さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

恐るべき「捕食者」が健在示す ドネア、ウーバーリをKO、WBC王者に

2021-05-30 15:42:00 | 海外ボクシング



ということであれこれ大変な一日、ひとまずWOWOW3試合と、DAZNのメイン一試合、計4試合を見終えました。
シティvsチェルシー入れたら5試合やないか、というツッコミが聞こえてくるようなこないような...。
こちらについてはあまり突っ込んだことは言えませんが(笑)カップファイナルとは必ずしも、強い(と評される)方が勝つとは限らない、ということかなぁ、と。


それはさておき、今日は一昨日の記事コメント欄にて、hiroさんにご指摘いただいたとおり、国内でも二興行がネットで見られるのを含めて、本当に大変な一日でした。
感想文は順を追って、ということで、まずはWOWOWのメインから。



序盤から王者ノルディ・ウーバーリが、いずれ捕らえられる「獲物」のように見えてしまったことに、自分で驚きつつ、試合を見始めました。
細かく適切な動きで、手数出して外して、とやっていて、ポイントも取れてはいる?スタートながら、解説の西岡利晃も語っていたように、ノニト・ドネアのカウンターがいつか決まりそうな雰囲気。

ウーバーリ、試合開始の時点で、さいたまで見たときの印象と違い、計量後、さほど身体を戻せていないように見えたこともありますが、要するに、その無駄のない細かい動き、出入りのパターンが、ドネアの「捕捉」範囲を逸脱するものではない、ということが、すぐにはっきりしたような気がしました。

また、両者のスピード、リズム感が「合う」ようにも見えて、序盤からドネアの「合わせ」技が出やすい流れでもあろう、とも。
そもそも、サウスポー相手に、生き死に紙一重のタイミングで、左フックのカウンターを決めるのが得意、というか「好き」な選手でもあります。


初回、2回とも、WOWOW解説陣はウーバーリにポイントを与えましたが、本当に際どい角度に、深さを持つパンチを打っているのはドネアの方。
しかも「本命」の左フックよりも、低めの右ストレートで「お伺い」を立てていたりする。

そして3回、ますます合わせのタイミングが良くなり、右ストレートボディ、左アッパー上をインサイドへ。
次にウーバーリが手を返すところに、視野の外から狙う、左フックのカウンター。
ドネアの「殺しのパターン」がひとつ出て、ウーバーリがダウン。

再開後、もう細かい手順を省いて良し、と見た?ドネアが、ウーバーリの左アッパー、右フックの間に、左フックを差し込む。
追い詰められた「獲物」は、時に無理なことをして、危機を脱しようとするものだ、ということを承知している「捕食者」の仕業。
ウーバーリぐらつき、ロープからロープへ追われ、ゴング後かどうか微妙なモーションから始まった左フックを、またも左アッパーに合わされて、二度目のダウン。

レフェリー、かなり時間かけてチェックし、続行を許可(こんなんなら、20カウントでKO、とルール変えないかんがな、と思いますが)。
4回、一見するとドネアがもっと手を出して、詰めに行かねば、とも見える展開が少し。
しかし、ドネア本人が、もう回復など無理だ、という手応えから、じっくり狙ってよし、という余裕を持っていた、ということか。
ウーバーリに「やらせて」おいて、左アッパー、左フックを力まずに合わせていく。
最後は連打で攻めて効かせ、ロープに追って、左右、そして足を踏み換えての左アッパー。ウーバーリ、立てず、KOとなりました。



私の友人が「捕食モードの爬虫類」と全盛期のドネアを評していまして、なるほどなあと思ったんですが、今日のドネアはまさしく捕食者、Predatorでした。
年齢やコロナ陽性によるブランクなど、普通ならマイナス要因だらけのはずが、それもある意味、良い休養になったのでは、と思うくらい。
ウーバーリという相手が、思った以上に相性が良い相手で、またかつては数多くスパーをした仲だったことも幸いしたのかも知れませんが、それにしても絢爛としか言いようのない拳歴の果てに、まだこれだけの強さを、そして捕食者としての手際の良さ、殺し屋としての恐さを見せつけるあたり、単に感動的というのを超えて、恐ろしく感じました。

試合後はウーバーリを気遣い、明るくインタビューに応え、という好感度の高い姿を見せていましたが、思うことはやはり、井上尚弥はよくぞこの恐い人に勝ったものだなぁ、というに尽きました。
ことによると、再戦待ったなし、なのかなぁ...いや、多分そうなるんだろうなあ、と思うと、楽しみでもあり、しかし心配でもありますね。


しかし、試合後の井上尚弥の反応は、いかにも彼らしいもの、でもありました。
傍目には、あまり良いカードとも言えない次戦に向けて、気持ちの面でどうなのかなあ、と思っていたりもしたんですが、この試合を、ドネアの姿を見て、その辺が前向きなエネルギーを得たものに変わるんではないか、と思ったりもします。

それもこれも含めて、さすがはノニト・ドネア、と改めて畏れ、敬うのみ、という気持ちです。
なんか、解説の西岡利晃の声も、心なしか明るく、弾んでいたようにも...(^^)





コメント (6)
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