さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

技巧派故の「甘さ」も敗因のひとつ 元王者ロドリゲス、痛恨の連敗

2020-12-23 17:59:49 | 海外ボクシング



日曜日のWOWOWオンデマンド、ライブ配信は当初、我らが?ノニト・ドネアとノルディ・ウーバーリのカードでしたが、いざ当日が来てみれば、両者ともにコロナ陽性で欠場。
代役同士が闘うという、これもこの先、過去として振り返るときが来たら「あの年はホンマ、えらいことがたびたびあったものや」と言うしかない事態でした。


井上尚弥に敗れて以降、あれこれと理不尽な目に遭って、この試合がやっと再起戦となるエマヌエル・ロドリゲスは、若くて元気で、少々ラフなレイマート・ガバリョ相手に、要所でジャブ、ワンツー、右カウンターを決める。
初回早々から右クロス、左ジャブを綺麗に決め、ガバリョのバランスを崩し、4回の右応酬(ロドリゲスは右カウンターを当て、カバリョは右肘を当てる)、10回の左ジャブカウンターなど、その巧さを印象づける場面が多々ありました。

しかし、ガバリョもその合間に、左ロングアッパーで脅かしたり(当たってはいませんが)、ボディ攻撃から上へのワンツーを決めたり、ロドリゲスの右アッパーに左フックをカウンターしたりと、苦しいながらも果敢さを失わず闘う中で、色々と「仕事」をしてもいた。
それも確かなように思いました。

見ていて、WOWOWの実況解説陣が、ロマチェンコ、ロペス戦ほどではないにせよ、映像で鮮明に捉えられるロドリゲスの巧さに目を引かれてしまう傾向にあるな、これは一見する以上に、直に見ると競っている...かもしれない、という印象でした。
とはいえ、正直、競った数字のスプリットでロドリゲス、くらいに落ち着くだろう、とも思っていて、逆が出たのは驚きでしたが。


判定自体も当然、論議を呼ぶものかもしれませんが、ロドリゲス自身にも「敗因」はあったかな、と見ます。
井上戦では、初回から詰めた位置取りで、白黒はっきりとした「勝負」に出た選手が、その反省というのか...あの試合をどう省みたのか、という答えが、試合ぶりに全部出ていたように思います。
良いの当てても、追い打ちにいかない判断は、序盤の内はまあ良いとしても、中盤や終盤も同様、というのは、またえらく極端に「振った」設定やなあ、と。
ところが、実際の判定は、上記したような、ガマリョの「仕事」の量を、より評価したラウンド毎の採点になって現れました。


試合の格や規模は違えど、これまであれこれと試合を見てきた中で、会場で、それもけっこう良い席で見た試合の印象が、TVで見た人のそれと、天と地ほどにかけ離れている、という経験を、何度かしたことがあります。
今回の試合がそうだったのかは、何とも言えない部分もありますが、ロドリゲスは、ジャッジが自分の思うとおりに、見るべきところを見てくれているだろう、という認識で闘っていたのでしょう。しかし。


以下、ちょっと極論しますが、ジャッジなぞは所詮他人です。
そして、他人のやることなすことが、全て自分の思うとおりになるわけではありません。
しかし、倒してしまえば、誰が何を言おうと、自分が勝者なのです。

ガバリョに技巧の質でははっきり差を付け、好機もあり、しかし彼を生き延びさせてしまったが故に、仕事量を伴った健闘を許してしまった。
厳しく言えば、ロドリゲスのその「甘さ」もまた、敗因のひとつだろう、と思います。



それにしても、WBCバンタム級王座は、暫定王座がやれ提訴だ再戦だとなれば、また、一つにまとまるまでに時間がかかってしまいそうですね。
井上尚弥のバンタム級「4団体統一」というのは、従来の連続防衛だのという内向きの話や、希少価値を失った三階級制覇とかいう話に比べると、まだ世界的にも広がりのある話ではあるので、出来ることなら達成してほしい、と思いもしますが、こうなってくると...。
本当に、何かと難しい話ばかりです。井上尚弥の力を持ってしても、こればかりは、という。



=================



ということで、一曲。
米津玄師「恋と病熱」。








コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする