危険性があるかもしれないと思っていました。ただ,ライバルは末脚を生かしたいというタイプの馬が多く,逃げ馬を除けば超スローペースの競馬を自身のリズムで進出するという展開になったため,マークされた2着馬に対しても着差以上の楽勝という印象に映りました。精神面が安定しているので長距離でも走っていますが,自身の本質はこのくらいの距離の適性が高いのでしょう。先行できるのは大きな強みであり,今年も活躍が期待できると思います。父は2004年のスプリングステークスを勝ったブラックタイド。母の父はサクラバクシンオー
                                     
 騎乗した武豊騎手はジャパンカップ以来の大レース制覇。第32回,34回,37回,41回,42回,58回と勝っていて3年ぶりの大阪杯7勝目。管理している清水久詞調教師もジャパンカップ以来の大レース制覇。大阪杯は初勝利。

 観念ideaという思惟の様態cogitandi modiは,異なった観点からみるなら意志voluntasという思惟の様態であるということの具体的な意味は,第二部定理四九の証明Demonstratioの中に示されています。何度か援用したことがありますが,意志という思惟の様態を解するにあたって重要な部分ですから,改めて考察しておきましょう。
 スピノザはここでは,三角形の観念と内角の和を二直角であると肯定する思惟作用volitio,この思惟作用が意志といわれるのですが,その意志を例示します。厄介な問題が起こるのを避けるために,各々の図形は平面上にあると考えてください。
 三角形の真の観念idea veraがある知性intellectusのうちにあるとき,この知性は同時に,その三角形の内角の和が二直角であることを肯定します。いい換えればその肯定がないなら,その観念は三角形の真の観念ではなく誤った観念であることになります。したがって三角形の真の観念はその内角の和が二直角であることを肯定する意志なしにはあることができません。
 次に,何らかの図形に対して,内角の和が二直角であることを肯定する意志がある知性のうちにあるとします。このように肯定される図形は三角形でなければなりません。これは図形としては三角形だけが有する特質proprietasであるからです。よって,この意志作用が知性のうちにあるとき,三角形の真の観念がその精神のうちに存在しないのであれば,それは誤った観念であることになります。ことばの上では四角形の内角の和は二直角であるとか,内角の和が二直角である図形は四角形であるということはできますが,そのことばがある知性の状態を正しく説明しているのであれば,その知性は単に四角形の誤った観念を有しているにすぎません。ことばと観念は異なるということは,こうした場合にも注意を要することになります。
 したがって,内角の和が二直角であるということをある図形に対して正しく肯定する意志というのは,三角形の真の観念がなければあることはできません。よって観念というのは意志がなければあることも考えることもできず,意志も観念がなければあることも考えることもできないことになります。こうした関係がすべての観念と意志の間に成立するからです。
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