ということで楽しく生中継を見ておりました。
なんか、試合以外のところでもあれこれと賑々しかったですが、まあそれはおいて、簡単に感想。
やっぱり試合前からの様子通り、マイケル・ダスマリナスは若干、弱気だった模様。
初回早々、井上尚弥に対し、右リード(ジャブやフック)でお伺い、というところに左フックを合わされる。
続いて左のリードジャブをガードの内に通されると、戦前の識者の予想のように、上体や頭を前に出して嫌がらせに使うことすら出来ない有様。
昨日、右アッパーでの迎え撃ちから崩すかな、と思って、そう書きましたが、そんなものは無用でした。
その代わりというか、ダスマリナス、立ち上がりは足が軽やかに動き、これが続くなら面倒もあるか、と思わせはしました。
とはいえ、先日WOWOWでハイライトが流れた試合で、モルティ・ムザラネを破ったサニー・エドワーズみたいなマラソンボクシングが出来るわけでもなし。
徐々に井上が、左右を内外上下に散らして来ると、ダスマリナスも仕方なしに打たざるを得ない。
悲しいかな、威力も精度もはっきり差があり、打ち勝てず、逃げも出来ないという状況。
2回、井上の、右でガードの上を弾いておいての左フックが、ボディに「斬り付け」られ、最初のダウン。
3回も同様の攻撃で倒れ、終わったかと思ったが立って続行。
ダスマリナス、モラルの高さは見せたが、最後は脇腹に貼り付けていた右肘がわずかに前にずれたところを打たれて倒れ、レフェリーが即ストップ。
最後は、それまではコンビの締めに打っていた左フックを、「単発」に切り換えて打ったように見えました。
本人、特に意識もしていないんでしょうが、なんだかだ世界タイトルマッチとつく試合の最中に、コンビの流れでなく、相手の右肘の位置を見て「あ、空いた」となれば、そこで判断を変えて、即座に叩ける冷静さ...というのを越えた、人を倒し慣れた人間の仕業、というべきか。
何しろ鋭い狙い方ですが、それをさりげなくやれる「殺し屋」ぶりが光りました。
井上尚弥、今回は、最初から余裕が見えたというか。
迎え撃ちでなく、追う展開でしたが、左を外からひっかけ、内を通し、下で仕留める、左の見本市みたいな展開で、巧いし速いし、その上でしっかり強い。
立ち上がり、相手の足がずっとこの調子で動くなら、井上が不調だったら、ある程度は逃げられる可能性もゼロではない...こともないのかな、と開始数十秒の間は思いましたが、二度にわたって外から左引っかけた時点で、そのような不安も消え、あとは単なる「お料理の時間」でした。
勝てると言われる試合をその通りに勝つのは、それなりに難事ではある、というのも、普通なら真実だと思いますが、今さらながら、井上尚弥というボクサーは、そういう普通とは違う次元にいるのだな、と実感した次第でありました。
さてさて、試合後はあれこれ賑々しいというか。
アンダーや待ち時間の最中に、ネット上では8月14日のジュンリエル・カシメロvsギジェルモ・リゴンドー戦が、カシメロvsノニト・ドネア戦に変更になる、とドネアがSNS上で公言した、というニュースが広がっていて、試合後のインタビューでも、ドネア自身が笑顔でそれを肯定しました。
WOWOWのスタジオでも、実況解説陣が「正式な情報はまだいただいてないんですよー」と、字面だけなら困惑のコメント。でも顔は嬉しそう(笑)という、なんとも言えん感じでありました。
いやしかし、ホンマに色々、今後どうなるんやろー、という楽しみも、普通以上に残った生中継でした。
この辺はまた、おいおい楽しく語り合えるところだと思います。
そして、もちろんその楽しみの土台には、当たり前のようにベガスのリングで、ESPN全米生中継のメインイベンターとして、2戦連続でKO勝ちを収めて、それでも平然、という風呂上がりのような笑顔を振りまく、井上尚弥の偉大があるわけです。
なんだかんだありますが、ボクシングファンとして、このあたりに関しては、本当に幸福な時のただ中にいるのでしょうね、私たちは。
と、昨日も貼りましたが、先ほどWOWOWのオンデマンドライブが始まりました。
高柳さんと西岡利晃です。試合の余韻に浸りつつ、皆さん見ましょう(^^)