ボブ・アラムが、井上尚弥について「ビザ取得がなれば、即時、彼と家族をラスベガスに連れて来る」と語った、という記事です。
米国でも新型肺炎の感染者が急増し、日本人が渡航制限を受けるとしたら、その前に、という目論みなんでしょうか。
しかし、その前に入国さえしていれば...という考えなのでしょうが、現実問題として、それで果たして「通る」ものなのか。
観客や視聴者の反応がどうか、という一点だけとっても、疑問です。
しかしその反面、これが世界のスタンダードなのかもしれないなあ、という気もします。
井上が来週とはいわずとも、早期渡米して、試合まで一ヶ月以上に渡り、アメリカに滞在して、試合をする。
その際、大勢のスタッフや応援団、観戦ツアーの観客、TV局や報道関係の日本人が渡米できないとしても、あちらから見れば、さして気に懸けるようなことではないのかも、と。
選手本人と、少人数のスタッフ、それこそマネージャーとトレーナーだけを従え、それで勝負せなならん、という立場のボクサーたちが集まって、そこで生き残った者がスターの座を掴む。
それがベガスであり、さらにいうならアメリカ社会の縮図そのものなのかもしれません。
逆に言えば、ジョンリエル・カシメロが、そんな万全の状態でないと闘えない、ということもないわけです。
それこそ身一つで、敵地に乗り込み、地元の贔屓を前提に乱暴狼藉を働く対戦相手と、不当なレフェリングに苦しめられて、それでも相手を叩きのめし、フーリガンまがいの観客が投げ込む椅子を避けて帰って来たこともある。
そんな男が、今回の相手なのですから。
もし、予定外の早期渡航により、調整スケジュールが狂い、計量後のリカバリーなども普段通りにいかず、という理由で、今回の試合の結果が左右されているようでは、井上尚弥のこの先も、たかが知れている...というと言い過ぎかもしれませんが、充分対応出来る範囲内の出来事ではある、と思いたいところです。
また今後、日本という国全体が、これまでのような経済的優位性をますます失っていくとしたら、こういう国際的な水準に対応していかざるを得ない、という局面は、増えていく一方でしょう。
井上尚弥の今回の試合もまた、色々と後に残る、覚えておかねばならないあれこれと共に、記憶されるものになるのでしょうね。
と、それもこれも、試合自体がどうにか行われれば、というのが前提なのですが。
まずはそれが心配です。あれこれ報じられている話を見るに、そこが不安で仕方ありません。はてさて、どうなりますやら。