豪州落人日記 (桝田礼三ブログ) : Down Under Nomad

1945年生れ。下北に12年→東京に15年→京都に1年→下北に5年→十和田に25年→シドニーに5年→ケアンズに15年…

 揺れる航海

2002-08-16 21:55:27 | Weblog
8月16日(金)晴

    揺れる航海

●ピースボートに応募殺到 「疑惑」追い風? 国後訪問を強行  2002/08/07 02:23
 市民団体「ピースボート」が十五日から北方領土の国後島を訪問する船旅を強行する。「ムネオハウス」など鈴木宗男衆院議員をめぐる一連の疑惑で関心が一気に高まり、五百人の定員に八百人の応募が殺到した。外務省や道が「ロシアの出入国手続きに従って入域することはロシアの主権を認めることにつながる」と自粛を要請してきたが、ムネオ問題で高まった関心を背景に押し切る格好となった。
 計画は、話題になった北方領土を直接自らの目で確かめ、島民と話し合いたいと企画された。十五日に神戸港を出発、二十七日に国後で一泊して島民との「本音トーク」などを行う。
 ピースボートはインターネット上でアンケート調査も実施。「国後島などに行ってみたいか」との問いに、回答を寄せた二百人のうち87・5%が「行きたい」と答えた。「外務省は行ってはいけないと言うが、どう思うか」との問いには73%が「おかしい」、「外務省が交渉を続けることで領土は返還されると思うか」には79%が「思わない」と回答した。ピースボートはこうしたアンケート結果から「限られた交流にとどめず、もっと市民レベルで現地を訪れ、問題を考えることが返還につながる」と意義を強調する。
 一方で国内の反発に配慮し、山本隆共同代表が六月にサハリン州政府をたずね、サハリンを経由して北方領土に入域する際に予定していたロシアの査証(ビザ)取得をしないことで合意。八日には山本氏が道庁や千島歯舞諸島居住者連盟などを訪ね、訪問の趣旨を説明する予定だ。  北方領土への入域を元島民やマスコミなどに厳しく限定したビザなし交流が始まって十一年。これまでにも独自に北方領土に入るケースはあったが、五百人規模は例がない。今回もビザは取得しないものの、州の許可を受ける形となるため、外務省ロシア課は「今後の領土交渉に悪影響を与える懸念がある」と頭を痛めている。[北海道新聞より]

読書:「昭和の女性1日1史」月守晋

映画:「ハリーポッター」
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船出

2002-08-15 21:54:36 | 海外旅行
8月15日(木)晴

   船出

9:30-11:00N志村と三宮に行き、地下街で買い物。船に戻った時に第35回航海で一緒に仕事をしたN小幡からのメッセージを受け取った。旅客ターミナルで会うことができなかったが、出港間際になって送迎デッキにいる姿を見つけた。向こうも気がついて手で合図を送っていた。100日間一緒に航海したスタッフで神戸で下船するメンバーも10人ほど手を振っていた。涙ぐんでいる人たちもいる。
12:00神戸出港。14:00に医務室を開けたが外来患者はゼロ。

読書:「追放者たち」新藤兼人 

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神戸

2002-08-14 21:52:48 | Weblog
8月14日(水)快晴 

  神戸

9:00どもりのHさんが胸が苦しいと訴えてやって来た。点滴を施行。酸素吸入はいらないと言う。点滴が終わると「ど、どうも最後まですんませんでした」と挨拶をして戻って行った。最後まで不思議な人だった。
11:00神戸入港。約200人の乗客が下船したが、60人は引き続き第38回クルーズにも乗船する。N武田、N遠藤も下船。
14:00下船してポートライナーで三宮へ。銀行で現金で支払われた給料の60万円を預金。散髪、パソコンショップとボディショップで買い物。居酒屋で生ビール、海鮮サラダ、刺身盛り合わせ、焼き鳥盛り合わせ、焼きサンマの夕食。18:30帰船。

読書:「大森界隈職人往来」小関智弘
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反戦歌人

2002-08-13 21:54:00 | Weblog
8月13日(火)晴 

   反戦歌人

8:00晴海入港。約400人の乗客が下船。帯状疱疹の青年は朝もう1度ゾビラックスの点滴をして下船。12:00晴海出港。第38、39回航海の看護士のN志村が乗船。第38回航海は医師1人、看護士1人の体制だ。補充医薬品も積み込まれた。収納検査。

乗客の小林道夫さんの作品。

うなさるる夢持つままに逝きし父と手向くる香を南京の遺骨に

パレスチナの貧しき市民への攻撃と国を守るは違うと重く

兵役を拒否し投獄選らばむとイスラエルの青年船の夕日に

ドブロヴニクの丘なる家に弾痕の残りて老女花に水やる

いずれも今航海中に詠んだ歌で、朝日歌壇の1位から3位に入っている。彼は明日下船する。

読書:「万葉集」大岡信

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花火

2002-08-12 00:08:21 | Weblog
8月12日(月)晴のち曇 

  花火

4:00蒸し暑さに眼を覚ました。昨日の朝の気温は8度だったのに今日は22度。どもりのHさんは予約変更料の1万円を払いたくないと主張して、予約どおり神戸まで行くことになった。医務室にもやって来て「もう点滴はいらん。訴えてやるからな。覚えておれ!」とたいそうな剣幕だった。
心臓が痛むと言う青年が受診。左前胸部から背中にかけて帯状疱疹が出ている。ゾビラックスの点滴、内服、軟膏で400ドル。青年は、今度は懐が痛むと嘆いていた。

22:00より後部甲板で花火が上がった。ペルセウス流星群は曇天のため空振り。

読書:「民俗の思想」谷川健一

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医務室PC改善作戦

2002-08-11 00:07:36 | Weblog
8月11日(日)曇のち雨

   医務室PC改善作戦

1日がかりで医務室のパソコンのディレクトリーを整備し、必要なソフトを作成した。複雑な電子カルテを作っても他の船医や看護士が使いこなせないと意味がない。以下の機能に絞って使い勝手を向上させた。
① 医療費の会計事務。診療時間終了後LANでレセプションに1日1回送る。
② 医薬品の在庫管理。リアルタイムで残量がわかるように改善。
③ 業務日誌。アイテナリーと毎日の疾患別の患者数。
④ 統計機能。
⑤ 医務室で必要なフォーム作成機能。
⑥ メッセージ機能。医務室内、船内、高田馬場との意思伝達。
⑦ 個人ファイル。

15:00から甲板で洋上結婚式が行われたが途中から雨。縁起を担いで、おめでたいと言うべきか。夕食はフェアウエル・ディナーで、キューバで仕入れた1kgのイセエビが出された。しかし医務室の3人は同じ時間に行われた船長主催のフェアウエル・パーティーに参列のため食べ損ねた。
21:30ジュビリー・レストランの賄い食に初参加。ガレーには山のようなイセエビとヒレステーキがあった。結婚式の樽酒も残っていた。普段着で、時間の制約も厳しくなく、仲間内だけで食事ができるのなら、何も夕食のテーブルは必要ない。

22:00に予定されていた花火は悪天候のため延期。

読書:「往生要集」中村元

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嵐の予感

2002-08-10 00:06:49 | Weblog
8月10日(土)曇

    嵐の予感

海は穏やかだが空気が冷たい。イルカやシャチやオットセイなどが時々姿を見せる。船に驚いてピリカも海面慌ててのたうち回る。
レセプションの会計上の都合により、本日で医務室は一応正規の診療を終える。乗客は100日ぶりの日本帰還を目前に気もそぞろで、外来患者は2人だけ。明日の予定の棚卸を1日早めて、医薬品の在庫調査。どもりのHさんが胸が苦しいと訴えてやってきた。酸素吸入と点滴を施行したが、神戸まで行く自信がないので東京で下船して入院したいと言う。悪い予感がする。彼はわがままでお金に細かい。入院の必要はなさそうだし、ツアー代金も東京下船のほうが高くなる可能性があると口を酸っぱく説明した。それでも東京で下船すると意地を張るので、聖路加病院宛に紹介状を書いた。やっぱり悪い予感がする。一悶着ありそうだ。

21:00より屋台波平で医務室の打ち上げパーティー。甲板のあまりの寒さに2時間でお開き。

読書:「哲学と反哲学」木田元

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節水勝利宣言

2002-08-09 00:06:10 | Weblog
8月9日(金)曇 

   節水勝利宣言

カムチャッカはインフラが貧しい。ゴミが多い。建造物も船も車も汚れが目立つ。手入れをする習慣があまりないのか。トイレのひどさは乗客が口を揃えて証言していた。清潔さに欠ける。公害が多い。治安も悪い。商品が少ない。酒とタバコだけは豊富だ。人々の表情に希望が感じられない。こちらまで気が滅入る。
下船はしないで1日中読書と、PCで業務書類を作成。
バンクーバとカムチャッキの水不足の8日間をPBとJGのスタッフの徹底した節水作戦で乗り切った。シャワー禁止、洗濯禁止、トイレの水まで節約した。乗客に不便をかけることなく困難を克服した。山本、中原の坊主頭も報われた。

17:00カムチャッキ出港。

読書:「日本美術を見る眼」高階英爾

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カムチャツキ夏景色

2002-08-08 00:05:29 | 海外旅行
8月8日(木)雨のち曇

   カムチャツキ夏景色

8:00カムチャッキ入港。船から眺める景色も寒々としている。人々はオーバーやヤッケや革ジャンパーを着て、毛皮の帽子をかぶっている人もいる。地域暖房用の太い給湯パイプの継ぎ目から水蒸気が吹き上げている。建造物も崩れかけたコンクリートや錆びた鉄骨が目に付く。至る所に水溜りができた道路の両脇には雑草が生い茂っている。人々の表情も厳しい。
午後からJGの仲間数人で市内観光。バスに乗って市場やデパートなどを見物して回ったが、商品が極端に少ない。野菜や果物はあまり新鮮そうには見えない。肉は豊富だが魚は種類も少なく、イキも悪く、とても清潔とは言えない。市場で熱心に商売に励んでいるのはほとんど女で、男たちは街でぶらぶらしているように見える。朝鮮人の老婆たちがキムチを売っていた。物価は安い。日が傾くと急に寒くなってきた。500円程度のワインを3本買って船に戻った。

読書:「生への意欲」カズンズ

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全盲のカメラマン

2002-08-07 00:04:46 | Weblog
8月7日(水)曇

   全盲のカメラマン

オリビア号にはいろいろの人が乗っている。全盲のカメラマン伊藤邦明さんと妻七重さん。彼は建築会社に勤務していたが5階建てくらいの足場から転落して全身の骨を複雑骨折し、視力を失った。リハビリを続けていくうちに、妻の勧めで趣味の写真撮影を再開する。盲目の彼は気配を頼りにシャッターチャンスを待つ。その写真は不思議な魅力に満ちている。光学的目的を持たない写真、映像以外の雰囲気を漂わせた世界、愛と連帯とを求めるような作風だ。

読書:「カウラの突撃ラッパ」中野不二男

映画:「全盲のカメラマン」、「ネバー・エンディング・ストーリー」、「千と千尋の神隠し」
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広島原爆記念日

2002-08-06 00:04:06 | Weblog
8月6日(火)曇 

  広島原爆記念日

昨夜19:00から今朝7:00まで眠った。12時間の爆睡だが、8月5日が消滅したので「3日間眠り続けた」と言えなくもない。
今日は広島の原爆記念日にちなんで色々の船内企画が行われた。朗読劇「きけわだつみのこえ」、「私の戦争体験」、「戦争を知らない私たちが語る戦争」、討論会「愛国心」、ビデオ上映&コーラス「花はどこへ行った」、平和を願う「短歌の集い」、写真展「ノーモアヒバクシャ」、映画「橋のない川」、「戦後在日50年史」、「ストリートチルドレン」・・・等々。
スイトンを食べたかった。僕の家では原爆記念日か終戦記念日にはスイトンを食べた。子供たちも僕の作るスイトンは大好きだった。

読書:「造船不況」鎌田慧

映画:「橋のない川」

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日付変更線(消滅日)

2002-08-05 00:29:06 | 海外旅行
8月5日(月)

  日付変更線(消滅日)
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船内新聞日曜版

2002-08-04 00:02:57 | Weblog
8月4日(日)晴

    船内新聞日曜版

中川氏の好意で船内新聞日曜版に2度目の医務室PR記事を掲載してもらった。
①医務室の患者は1日平均7.2人。いつもの半数程度。これは乗客の1.3%に当たる。3%を越えると検疫ににらまれる。
②寄港地は休診だが、患者の病院への送迎、医薬品の現地補充、身障者の参加するOPへの付き添いなどの仕事がある。朝夕は診療をしている。休日の患者は平均4.8人。最高は17人。
③神戸の死亡事故は、神戸沖で停船し、海上保安庁の現場検証と事情聴取があり、事件性なしとのことで出港許可が下りた。
ミュージカル公演。夕食後それぞれ70人規模のAキャストとBキャストによる2回公演が行われた。僕はN武田と16:00からリハーサルを見学した。出し物はいつもの「コモンビート」。ダンスは35回のほうがうまかったが、歌は今回のほうが上だ。認識の仕方が違うから表現が異なるのか、比較検討は興味深い。ニューヨークの本場ものと日本の四季が、同じ出し物でも全く違う味があるのと一緒だ。

読書:「肉体百科」群ようこ

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JG3店舗

2002-08-03 00:01:56 | Weblog
8月3日(土)晴 

    JG3店舗

船内新聞日曜版の担当者の中川氏はピースボートの乗船経験が10回以上のつわものだ。乗客の間に妙な医務室批判があるとのこと。「今回の医務室は暇だ。患者が少なくて赤字だ。寄港地で看護婦が遊び歩いているが、休診にすべきではない」と。
一昨日UPA報告会があり、7月末日までの売店の売り上げは560万円、利益が120万円と聞いた。同じくJG経営の屋台波平は800万円以上の水揚げだそうだ。医務室は昨日でやっと400万円に達した。赤字にはなっていないが3人の人件費と医薬品購入量を粗支出としても利益は50万円以下だ。医務室の黒字は赤字以上に非難される。わずかの黒字か、わずかの赤字が肝心なのだ。これが第1の言い訳。
寄港地でN遠藤の観光はかなり目立つ風景のようだ。N武田や僕と違って、彼女はピースボートは初体験で、英語もあまり話せない。35回では医務室の三人は揃っての団体行動で目立たないように外出した。しかし今回のJGは寄港地でも誰かが船にいる時間を増やすために個人行動を奨励している。治安の悪い国での単独行動は旅なれていない身には危険が多いから、N遠藤にはスタッフか乗客と行動するように言い渡している。黒子に徹し切れない彼女の性格が、スタッフや乗客から非難の眼を向けられる。第2の言い訳には少々アレンジが必要だ。

読書:「海戦史に学ぶ」野村実

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ガラビュッフェ

2002-08-02 00:01:08 | Weblog
8月2日(金)快晴 

  ガラビュッフェ

ガラビュッフェ。メニューは以下のとおり。

赤富士(海老、帆立、太巻き)、太巻き寿司の船盛り、サテアヤム、ターキーのグロヤル、鮭の冷製ショフロワー、伊勢海老マウンテン、アボガドと生ハムのカペリーニ、海の幸と山の幸のピザ、ペンネのゴルゴニゾーラソース、子羊の香草焼き、中華クラゲの酢の物、棒々鶏、ほうれん草と湯葉の和え物、生春巻き、子豚の丸焼き、サラダ、点心、竹筒香肉、小竜包、肉まん、春巻き、胡麻団子、ちまき、中華がゆ、海老チリソース、麻婆豆腐、烏骨鶏スープ、各種ケーキ、各種パン、洋菓子と和菓子各種、フルーツカービング、アイスクリーム、コーヒー、紅茶、ワイン、生ビール、カクテル、ソフトドリンク・・・・。

しかしJGスタッフは参加しない。20:00より医務室の3人は屋台波平で夕食をかねた飲み会。

読書:「フランス革命」遅塚忠躾

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