さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

強みも弱みも見せた、両者の激闘 下町俊貴、石井渡士也とドローで初防衛

2023-11-01 07:27:15 | 関東ボクシング


ということで昨日のLemino、無料ライブ配信、偶数月のフェニックスバトルは毎度の通り、大盛り上がり。
良いカードが並ぶのが常、という感じの興行ですが、今回も期待通り、いやそれ以上に、好ファイトの連続でした。
取り急ぎ、メインの感想文からいきます。


メインは日本スーパーバンタム級タイトルマッチ、長身、痩身のサウスポー下町俊貴に、小柄な強打のファイター石井渡士也が挑む。
おそらく、日本ランカーの中では一番の強打とスピードを持つ最強挑戦者に、下町が王者としての真価を問われるという一戦でした。



初回は石井が好調そう。程良く絞れ、程良く張った筋肉が躍動している。踏み込みのスピード、ボディブローの精度とも、大湾硫斗よりさらに上。
しかし下町も懐の深さを生かし、石井の手を外すと、伸びる左ストレートと、切り返しの右フック好打。
2回も左伸ばして石井を下がらせる。身体寄せての打ち合いでも、締めたガードとインサイドへのリターンで応じる。両者、ボディブローの好打が目を引く。

3回、石井が右から攻め込むが、応援団が沸くほど「芯」には当たっていない。下町、左ショート返して回り込み、脱出。
下町が左ストレート、左ボディアッパー、右フック返しと見映えの良いヒットを重ね、石井の右をスウェイで外して、また伸びる左。
石井、赤コーナーのマットに身体が当たる。下町追撃のコンビを上下に散らす。ボディへのパンチは正確で、石井ダメージありと見える。

石井も好調そうだったが、序盤3つは下町が抑える流れ。
しかし下町にとり、こういうビジーファイト、というか、傍目に「良い試合」と見える展開が、本当に良いのかどうかは、若干疑問でもありました。


4回、下町の左ボディアッパー、また好打。しかし石井が構わず出て、右を叩き、左ボディフックで対抗。
終盤、右相打ちで下町を止める。石井さらに攻め、ポイント取る。右好打よりも、サウスポーの泣き所である、前に出たレバーを再三打てたのが大きい。
5回、下町足が止まり加減。左ショートの好打で石井を止めるが、石井踏ん張って右ショート、左ボディの連打で攻め込む。石井。

途中採点、3対2で割れる。さもあろう、という。


6回、石井がさらに勢いを増す。右ショート、アッパーに左フックと、連打で攻勢また攻勢。右ボディも再三打つ。石井。
7回も石井がスタートから出て、下町にロープを背負わせ、ゴロフキンのような斜め上からの左フックを連発。
しかし下町も劣勢から、左ボディをアッパー、ストレートでヒット。石井効いて、手数が止まり、上体を折って凌ごうとする。
下町、迎え撃ちをする余裕が生まれ、アッパー気味の右をクリーンヒット。この回迷う。

下町の脇腹は打たれて赤いが、石井もボディにダメージを負っているのは明らか。
終盤、互いにここをどう攻略出来るかが鍵、と見える。

8回石井出るが、パンチの振りに身体の回転が追いついていない打ち方が散見される。世に言う「手打ち」というやつ。
下町、返しの右フック、左アッパーの迎え撃ちで印象的なヒットを取る。下町。

そして9回、下町のビッグラウンド。石井のプレスが見るからに弱まり、下町がヒットを重ねていく。
下町の左ボディブローが入り、石井完全に止まる。下町即座に追撃、左右のラッシュで石井の顔が跳ね上がる。
さらに下町、連打の雨。石井逃れようとするが、身体を支えられず、崩れて右手をキャンバスにつくダウン。

と思ったら、レフェリーがまさかのスリップ裁定。直前にヒットがなかったから、という(屁)理屈で、赤コーナーの選手を護るための裁定。まあ、よくあるやつ、です。
倒れた要因が明らかに打たれたダメージなのに、何でこういうことを「していい」と思っているのか。
またこれって「逆」ならダウン、って言うんですよね。毎度ながら腹立たしい限り、ですが。

再開、下町さらに左右で石井の顔を何発もヒット、顔を跳ね上げる。ロープにもたれて堪える石井、さらに数発打たれる。
これまた「逆」なら、レフェリー大喜びで止めているだろうが、案の定、続行。
この後下町、終盤の好機に猛ラッシュをかけて疲れ、スローダウン。石井なんとか打ち返してゴング。
この回、本当ならダウンあったので10-8だが、10-9で下町。


劣勢と見えても、反撃の端緒を見つけてしっかり逆襲する、見た目は華奢な下町の「二枚腰」が見える展開。
しかし過去最強の相手、石井を仕留めきれず、ストップ勝ち寸前まで行ったが、倒しきれない精度と威力の不足という課題も見えた。
これが祟って最終回、石井懸命の反撃を許す。下町も要所で左ボディを返し、石井きつそうだが手を出し続ける。この回も迷うが、石井か。


判定は96-93でひとりが下町、あとは95対55で、1-0下町のマジョリティドロー。
最初の採点は、ラウンド数でいうと7対4となるが、これは9回を10-8にしたものでしょうか?
ついでに私のヘボ採点だと、6対4で下町か、ドローまで。石井の勝ちはないと見ましたので、公式採点にはある程度納得ではあります。


ということで、両者の強みが存分に出た激戦、熱戦でした。
同時に弱みというか課題も全部、互いの力によって炙り出されてもいて、それを何とか乗り越えようとする両者の姿が、感動的でもありました。
上がどうのレベルがどうの、という話はひとまずおいて、日本タイトルマッチとして、最高の試合だったと思います。
10ラウンズ、始まってあっという間に終わった、という感じでした。両者に拍手です。素晴らしかった。


こういう試合が何と無料でライブ配信されたんですから、出来るだけ多くの方々に見てもらえたらな、と心から思いますね。
こちらでアーカイブ見られますんで、眉間じゃなくて未見の方おられましたら、是非。


その他、アンダーも色々と見どころありで、ちょっとした「神興行」だったかもしれません。
その辺の感想はまた明日以降にでも、ということで。



コメント (3)
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