浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

いいじゃん、日本

2008-03-05 21:33:33 | 
仕事場の近くで一人でランチを取るときには大抵まず近くの本屋に寄る。

一人でご飯食べるならなんか読むものがないと暇じゃないですか。

で、今回買ったのが「古今和歌集」。

古今和歌集 (角川ソフィア文庫 81 ビギナーズ・クラシックス)


いや、本当に読みたい本がなくてさー。それぞれの和歌とその説明が書いてある本。とりあえず、って買ったんだけどこれちゃんと読むといいね。

まず最初に序文の説明があります。

原文--
やまと歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける

世の中にある人、事業しげきものなれば心に思ふことを見るもの聞くものにつけて
言ひいだせるなり

花に鳴くうぐひす、水に住むかはづの声を聞けば、生きとし生けるもの いづれか歌をよまざりける

力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女のなかをもやはらげ、猛きもののふの心をもなぐさむるは歌なり

--

現代語訳--
和歌は人の心を種として、それが様々な言葉になったものである。

この世に生きている人はかかわりあいになる出来事や行動が多いので、それらについて心に思ったことを、見るものや聞くものに託して言葉に託しているである。

花の枝で鳴く鶯や、川にすむ蛙の声を聞いて、いったいどんな生き物が歌を詠まないでいられるだろうか。いやすべての生き物が感動して歌を詠むのだ。

力を入れていないのに天と地を動かし、目に見えない恐ろしい神や霊を感動させ、男と女の仲を親しくし、勇猛な武士の心を慰めるのはやはり歌なのである。

--

もうこれだけで良くないですか!?よくなくなくない?

いいね~。

人はいろいろな出来事が多いんですって。それらに感動したら歌を詠まずにいられないんですって。しょんでしょんでその歌は天と地を動かし、男女を親しくし、武士の心を慰めるんですって。

いやー、そうだよな~。

たとえば最初の「和歌」って「ロックンロール」でもいいし「映画」でもいいしなんだったら「ブログ」でもいいじゃん。そういうもんですよね。

深いな~。

和歌の中で「ああ~、きれいやわー」と思ったのはこの歌。

山風に 桜吹きまき 乱れなむ 花のまぎれに たちとまるべく

はい、解説します。

「山風に 桜よ どうかふき乱れてくれ (あの人が)花嵐に 立ち止まってくれるように」

わかります、これ?僕は超わかる。わっかーる。

春は別れの季節ですね。愛した人が旅立っていく季節です。そんな時期に咲くのは桜。春一番のような突風が吹いて桜吹雪が舞い散ってくれれば旅立った人もそれを見るために立ち止まってくれるかも知れない。少しでも自分の近くにいてくれるかも知れない。そんな淋しい気持ちと桜吹雪の情景ががっと浮かびますね。

うーん、美しい。

こういうのちゃんと残していた日本人ってのはいいじゃないですか。