さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

新旧対決「旧」意地の追い上げ届かず リナレス、ヘイニーに判定負け

2021-05-31 15:06:44 | 海外ボクシング




昨日のDAZN、メインイベントはライト級新旧対決。
実質「世界ライト級」王者テオフィモ・ロペスへの有力挑戦者の座を争う、と見るべき試合だけあって、非常にレベルの高い攻防が見られた一戦。
WBC正規王者デビン・ヘイニーが、元王者ホルヘ・リナレスの追い上げを振り切って、判定勝ちでした。



初回、ヘイニーのワンツーにリナレスは左フック返すが、それ以外はヘイニーのダブル、トリプルのジャブが上下に。ヘイニー。
2回、ヘイニー右アッパーで入る。ワンツー速い。リナレスも右で脅かすものの、手のスピードはあるが、足の動きで差がつく。揉み合ってもヘイニーが押す。ヘイニー。
3回、ヘイニー今度は左アッパーで入る。この回ヘイニー、ヒットで先手、クリンチ増やし、ジャブ突いて離れる、という三分割した闘いぶり。
リナレス左フックは良いが単発、ボディジャブで突き放される。ヘイニー。


4回、リナレスが奮起。ヘイニーの速いジャブに負けず、ジャブを繰り出しつつ圧して出る。スリーパンチ、右から左の返しヒット。リナレス。
5回は互いにガードを意識し直したか。ヘイニーの速いパンチが来ても、リナレスが軸を崩さず打ち返す。左フック互いにヒットあり。ややヘイニー。
ヘイニー、右肘を当てに行った?場面もあり。

6回、ヘイニーが低い姿勢で頭から押し込む。リナレス、速い連打、左フックを見せるが、やや上体を起こされてもいる。
ヘイニーの速いワンツーが出る。ペースを巧く変えたヘイニーの回。
7回、左の応酬、リナレスのスリーパンチにヘイニーの左アッパー。ヘイニーのダブルジャブ、上下。ワンツー、右がリナレスのガードを破る。ヘイニー。
8回、ヘイニーの速い左フック。右で追撃、ジャブで突き放す。リナレス、ロープ際へ押される。ヘイニー。


ここまでは若き逸材、ヘイニーの快勝ペースに見えました。
パンチの速さを含め、上半身だけなら両者、互角ですが、やはり下半身、足の動きに差があり、こまめに動いて打ち、外せるヘイニーの敏捷さと比べ、リナレスはどうしても硬く、遅く見えました。
そこへ来て6回以降は、逆に押し込まれてもいて、ヘイニーの適切な試合運びも光る。これは厳しいな、というところでした。が。


9回、出るヘイニーにリナレスがボディ連打。ヘイニー少し落ちたか?
ヘイニーの速い左フック、リナレスの右クロスから返しの左が互いにヒット。リナレスのヒットがより深いか。ややリナレス。
手応えあったか、リナレス、コーナーに帰ってシャッフル。
10回、ヘイニーが打ったあと動けず、止まり出した印象。突き放しのジャブも鈍い。リナレスが打ち返すパンチの、決まる頻度が高くなっている。
終了ゴング間際、リナレスの右クロスが決まり、ヘイニー、足を突っ張らせてコーナーへ。リナレスの回。

11回はヘイニー、クリンチするにも一応打ってはいたが、最終回はもう、パンチ出さずにもろ差し狙い。
腰を落としてまわしを取りに行く、という風で、もはや相撲取りのような有様。場内ブーイング、失笑も?
いずれもリナレスの回。


しかし判定は3-0でヘイニー。さうぽん採点は7対5、ヘイニーでした。
妥当なところだったと思います。



中盤までは、新旧対決の「新」、ヘイニーがその優れた才能と能力を発揮していた、という試合でした。
リナレスは攻撃力、その質では負けておらず、威力では優っていたと思いますが、ヘイニーはジャブでの距離構築のみならず、攻防ともに若手らしからぬ幅がありました。
4、5回あたり、リナレスが圧力をかけてきた流れを、6回に自分から出て押し返し、序盤とは違う形で、自分のペースを掴み直しましたし、パンチの速さはもちろん、防御動作も速く、高い集中を見せていました。

ですので、9回以降、リナレスが挽回し、さらに10回の攻勢、右ヒットへの流れは、「旧」の側たるリナレスの闘志、意地が、こちらの想像を超えるものだった、と言うしかありません。
ラスト2回は、ヘイニーがポイント計算したというより、あれ以外やりようもなかった、ということだったのでしょう。



ヘイニーはやはり、最後がみっともよろしくなかったと言われるでしょうし、そう思いもしますが、反面、若いうちに本物の強敵と闘って、何もかも綺麗に話をまとめ、収めるというわけにもいかんかな、という気もします。
レナードやメイウェザーだって、キャリアの上昇段階で、リナレス級の相手に当たっていたら、多少なりともドタバタはあったかもしれない、と思います。
その辺の「断」は、この試合を経て、今後の成長がどのようなものになるかを見てから、ということにしておくべき、なのでしょう。


リナレスは、残念ながら下肢の動きの差、柔軟性のなさが、左ジャブの攻防で劣ることに繋がり、序盤から中盤までの回において、「違い」を作られた感がありました。
しかし倦まずに攻め続け、ボディ攻撃を端緒に、終盤は怒濤の追い上げ。敗れてもなお、誇りを持ってリングを降りることの出来る闘いぶりでした。
結果はヘイニーが生き残り、さらに上の試合へと歩を進めることになるのでしょうが、リナレスもその力をしっかりと示した、と思います。
少なくとも、世界ライト級上位戦線から「脱落」した、という見方はあたらないだろう、と。
また、頂点に立つ王者ロペスの動向次第では、上位陣同士の対決の機会は、まだ充分残ってもいるでしょう。



世界ライト級の上位対決、そして新旧対決は、互いの戦歴からくる現状、それぞれの長所と短所がほとんど全部、といっていいくらい、しっかりと見られた、濃密な12ラウンズでした。
これをライブ配信で見て、改めて、楽しいひととき、というに収まらない、心沸き立つ、そして震えるような時間を過ごせました。
両者に拍手、そして感謝したいと思います。



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ということで、一曲。
the pillows「サード アイ」。








コメント (2)
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