浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

映画の話をずらずらと

2010-02-23 00:04:40 | DVD、映画
今月はなんとなく勝手に映画月間になってまして、だばだばと観続けております。

休日の夕方に映画のDVDをセットして、プシュッと開ける缶ビール最高ね。

つーことで観た映画を一気にご紹介。

「ゴールデン・スランバー」


映画館で見ました。
伊坂幸太郎原作。良かったですよ。原作を読んでない人が楽しめるかどうかは僕は知らないけどね。
原作を読んでたら結末を知っているわけで、冒頭、ビートルズの名曲「ゴールデン・スランバー」が流れ、主人公と友達との大学時代の何気ない日常が描かれているだけでグッと来た。
堺雅人は外さないね。
ただし時間の都合だろうけど原作の冒頭「二十年後」のエピソードはカットしないで欲しかったなぁ。ここで「×(ネタばれなので伏字)の声」が生きるわけだし。あ、でも考えて見たらこのシーンを映像化したら××の顔や声を出さなきゃいけなくて××が××てることがばれちゃうから無理か。

「デスプルーフinグラインドハウス」

タランティーノの妄想だけを映画にしたバカ映画。

70年代ミュージック、ギャルのぴちぴちホットパンツ&Tシャツ、車、スピードデルオーイエー、ハシルブツケルウガウガ。

はい、説明完了。

はっきり言います、映画会社はもう少しちゃんとタランティーノに常識を教えなさい(笑)
なんでもかんでも好きにやらしちゃダメでしょ。

僕らなんかはさー、「まぁタランティーノだし」と思って洒落も効くけど、真面目な人たちがこの映画見たらぶち切れますよ。
子供なんかが見たらトラウマで映画嫌いになっちゃうよ。

大学生が友達と観る映画としてはいいと思うけど、30越えたいい大人が観ても「はいはい」というだけ。
40越えてたら「わかるわー、タランティーノ」と思うかも知れないけどね。
はっきり言いますけど開始から半分まで早送りしてから見ても感想あんまり変わんないよ。

これ観ると本当にタランティーノはド変態なんだなー、と思うよね。

つまりタランティーノは足がグンバツでぴちぴちした少々お馬鹿な女の子が大好きなんだろうね。で、出来れば彼女たちが自分の好きな70年代の音楽とかカーチェイス映画とか好きだと更にいい。この映画でも「ヴァニシングポイント(という映画)は最高よ」とか言ってるけどそんな女の子いるわけねーだろ(笑)

そしてそれと反する気持ちとして、強くてしっかり自分を持ってて、男に負けない女も好きなんだろう。すごーくマゾヒスティックだけどそういう女性にボコボコニされたい、という気持ちをタランティーノは絶対持ってるんだと思うよ。

これはね、なんつーか典型的な中学男子の女性の見方のような気もする。娼婦と聖女を同時に求める、というか。

で、お馬鹿な女の子のこと好きで好きでたまらないんだけど自分が相手にされない、ということもなんとなく気づいてる。

なんせ自分は単なる映画オタクで20代後半くらいまで彼女もいなかったくらいの人だからね。

で、普通はここで「俺も馬鹿やってらんないな…」と気づいて努力するわけだけど、タランティーノは違う。「俺の相手してくれねー女どもなんてぶっ殺してやる!マダファッカ!」と女の子を痛めつけるわけですね。

で、痛めつけたら痛めつけたで「ごめんよ~俺が悪かったよ~俺はお前が好きなんだよ~」となってその後は一転して女性が強くなる。

この辺、今までの彼の作品ほとんどでそういうモチーフが出てくるよね。

「パルプ・フィクション」で死にそうになったユマ・サーマン、「キル・ビル」で昏睡状態になったユマ・サーマン。

あれ?ユマ・サーマンばっかか。

いやいや「ジャッキー・ブラウン」でジェーン・フォンダがお馬鹿役、パム・グリアが強い女役やってた。

ま、とにかくほんとーに変態ですね。ほっといたらなんか事件起こすような人ですよ。いやータランティーノが映画という表現方法を見つけてくれてよかったよかった、おかげで世界は平和だ。

とか言って今年は「イングロリアス・バスターズ」で作品賞と監督賞にノミネートされてるわけで取っちゃったら面白いけどね。


「ノーカントリー」


コーエン兄弟のバイオレンス映画。
いつもどおりオフビートというか間抜けというか。「ファーゴ」もほんと間抜けな人たちだったな。

今回は非常にバイオレンス色の強い作品。「バイオレンスが極まると笑いが生まれる」というのは北野武だったか。

たしかにこれに出てくる殺人鬼シガーははっきり言って笑いの対象です。2000年代のターミネーターと言ってもいいくらいバイオレントなんだけど。

「え?その人殺しちゃうの?? その人は殺さないの?、つーかなにその髪型?なにその武器?なにそのデカイ目と鼻?(←そこは関係ない)」

ちなみにこの人、マドモアゼル唯先生の父親そっくりで、会ったことあるドッピオ先生とかは分かってくれると思います。

はっきり言って救いのない映画です。

これがアカデミー賞取るなんていよいよアメリカも病んでるような気がする。
って、どう考えても完全に病んでるんだけどね。

ちなみにこの作品の原題は「No country for old men」。この省略された後半部分が分かってないとこの映画よくわかんないと思います。

毎度毎度言いますけどなんで邦題をつけないんだろう??
邦題をつけないのであればせめて題名を略さないで欲しいな。

コーエン兄弟のこの次の作品も「バーン・アフター・リーディング」っていうわけの分からないそのままタイトルだったし。
「バーン・アフター・リーディング」のほうは勝手に「CIAハチャメチャ珍騒動」ってつければ良いと思っているんだけど、「ノーカントリー」はどうしようか?「年寄りの住む国はない」じゃ直訳過ぎるしな。「恐怖!空気ボンベと七三男」じゃ意味わかんない。

「シックスセンス」

はい、今更ながら観ました。シャマラン監督の作品は初めてです。
1999年の作品だからもう10年前なのね。この男の子もおっきくなってるんだろうなぁ。

最後に大どんでん返し、というパターンですね。ありがたいことに僕は最後の落ちを知らなかったんで素直に驚けました。

これさ「え?どういうこと??」と思ってもう一度観返したくなるけど、もし映画館で観てたらそれが出来ないからもやもやするだろうね。ありがたいことにDVDなので気になるシーンをすぐに観返せました。なるほど、よく出来てる。

でもね、ある人が言ってたけど小説にせよ映画にせよこういう「最後の一行で大どんでん返し」って結局、びっくり箱のようなもので卑怯と言えば卑怯とも言えるよね。こういうの作っちゃうとこれからもそういうの期待されるだろうからつらいだろうね。

だからかどうかシャマラン監督は最近あんまり評価が高くないみたいです。

これからハリウッドではインド系がどんどん活躍するだろうから頑張って欲しいもんですね(上から目線)。

「ブッシュ」

在任中に作られる大統領伝記映画、という前代未聞のジョージ・W・ブッシュ伝記映画。ちなみに主演は「ノーカントリー」で逃げ回ってたジョシュ・ブローリン。

閣僚役の人が全員似てる!以上。

いやいやほんと似てるんですよ。

もちろんモノマネ大会じゃなくて映画だからやってるのは俳優さんで、俳優である以上、顔の造形は多少違うんだけど、それでも口調とかしぐさとかめっちゃ似てる。出来が特にいいのはチェイニー、ライス、パウエルあたり。

オリバー・ストーン監督のブッシュ伝記映画、って言うからよっぽどこき下ろしているのかと思ったらそんなことない。

観てると「なんかブッシュ頑張ってるじゃん」とも思う。テキサスの気のいいおっちゃんでいたらいいヤツだったと思うね。

ただし圧倒的に馬鹿、ほんとーに馬鹿。でもね、決して嫌な馬鹿じゃない。ピントは完全に外れてるけどそれなりに頑張ってる。

つまりまぁ、オリバー・ストーンがいいたかったのは、「ブッシュが悪い、とみんな言うけど本当に悪いのはそんな男を…」ってことなんだろうね。



これらの中で真っ当に人に勧められるのは「ゴールデン・スランバー」だけです。

まったくいい年した男が週末の昼間っからこんな映画ばっかり観てるんだから世話ないよね。

他に「ダークナイト」と「ザ・レスラー」を再見してますがこれらは深いのでまた改めて。