さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

ミニマム級、この階級こそ一択?とも限らない?

2020-05-04 10:02:08 | 海外ボクシング






さて、最後になります、最軽量の新設階級、ミニマムです。
世界的にはどうか知りませんが、日本のファンとしては、軽んじることは出来ないくらい、良い試合、凄い試合があったクラスではあります。
最近はその辺が、ちょっとお寂しい感もありますが。


ということで、マガジンによるエントリー、一回戦は以下の通り。

リカルド・ロペスvs新井田豊
大橋秀行vsイーグル・デーン・ジュンラパン
ロセンド・アルバレスvsワンヘン・ミナヨーティン
高山勝成vsイバン・カルデロン


...中には言及しろと言われても、気が入らないような選手もいますが。



さて「エル・フィニト」リカルド・ロペス。
ある意味、日本のスターボクサー以上に、日本のボクシングファンが「敬愛」するボクサーですね。

大橋秀行戦の衝撃はいまだに忘れられません。ボクシングファン人それぞれに、忘れ得ぬ衝撃の一戦があるものでしょうが、1990年10月25日の後楽園ホール、そしてその生中継放送がそれだ、という人は、ごまんといることでしょう。

メキシコの名匠にして大物マネージャー、クーヨ・エルナンデスが手塩にかけた最後の愛弟子。
それもあって、大橋戦を見たとき「これはヘルマン・トーレスの失敗を踏まえて、パパ・クーヨが作り上げた、トーレスの改良版だ」と思いました。
同門の先輩カルロス・サラテ同様、高いKO率を誇るが、サパタや張正九を攻略出来なかったトーレスに、ボクサータイプの足捌きを付け加えた選手だ、と。

何しろあの大橋が、試合が進むにつれ、近寄れない、触ることも出来ない有様。
追い足に欠ける大橋にとり、苦手なタイプではあったでしょうが、それにしても。
新設間もない最軽量クラスから、全階級通じて見ても滅多に出ないようなスーパーチャンプが現れ、しかもそれが日本のリングで戴冠したわけですから、二重三重の衝撃でした。


動画については膨大にあります。
ただ、どうしても長くなるんで、ここは短いのを、ということで探しても、良いのが無いんで、自分の手持ちでちょこちょこっと、こさえ上げました。
人様が上げたものを「幅が」とか言う口があるなら、自分でやれと(笑)。限定公開です。近々消します。





あと、やっぱりこの試合だけはフルで貼っておきます。
未見の方、おられないと思いますが(笑)もしおられたら是非、じっくり見てください。見ないといけない試合、です。








さて、対するは新井田豊。
若手時代にメキシコで練習した際、現地の指導者にその才能をロペスに準えて褒められた、というエピソードがあります。
実際、何度か直に見たのも含め、試合数はけっこう見ましたが、スピードやセンス、パワーに恵まれていて、このクラスに大橋以来の才能が現れたかな、と思ったものです。

ただ、日本タイトルの時点で、鮮やかな勝利を挙げた試合でも、名護明彦らに通底する「強打、好打」前提でしか試合を展開できない偏りも見えて、その辺は若干、不足ではありました。
世界戦では好ファイトもありましたが、体調不良か何かで、集中を欠いた試合もありました。
この辺は、体調の部分を除けば、やはり新しい世代の感覚や情緒と、旧弊蔓延るボクシング界との「きしみ」を見ていたのだろう、と思ったりもしますが。

ベストの状態でのイーグル戦が実現しなかったのは残念でしたが、高山やロマゴンと闘って見せてくれたのだから、十分というところでしょう。
難敵アランブレットに雪辱し、王座から引きずり下ろしてくれた試合も、直に見て、あまり良い試合だとは思わなかったですが、いつまでもあんな選手に王者で居られても困るし(笑)誰がやっても難しい仕事をしてくれたのだなあ、と。

引退後はビートの連載コラムなどでその考えを知ることが出来ました。
変容する時代の中で、新世代の指導者として、ボクシング界を支えてほしい、と期待します。


動画はまたまたまたまたこちらから。






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続いては「150年に一人の天才」大橋秀行です。

現役時代を通じて見て、天才というよりはこだわりの人、よく言えば崇高なほど、悪く言えば意固地、という印象です。
足を止めて正対し、ガードと小さいスリップを併用して防御し、ジャブで探って、強打を狙う。時に怖いカウンター狙いも。

追い足に欠けたり、手数を出せる相手に苦しんだりと、目の前の勝ち負けを言うと不足もあったんですが、何試合も見ているうちに、ああ、本人にとってはもう「そういうこっちゃない」んやな、と納得半分、諦め半分で見るようになっていました。
階級の近いカルバハル、或いはさらに大きなところを引っ張り出せばアレクシス・アルゲリョにも通底する、ボクシングの「勝負」どころとは「ここ」なのだ、と思い定めて闘っているようにも見える、こだわりの強さ。
それ故に勝ったり負けたり、ということ自体を受け容れて闘っていた...のかどうかはわかりませんでしたが。

それは全部ひっくるめて言えば、けっして悪いものではありませんでした。好きな選手でした。
好きな子のことほど、あれこれ言いたくなってしまう、という心理です、ハイ(笑)。

とはいえ、当時世界の軽量級シーンを制覇していた韓国勢を攻略するにあたり、多少の妥協というか、改善はあって、打ち合うときも強打一辺倒じゃなく、軽打を織り込んで緩急を付ける、という風に変わってもいました。
「国民的関心事」に近いレベルで注目された初戴冠、崔在煥戦は、その改善あらばこその勝利だったかもしれませんね。


動画はまたまたまたまたまたこちらから。





喜友名朝博戦も入っていますね。これも出来ればフルで見てもらいたい。
CS-TBSで高画質の再放送が何回かありましたが、改めて見て、良い試合でした。
今なら十分世界戦、と思う試合のひとつですね。




イーグル・デーン・ジュンラパン、スポンサーの関係で数回、名前が変わっていますが、本名はこれなんですね。

この選手は戴冠戦のホセ・アントニオ・アギーレ戦、二度目の戴冠戦である高山勝成戦、激戦となったロデル・マヨール戦を直に見ています。
ことにマヨール戦は、最軽量級ゾーンを頭ごなしに軽視する向きに、是非これは見てもらいたいと思う、本当の「世界」を見られた、という満足感のある試合でした。
しかし、この試合でのダメージが残ったものか、次のロレンソ・トレホ戦は大苦戦、八重樫東戦は完勝したものの、その次、タイでの試合で陥落。
実力の割に「その時」が早く来たなあ、という印象でした。

長短の打ち分けが巧く、パンチ力もある。本格派、というイメージが残ります。
ミニマム級歴代王者の中でも上位に置くべき、と思う選手でした。
最近は五輪予選に挑んだ高山勝成とのトレーニングの様子を、ドキュメンタリーで見ることが出来ました。
なんか、まだまだ強そうでしたけど...(笑)。


動画はうまくまとまったものが無いみたいで、とりあえずこれ。
あと、マヨール戦は、是非、フルで見ていただきたい試合のひとつです。





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ニカラグアの頑健な強打者、ロセンド・アルバレス。
なんといってもリカルド・ロペスをダウンさせた男として、勇名を馳せています。

日本にも二度来てますが、TV東京系列で、うちの地元じゃ見られなかった塩濱崇戦を含め、あまり注目度が高い試合ではありませんでした。
なので、ロペスとの初戦は驚きでした。
この試合は負傷判定でロペスが辛勝しましたが、アルバレス支持の声も多かったと思います。

WBA、WBCの統一戦だったことが、判定にに影響したとかしないとか...WBCの方だと思うんですが、何せ役員だか立会人だかが、採点の合計を書いたメモだけを残し、各ラウンドの内容を記入したスコアカードを鞄にしまい込んで、会場からトンズラこきよったって話もあり、中南米って凄いなあ、と呆れるやら感心するやら、という。

何しろ気の毒な話でした。ロペスを下していれば、それは歴史に特筆される金星だったでしょうから。
しかし、その同情する気持ちも、再戦における、意図的な体重超過で消し飛びましたが。
また、キャリア晩年にドーピング陽性が発覚したり、体重超過も、もう一回やってましたかね。
ロペス初戦のダウン奪取がなければ、ここに名前挙げるのもどうかな、と思います。まあ、強いことは強いんですが。


とりあえず動画、ロペス初戦と、再戦の最終回。再戦の方は、SHOWTIMEの30周年記念による、高画質のものがフルでもあります。
初戦の方は、ミステリ仕立て?ですね。










対するは現役、メイウェザーの連勝記録を超え、防衛も目出度く11度を数える、WBC王者ワンヘン・ミナヨーティン。

戴冠試合と初防衛は、YouTubeで探して見た覚えがあります。その後もちょこちょこ、最近は福原辰弥との二試合を見ました。
この福原との再戦が酷い終わり方で、ワンヘンの小さい傷から、ちょっとだけ血が出ると、負傷判定勝ちで防衛。
昔なら、詳しいことなど報じられずに終わったでしょうが、ネットを通じて、見ようと思えば世界中で見られるわけで、当然その悪評も広まっていることでしょう。

コロナウィルスの影響で、新たにGBPと契約しての米国進出も延期になっていますが、実力自体はないわけではないので「平場」に出ての闘いで、堂々と王者らしいところを見せてもらいたいものですね。

動画は短くまとまったものを。タイ語がわかれば、いろいろ検索出来るんでしょうが、無理です。すみません。






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高山勝成、私にとっては、今更多くを語る対象ではないというか。
何しろ、新人王戦に出ていたときから、数多くの試合を見た選手です。

小柄でパワーには欠けますが、リズミカルな動きで、左右に足を使い、攻防一体のボクシングを志向していて、新人王トーナメントの関西ブロックに好選手が揃っていた中、国重隆や楠浩明らを破り、全日本でも優勝。
その後も会場で、何度も試合を見ています。藤原工輔との試合も良かったなあ。

世界の舞台に上がるようになってからも、イーグルや新井田、ローマン・ゴンサレスにヌコナシティ・ジョイなど、強豪王者と悉く対戦し、遂に海外でのIBF王座奪取、WBO王者フランシスコ・ロドリゲスとの、敵地メキシコにおける名勝負など、勝ち負け以前に「こうでなくては」と納得感のあるキャリアを積み上げました。

ただ、これら歴戦の代償として負った瞼の傷が、現状、ボクサーとしての活動にどう影響するのか、心配なところではありますね。

動画はまとめたものが見つかったのでご紹介。
しかし、ロマゴン相手に臆せず挑んだ試合はもとより、南アフリカやメキシコで闘っている様子は、フルでも見る価値あり、だと思います。






ラストはイバン・カルデロン。米大陸中心の「ボクシング観」でいえば、近年の最軽量級ゾーンでは、この人が最高の選手ということで決まっているみたいですね。
小回りの利くサウスポーで、スピードがあって、好調時は鮮やかに外して当てて、という繰り返しで、まさに「妙技」やなあ、と思ったものです。
しかしライトフライに上げて以降、負傷判定が多くなったのは残念でした。

この頃の軽量級で、日本の選手と絡むことは一切なかったですね。
今は田中恒成がティト・アコスタと真っ向勝負をするくらいですから、時代はだんだん、良い方向に変わりつつある...と言うて言えんことはないんでしょうが。


動画はまとまったのがありましたので。
しかしウーゴ・カサレスは、本当に108ポンドに落ちてたんでしょうか...。







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さて、対戦を。やる前から結果はわかっている?
いえいえ、それはやってみないとわかりません(笑)。


ロペスvs新井田、クレバーな新井田が低い姿勢で仕掛ける側に回るが、ロペスの正確なワンツー、左右ダブルに打ち込まれる。ロペス。

イーグルvs大橋、強打対決だがイーグルが止まって打ち合う危険を察知、ワンツー中心の突き放しに切り換える。イーグル。

アルバレスvsワンヘン、ワンヘンが警戒して捌こうとするが、アルバレスがパワーで圧倒。アルバレス。

高山vsカルデロン、互いに手数とスピード全開も、カルデロンの正確さがまさる。カルデロン。


準決勝、これが事実上の決勝か、ロペスvsイーグル。頑健かつシャープなイーグルがロペスを苦しめるが、ロペスの長い左フック、アッパーをセットにしたダブル、そこから一気呵成に連打。ロペス。

アルバレスvsカルデロン、アルバレスの強打を、カルデロンの足捌きが単発に終わらせる。カルデロン。


決勝、ロペスvsカルデロン。速くてサウスポー、ロペスの苦手科目そのもののカルデロンだが、我慢して右リード、左ダブルで追い、攻勢でまさる。ロペス。


...やっぱりこうなりましたね(笑)



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ということで、出来心で始めたマガジン、オールタイムトーナメント追随企画(笑)も終わりです。
こちらにどしどし投稿してください。
拙ブログが多少なりとも、その参考になれたとしたら嬉しいです(^^)





コメント (3)
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