ということでショータイムのラストPPV、U-NEXTでのライブ配信ということで、有り難く視聴しておりました。
簡単に感想ですが、メインはやっぱり強いぞデビッド・ベナビデス、という結論で終わりました。
デメトリアス・アンドラーデは、いつもは序盤にスパートして、3回くらいまでに打ち込み、ダウンも取り、でもスローダウンしてペース配分、リードを元手にコントロール、という、見ていてどうも楽しくない試合をする選手でしたが、今回はそういう算段ではなく、本当に出るとこは出て打たないと、この相手には通じない、という「覚悟」が見える試合ぶりでした。
2回にはコンビネーションを繰り出し、揉み合いながらも打ち勝ち、気合い充分。
3回も身体を寄せた位置から攻め続ける。
しかしベナビデス、長い腕を畳んで、右アッパーから左フック返しなどを決めていき、アンドラーデが巧みにアングル変えて打ったり外したりしても、まるで容易いことのようにパンチの軌道を変え、角度を変えてアジャストしていきます。
単に大柄でパワフルで、というのみならず、防御勘も良く、パンチも最短距離を見つけて通し、当てられる。
攻防共に豪快なイメージがあるが、実は緻密で繊細な部分が一番凄い。
そんなデビッド・ベナビデスの「強い天才」ぶりが徐々に発揮され、4回の右強打でのダウン、その後も断続的な攻撃止まず。
アンドラーデ懸命に凌ぐが、ダメージを受け続け、6回終了後、セコンドが棄権の意志表示。誰もが納得の決断でした。
過去のドーピング違反、体重超過などの「前科持ち」ではありますが、同時に誰の目にも明かな天賦の才と、天与の体格を持つ26歳。
ようやく大試合と言えるカードに辿り着き、果敢に挑んできた技巧の王者、アンドラーデをも、きっちり撥ね付け、打ち据えるデビッド・ベナビデスの強さは、まさに圧倒的でした。
試合後は改めて、カネロ・アルバレスとの一戦を待望する旨、語っていましたが、その強さ、充実ぶり故に、結局はその一戦が遠ざかってしまうんではないか、と思うほどに。
しかしWBCも、いつまでもこの団体内統一戦を先送りにする理屈を生み出し続けるわけにもいかんでしょうし(ラスベガスにおける大一番として実現するために、なんて言えませんからね。本当にそうなりますから)、どうなるんでしょうかね。
まあ、普通の頭では追いつかない、面白い話を、また聞くことになるのかもしれませんが...。
セミのジャモール・チャーロは、体重超過しようが、観客にブーイングされようが関係なく、パワーと体格でまさるノンタイトルのカードで、ホセ・ベナビデスJr.に、無理をせず、錆落としに徹する、という試合ぶりで判定勝ち。
ブランク明けだから、という理屈は当然あるわけですが、そういう試合って、こんな大きなイベントでやるんじゃなく、地元のローカルファイトでこぢんまりとやるものでしょう、というところですね。
ベナビデス兄は、パワーの差を積極性で埋めて、健闘したと思います。彼のおかげで、試合自体は救われたかな、という印象でした。
IBFスーパーライト級タイトルマッチ、スブリエル・マティアスvsショジャホン・エルガシェフは、マティアスの5回終了か、6回開始かのTKO勝ち。
序盤こそ左ストレート、それをリードにした右フック返しやコンビネーションが出たエルガシェフですが、タフなマティアスに身体を寄せられると、ショートの距離での防御が甘い欠点を露呈し、あっという間に打ち込まれてしまう。
その流れを変えられず、はぐらかす巧さもないエルガシェフ、劣勢が続いて、わりとあっさり棄権?した感じでした。
WBAスーパーフェザー級タイトルマッチは、レイモント・ローチがエクトル・ルイス・ガルシアを僅差2-1で下し、新王者。
解説の岩佐亮佑が、自分の見方を反省するようなコメントをしていましたが、無理もない、というくらい「どっちでもええわ」な回が9つ重なった挙げ句、10回からようやく展開が動く、という難儀な試合。
10回ローチが攻勢、11回にローチのダウン奪取(スローで見たらヒットじゃなくて、引き倒しのような感じでしたが)があって、でも最終回は元通り。
要は最初の9回をどう振り分けるか、もう好き好きやなあ、という風に思っていたら、判定はローチに行きました。
まあ、終盤までは見ていてあまり身の入らない試合でしたね。別にレベルが低いというわけではなかったんですが...。
さて、ショータイムでの放送が最後となった、PBCの試合ですが、今後はAmazonかNETFLIXか、或いはちょっと格差付けて?双方に配信するか、とか、ちょこちょこ記事は見ますが、まだはっきりとした話ではないようです。
今後、U-NEXTにおける、FIGHTSPORTSを通じてのライブ配信が、これまで同様にかなうのかどうかは、ちょっとわかりませんが...ショータイムのボクシングを「切った」パラマウント+の配信がWOWOWオンデマンドで始まる等々、スポーツに限らず、オンデマンドの業界は色々と激しく動き続けています。
Amazonが海外ボクシングを配信するなら、帝拳の関与もあろうし、見やすい実況解説付き、という期待は出来るかもしれません。
しかしNETFLIXとなると、そういう体制になりうるものかどうか...まあ、遠からず答えは出るでしょうが、気がかりなことです。