さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

意地の張りどころが違う 久保隼、快勝ペースを手放し辛勝

2018-04-29 07:35:22 | 関西ボクシング



昨夜は、神戸中央体育館で観戦してきました。
久保隼と大沢宏晋のWBAフェザー級ランカー同士の対戦でした。


好カードと言えば言えるのでしょうが、共に状況自体はあまり良くない者同士、という風に見ていました。
久保はダニエル・ローマン戦からの再起戦ですし、
大沢は昨年末の試合ぶりをTVで見る限り、非常に不調に見えました。
大柄な体躯とリーチを生かせず、序盤から上体が折れてしまっていて、バランスが悪い。
歴戦の疲弊が試合ぶりに出てしまっている、というのが正直な印象でした。

しかし、同じ関西の枠組みで、同じ階級になったら、すぐにこういうカードが組まれた、
そのこと自体は良いことですし、内容どうあれ見に行こう、とは思いました。
そりゃ、共に世界で黒星をつけられる前に対戦があれば、なおいいですけど。
大沢宏晋がかつて闘った、坂晃典戦のように。


会場にはフジ系列の関西ローカル、関西テレビのカメラが来ていましたが、
見た限りでは固定が一台、ハンディが一台だけ。
実況席らしきものはなかったので、試合の録画放送ではなく、
夕方のニュース番組かなにかで取り上げられるのでしょう。
ネット配信の話も聞きませんので、経過も一応、簡単に。


初回は久保の右、大沢の左、ジャブやパーリングの応酬。さらに大沢は右から、久保は左ヒット。微妙ながら久保か。
2回、久保が右ジャブから左ストレート。大沢も右当てる。
しかし、頑張って当てている大沢、無理なく当てられる久保、という対比が見えてくる。久保。

3回、大沢鼻血か、出血で顔が赤い。久保左、ショートもロングも。
大沢クリンチ増える。離れ際の左フックのみ。久保。
4回、クリンチ増加。大沢はミスしてクリンチするばかり。久保離れて左。少しショートでも応じる。久保。

久保、快勝ペースに見えたが、5回、大沢が劣勢を意識したか、さらに前進を強める。
というと聞こえは良いが、実際は無理に突っ込み出した、というところ。
早速バッティングが起こり、久保右まぶたを切る。ドクターチェック入る。
大沢出ては揉み合い、久保も応じる。大沢からホールドで減点1。やや大沢か。

これ以降、クリンチ、ホールドの合間にボクシング、という展開が続く。
「どちらに振るか」悩むのではなく「どっちにもつけたくない」回もありました。

6回、久保が左ストレートで突き放せず、大沢が出てはクリンチ、ホールドの応酬。大沢。
7回、大沢が押して、右ロング単発。久保からホールドで減点1。大沢。
8回、久保が逆にロープ際に押し込んで、ショートを打つ。意地になっている風。
久保が手数でやや上か、大沢クリンチからの左フックが2発あり、それを取るか。微妙。

9回、久保、少し離れた距離から左当てる。大沢左右ヒットも単発。久保。
10回、大沢、ミスしてはクリンチ。久保少ないが左ヒット。右フックも。久保か。

採点は97-95(久保)、95-94(大沢)、96-93(久保)。
2-1で久保の判定勝ち。さうぽん採点は最後のと同じでした。



前半は久保がまずまず快調でした。
フェザー級に上げてなお、痩身の印象は変わりませんが、左ストレートを当てる距離、
右ジャブが出ているときの優位性は、従来通りか、それ以上のものを出せていたと思います。
問題は、試合後のコメントにもあったように、離れた距離を維持しようと努めず、
敢えて自ら、ショートの距離で、押されたら押し返し、踏ん張ったことでしょう。

本人はショートの距離でもやれる、という形で意地を張り、それを通したのでしょうが、
接近してヒット・アンド・カバーをやるバランスなど持たず、
押し込んで手を出して、クリンチしてまた、という繰り返し。
序盤が快調だった分、余計に残念でした。

きついようですが、あのレベルの揉み合い、押し合いを「インファイト」と言われても困ります。
意地になるポイントが違う、ストレートパンチャーとしての良さを出すことにこだわってほしいし、
そこにこそ「意地」を張るべきだろう。率直にそう思います。

しかし、今後、格上の相手と闘い、苦しい局面になったときに、見た目は悪いが粘れる力もある、
という部分では、階級を上げた効果も含め、今までにはない部分も見えた、とは思います。

本人は「まだ名前を出すのはおこがましいですが、闘いたい相手もいます」と語っていました。
清水聡のことを言っているのかな、と思いましたが、その辺はまだ不明にせよ、
次もまた、上位とのカードを組む、という陣営の言もあったそうです。今後に注目ですね。



大沢宏晋については、新人王トーナメントの頃から、けっこう数多く試合を見てきた選手ですが、
正直、今まで見た中で、一番不調でした。悪かったなー、というのが率直な印象です。

序盤、前の手で激しく牽制し合ったのち、右ストレートから入ってヒットを取ったあたりは良かったですが、
久保の左を当てられては、少しずつ体勢を崩されていき、中盤以降はラフに出たものの、
ミスが多く、クリンチ、ホールドに逃れて、そこから単発のヒットを取るのが精一杯。
もし久保が、しっかり距離を取ることに専念出来ていたら、クリアな敗戦を喫していたことでしょう。

リーチは久保も負けずにありますが、体格自体は大沢の方が大きいと思っていたら、
リングに上がった時点で、上体がいつになく「薄く」見えたことも含め
(ベガスでの世界戦のときも同様でした)、色々厳しくなってきているな、という印象でしたが、
試合の内容は、残念ながらそれを裏付けていたように思います。


これはもう、ファンの勝手、というものの極みですが、
大沢にもこういうときが来たのかな、と、若干寂しい気持ちでもあります。
そして、それにきっちりとした勝ち方で「引導」を渡せない久保にもまた。

全体的に、少々残念な感想を持ってしまった観戦でした。



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ところで前記事にて少し触れた、DAZNのライブ配信の件ですが、
本日配信予定が出ていたジェイコブスvsフレッキ戦は、配信予定がいつの間にか、
HPから忽然と消えていました。

DAZNは時々、こういうことを平然とやります。
以前、英国からヤファイvs石田戦のライブ配信予定が、直前でなくなり、
後日の視聴に変わったことがありました。

このとき、DAZNに「予定が変わったなら、HP上のどこかでその旨、記載するべき」だとメールしたのですが
「編成上の都合です」でおしまいでした。文言は非常に丁寧でしたが、事実上のゼロ回答でした。

今回は代わりに、来週日曜午前2時から、英国でのベリューvsヘイ再戦が配信予定となっています。
この日はお昼前くらいから、WOWOWでゴロフキンvsマーティロスヤン戦もありまして...。

正直、全部まともに見てたら、途中で気を失ってしまうかもしれませんね。
困ったものですわ、本当に。



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2 コメント

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Unknown (R35ファン)
2018-05-02 11:02:21
お久しぶりです。この試合を物凄く好意的に解釈すると王座陥落試合で全然出来なかったクリンチを出来たことですかね。やはり久保君はいかに長い距離で戦えるかの選手であり、ショートパンチ打てないし、フックやアッパーに力感ないし、近い距離は不向きですよね。ただ久保君は一応元世界王者ですが、まだ東洋レベルで勉強中の身だと見てますので再起戦としてはこんな物かなと。
次のレベルにはあの長い左以外に何か一つ欲しいですね。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-05-03 07:31:50
>R35ファンさん

クリンチというのは、必要に応じてやるべきものでしょうけど...確かにもつれた状態でも手が出せるところは見せましたが、基本的に、不調でラフに出てきた大沢相手には通じた部分もあるにせよ、ああいうレベルのものを「ショートでの打ち合い」「インファイト」と言っていいのか、と傍目には思います。そもそもスタンスや重心が、ヒット&カバーが出来るものではないですしね。それに、今回の大沢なら、いかに強引に来ようと、序盤の調子で左ストレートを当てていく展開を、終始維持して勝たないと、上は目指せないでしょうしね。その上で、インファイトしないといけない回がふたつみっつあっても、それを乗り切って、ということでないと。
どうも、本人の闘いぶりやコメントを見るに、その辺、違和感を感じました。
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