さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

「語るべき明日」を勝ち取った 小國以載、移籍後初の戴冠 強敵石本康隆を下す

2014-12-07 11:38:24 | 小國以載


昨夜は後楽園ホールにて「トリプルメイン」とも言うべき興行を見てきました。
言うべき、というかリングアナの方がそう言ってました。
最後の3試合合計で32ラウンズ、しかも全部KOよりは判定、競った内容になるだろうと
見込まれるカードが並び、全試合終了は10時を大きく過ぎていました。

野球のシーズンもとうに終わっているのに、G+は何故この試合を生中継しないのか、
小國や丸木和也の試合を見ようという地方のファンを釣るためか(私もきっちり釣られました)、
とか思ったりもしたんですが、ひょっとしたら10時までに終わりそうにないから、
という理由だったのかも知れませんね。もしそうなら、ある意味見事なプロの見切りですが...。


まあそんな話はどうでもよく、3試合共になかなか見応えのある内容で、
ホールはそれぞれに盛り上がっていました。
場内は原隆二vs田中恒成よりもさらに盛況、空席もほぼ見あたらず。
自由席は南側後方の左右にほんの少しずつだけ、あとは全部指定という割り振りでした。



そういう盛り上がりのホールにおいて、小國以載は移籍以降初のタイトルマッチを闘いました。

相手は世界ランカーとしてマカオのリングで一勝一敗、日本上位の確かな力を持ち、
国際的な試合の経験も持つ技巧派のベテラン、石本康隆。
和氣慎吾に敗れて以降、移籍を経て再起を期した小國にとり、ひとつの決算となる試合です。


試合は昨夜速報したとおりの接戦となりました。
バスケス・ジュニアを破って手にした世界ランクを手に、世界挑戦権を賭けた一戦で
強豪クリス・アバロス(強いです)に敗れて以来の再起戦となる石本は、
捲土重来を期す決意が表情にも出ていて、思った以上に果敢に攻めてきました。

初回から果敢に先手で打っていく。小國が落ち着いて構え、リターンを決めると、
2回からはさらに構えを締め、姿勢を低くして攻め上げる形に。
小國も得意の左ボディアッパーを軸に迎撃。攻勢で石本、正確さと多彩さで小國という流れ。


小國は過去の試合でも見せていた、身体の締めと回転を生かした打ち方で、
相手の身体の軸を最短距離で無理なく打てる良さが生きていました。
その上コンビの組み合わせも多彩で、左ボディと右アッパー(上)をコンビで打ったり、
相手のインサイドを右で打ち抜いたり、良い形の好打が目につきました。

しかし対する石本も、打たれても怯まず、右の好打を重ね、攻勢を取り続けました。
小國は一打で相手をダウンさせる(けどKOはならず判定)試合も多い選手ですが、
この一戦に賭ける石本の闘志の前に、決定打を奪えず、終盤は手数で劣る回もあり。


一進一退の、中身の濃い攻防が続きましたが、多彩なパンチを散らし、
正確にヒットを重ねた小國が、僅差ながら勝利しました。
私の少し辛めの採点はドローになっていましたが、印象としては納得の判定でした。


さて、国内にも強いライバルが多数存在するクラスですが、石本康隆に勝ったことは
まずは大きな星だと言えそうです。

和氣慎吾との再戦については、実現性がどうなのか不明ですが、もし実現したら、
今回以上の好カードであり、大きな試練でもありましょう。
前回の対戦におけるワンサイドの「大敗」について、どう省みて闘うかにも注目です。



しかし何よりも、小國は二度目のタイトルを獲得することによって、闘うべき「次」の試合、
語るべき未来への道筋を手にしたわけです。大橋、芹江に勝ち、和氣に負け、
今また石本を下した小國以載の存在は、充実したこのクラスの国内シーンにおいても
中心のひとりとして認められるべきものでしょう。

相変わらずの巧さ、素養の良さと、僅かながら残る課題をもって、
彼が勝ち取った「今後」をどう闘っていくのか。
その姿をこれからも追い、見ていきたいものです。


まあ、硬いことはおいて、ひとまず移籍後初の戴冠、小國以載、おめでとう!(^^)!


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トリプルメインのあと二試合は、これまた見どころ十分でした。

正直なところを言いますが、関西依怙贔屓で売っている私としては、
小國が移籍後初タイトルを手にし、それが強敵石本に競り勝ったものである時点で、
すっかり満足してしまっていて、そのあとにこんな「濃い」のを二試合も見ると、
いやもうおなかいっぱいです、もう食べられません、という感じでした(^^;)


柴田明雄と淵上誠の一戦は、これも速報したとおりの壮絶な展開でした。
ジャブを出しまくり、ボディを攻める淵上に、単発ながらヒット率の高い右で柴田が対抗。
淵上が攻勢かと見えたら柴田が打ち込み、また淵上が...柴田が...という展開の末、
11回にとうとう帰趨が見え、ラストで柴田がTKO勝ちでした。

荒川仁人と加藤善孝のラバーマッチは、加藤の勝利。
右リードをどんどん当てる加藤に対し、荒川は右サイドへの移動を増やして
その力を削ぐ動きを見せていて、この辺は巧いなと思ったのですがそれが長続きせず。
米国での二戦で、激戦の末評価を高めた荒川ですが、気力、体力は知らず、
技巧の面で少し、退化とまで言わずとも、思うに任せぬ部分があるのかな、という印象。
加藤の右に終始苦しめられていて、終盤反撃もありましたが、敗れました。

加藤は国際的なレベルの試合ではどうかわからないですが、対荒川に関して言えば、
非常に研究していたでしょうし、集中も高いレベルにありました。
中谷正義への雪辱戦や、その先の試合が楽しみです。


ということで、今年の「ホール納め」は楽しく終了でした。
えらい表現もあるものですが...(^^;)

もっとも、年末また観戦予定が立て込んでいて「拳闘納め」はまだ先です(笑)
我ながらようやるわ、という感じです、ハイ。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

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Unknown (宇弓)
2014-12-07 18:14:47
ホールレポ、お勤めご苦労様でした(出所笑)

昨日はどうしても家から離れられない用事があって、しかもG+もやりやがらないから、歯噛みしながらさうぽんさんのレポに分刻みで張り付いてましたよ。

それにしても荒川が負けるとは思わんかったですね。
試合見てないんでなんとも言えませんが、結構角海老ってえげつない判定もあったりしますし。

なにしろあの中谷との試合でホールで見ててこんなの中谷10ポイント差くらいで勝ってんだろと思ったら、一人加藤につけてるジャッジがいてでんグリ返ったもんですが(笑)
でも昨日は八王子ジムのの興行だし…
てことは順当だったんでしょうかね。

何にせよレポお疲れっす!!
では関東のボクシング納めに、東京体育館でお会いいたしましょう(フジ笑)

返信する
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2014-12-07 22:17:32
>宇弓さん

激励コメントいただきありがとうございました。感謝です。
終盤、速報機器をスイッチした関係でしっかり見られなかったのですが、加藤がよく研究していて、対する荒川は右への移動、軸を変える動きが一時的に出たものの、それが影を潜めてしまったのが敗因と見えました。加藤の右から遠ざかる動きができなくなってしまい、その分よけいに打たれましたね。

角海老さんはそういうの多いんですかね。私は小國vs石本でA尾さんが小國の勝ちにつけたことに驚きましたが(笑)まるでベルリンの壁崩壊以来の衝撃や...とまでは言いませんが(笑)

東京体育館はえらいことですねぇ。大いに楽しみましょう。年末はその二日前の住吉もありまして、ホントに大変です。これこそ大晦日府立以上の、真の年末大阪決戦や!とこのブログではささやかながら盛り上げていこうと思っとります(^^)誰も相手してくんないかもですが。

返信する
Unknown (ゆかり)
2014-12-23 21:48:25
素晴らしいレポです

私も小國選手をこれからも追っかけます!!
返信する
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2014-12-24 17:55:15
>ゆかりさん

私もかなう限り、小國以載の今後を「追っかけ」ようと思っております(^^)
拙いブログですが今後ともよろしくお願いします。

返信する

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