スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

エリザベス女王杯&依頼の理由

2015-11-15 19:15:58 | 中央競馬
 最強牝馬決定戦の第40回エリザベス女王杯
 最初のコーナーに入る辺りではリラヴァティが前にいましたが,外からウインリバティが交わしていって逃げることに。3馬身ほど開いた2番手にリラヴァティ。その後ろも5馬身以上開き,フーラブライドが単独の3番手。これより後ろは差が開かず,りメインサイレントとフェリーチェレガロ,タガノエトワールとシャトーブランシュとシュンドルボン,クイーンズリングとマリアライトとノボリディアーナ,ラキシスとタッチングスピーチとヌーヴォレコルトという隊列で続きました。最初の1000mは60秒7で,これでもミドルペースでしょうから集団は超スローペースに近かったかもしれません。
 このペースですからウインリバティも急激には止まらず,一定の差をつけたまま直線に。早めに動いてコーナーで捲り上げ,直線入口では射程圏に入れていたマリアライトが伸びて先頭に。大外を回って徐々にマリアライトに寄せていったヌーヴォレコルトと,直線でどうにか馬群を捌いたタッチングスピーチの2頭が迫りましたが,ぎりぎりで凌いだマリアライトが優勝。クビ差の2着にヌーヴォレコルト。ハナ差の3着にタッチングスピーチ。
 優勝したマリアライトは今春にオープンに昇級するとマーメイドステークスで2着。秋初戦のオールカマーはいかにも試走といった感じのレースになって5着。重賞初勝利を大レースで達成することになりました。3着馬は直線でかなり苦労していて,スムーズだったらこちらが勝っていたかもしれません。その点では先に動いて早めに先頭に立っていたのが功を奏したといえ,好騎乗の勝利でしょう。やや重馬場になったのも,瞬発力に優るタイプではないのでプラスに働いたと思います。さほどレースを使っていないので,上積みもまだあるのではないでしょうか。父はディープインパクト。母の父はエルコンドルパサー。4分の3兄に一昨年のジャパンダートダービーを勝っている現役のクリソライト。4分の3弟に今年の神戸新聞杯を勝っている現役のリアファル。祖母はキャサリーンパー
 騎乗した蛯名正義騎手は昨年の朝日杯フューチュリティステークス以来の大レース制覇。エリザベス女王杯は初勝利。管理している久保田貴士調教師は開業から12年8ヶ月で大レース初勝利。

 『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』がオランダ語に訳されて出版されるのを防がなければならない理由について,スピノザはイエレスJarig Jellesへの書簡でふたつの説明を与えています。ひとつはオランダ語で出版されれば間違いなく発禁処分を受けるということです。もうひとつは「そうしたこと」を願わないのはスピノザだけでなく,知人たちの願望でもあるということです。つまりスピノザは個人のためにも公共のためにも訳書の出版を阻止してほしいと依頼したことになります。
                         
 スピノザがいっている「そうしたこと」というのは,『神学・政治論』が発売禁止になることであったと思われます。スピノザの親しい知人がそれを望まないのは自然であるといえるでしょう。ですが書簡のテクストは,「そうしたこと」が,『神学・政治論』がオランダ語に訳され出版されること自体を指していると読めなくもありません。後に示す理由によって,知人がそれを望まないといったとしても,不自然ではなかったと僕は考えています。
 「そうしたこと」ということでスピノザが何を意味しようとしていたかは不分明であるとしておきますが,書簡からはっきりしていることがあります。それはオランダ語版が発売されること自体をスピノザ自身は望んでいなかったことです。それが出版されれば発売禁止になるということは,裏を返せば出版されない限りは発禁処分は受けないとスピノザは判断していたことになります。実際には1674年にに発禁処分になりましたから,スピノザの見立ては甘かったというべきかもしれません。ただ,『神学・政治論』の刊行は1670年で,ヨハン・デ・ウィットJan de Wittが虐殺されることによってオランダ政治の実権が議会派から王党派へ移行したのが1672年です。つまり発禁処分は政治体制の反動化が生じた後のことであり,この反動化が発禁処分と何の関係もなかったとは考えにくいように思います。つまりスピノザは,議会派が実権を握っている限り,オランダ語版を出さなければ処分は受けないと考えていたのかもしれず,その見立ては誤っていなかったのかもしれませんし,議会派の政治家と何らかの約束があった可能性も排除できないと思います。
コメント
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