浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

学校論その2 お金の話

2011-02-25 23:00:46 | 日記
続き。

高校にかかるお金に今年度から結構大きな変化があった。

子供をお持ちではない方でもなんとなく「そんなことがあったんだろうなー」という認識はあるかも知れないけどそこがまた複雑なのでちょっとまとめときます。

この話は多かれ少なかれ我々の税金が使われているので多くの人が知っておいたほうがいい話だと思う。

ちょっと政治制度の話になるんで堅苦しくてごめんなさい。しかもざっくり話してるので細かいところ言及してないのはお許しくださいね。もちろん間違ってたらご指摘ください。

2010年度から俗に言う「公立高校無償化」という制度が始まりました。これ、実は間違っています。「公立高校無償化」という言葉だと「公立の高校だけタダになるの?」と思われるかも知れないけどそれは違うんですよ。

正しくは「高校授業料無償化・就学支援金支給制度」と言います。

実はこの制度は非常に簡単に言ってしまうと「全日制の高校に通う生徒の世帯に年約11万を支給する」という制度です。「公立高校に通う生徒」では無いので私立の全日制に通っていてももらえます。

つまり、この制度前はざっくり言うと高校に通うのに、公立高校の授業料が1だとしたら私立は大体4くらいかかった。(授業料の話ね、入学金とかは別)それがこの制度以降は公立が0、私立が3かかる、という形に変わることになる。

そして!ここも大事。実は都道府県毎の制度として「就学支援金」というものがある。

非常にドラスティックなのが大阪府。

大阪府は府独自の取り組みとして「世帯年収600万以下の家庭の生徒は私立高校に通っても授業料実質無償」ということになっている。年収600万まで、というとかなり多くの世帯が含まれるわけでということはかなり多くの生徒が公立も私立もほとんど授業料無しで通えるということになる。

ちなみに言っておくとこの支援金の給付の仕方は「間接給付」というやつで、生徒の世帯に直接渡すわけではなく、間接的に通っている学校に渡す、という形。

(もちろんこの話って何度も言うけど授業料の話で施設利用料だのなんだのは別)

とはいえ両方とも授業料無料、ということであれば私立を検討する人も増える。なもんだから今年の入試(つまり現中3生)は大阪府ではかなり私立の受験者数が増えた。中には私立の校長から「来年度は教室と先生が足りなくなりそう…」という話も聞く。

更に、僕が現場で聞いてる裏話をします。ここから憶測たっぷり。

これだけ大阪は大盤振る舞いしているわけだけどこの「財源」はどこから来ているかというと実は大阪府の公立の中学・高校の教員給与のカット。

おそらく大阪府(というか知事個人だね)が考えているのは以下のようなことなのではないか。あくまで色々な噂話をもとにした憶測ですよ。

公立教員の給与をカットし締め付けることで、多くの先生が「こんなのやってられない」と公立学校を辞めて私立の学校に転職するだろう。しかも私立の授業料が安くなったことで、人気の無い公立は生徒も集まらなくなるだろう。そうなればその公立学校を統廃合しやすくなる。
将来的は一部のまともな公立学校と他の私立が健全に競争する状態になる。。。

という感じの噂話も耳に入ってくる。

この「就学支援金」については僕の知る限り、大阪が一番の対象世帯年収が高いけど、京都は500万まで、と、その他の都道府県もいろいろやってる。

つまり、2010年度から高校生は公立に行くなら国から、私立に行くなら国+都道府県から授業料分(あるいは一部)の支援が受けられる、ということになる。

そういうことなんです。

続く。