非国民通信

ノーモア・コイズミ

驕りと慢心の集い

2023-11-05 23:31:10 | 政治・国際

日本産水産物の輸入停止「即時撤廃」を要求、G7貿易相会合が共同声明採択(読売新聞)

 大阪市と堺市で開かれていた先進7か国(G7)貿易相会合は29日、中国やロシアを念頭に、日本産水産物の輸入停止措置について即時撤廃を求める文言を盛り込んだ共同声明を採択し、閉幕した。

 声明では、中露の名指しを避けたが、「G7は新たに導入された日本の食品への輸入規制を含め、不必要に貿易を制限するいかなる措置も直ちに撤廃されることを強く求める」と明記した。中国は8月、東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出を受けて日本産水産物の輸入を全面停止し、その後にロシアも同調した。

 このほか、声明では貿易の抑制で他国に圧力をかける「経済的威圧」への懸念を改めて表明し、市場の公平な競争をゆがめる政府による不透明な産業補助金への対応方針も示した。

 

 先週の話ですが、G7会合にて「中国やロシアを念頭に、日本産水産物の輸入停止措置について即時撤廃を求める文言を盛り込んだ共同声明」が採択されたそうです。近年は新興国の発展によってG7構成国が占める世界的地位も地盤沈下しつつある、とりわけ日本が顕著に衰退している中で、これまで以上に排他的仲良しサークルとしての性質を露にした会合であったと言えるでしょうか。その声明に説得力を感じる人がG7の「外」にどれだけいるのか、今となっては大いに疑わしいところです。

 日本産水産物の輸入停止措置については科学や健康の問題ではなく、純粋に政治の問題であることは考えるまでもないでしょう。処理水の放出は口実に過ぎない、理由は別のところにあります。輸入停止措置を取っている二国とも、日本が禁輸措置や制裁措置を科している国であり、その報復として何かが返ってくるのは至極当然のことです。しかるに「なぜ中国やロシアが輸入停止措置に至ったか」を考えずに一方的な非難声明を出して終わっているわけで、これでは物事を解決するよりも単純に相手国を侮辱する結果にしかなりません。

 

(ガザの衝撃 問われる世界)報復の果てに平和はない 中東アフリカ総局長・武石英史郎(朝日新聞)

 暴力が歯止めを失い、あまりに多くの命が奪われていく。ガザをめぐる不条理が止まらない。

 きっかけはイスラム組織ハマスのイスラエルへの攻撃だ。

 

 どういうわけか朝日新聞は「右」から毛嫌いされています。しかるに主要紙の中で最も親米色が強く「自陣営の」戦闘行為を正当化する度合いが高いのもまた、この朝日新聞ではないでしょうか。そんな朝日新聞が平和を願う風を装って1面に掲載した記事がこちらで、曰く「きっかけはイスラム組織ハマスのイスラエルへの攻撃だ。」とのこと。これまでイスラエルがガザ地区の住民に何をしてきたのか──それは完全に朝日新聞社員の意識の外にあるようです。

 ウクライナを舞台にした戦争も然り、最低でも2014年のクーデターや、その後のロシア系住民への弾圧ぐらいから振り返らないと「今」起こっていることには理解が追いつかないと言えますが、朝日新聞を筆頭に2022年から突如として戦争が始まったかのごとく読者をミスリードしていくメディアは多いです。「それ以前の」歴史を無視して2023年10月から戦闘が始まったかのように伝えれば、ハマス側に原因があるように見えるかも知れませんけれど、このような報道は読者を誤解させるものでしかないと言えます。

 中国やロシアとの輸出入関係も然り、日本側が中露との輸出入において何を禁じてきたかは、前提条件として意識されるべきでしょう。アメリカの意向に沿って中露の企業を日本市場から締め出してきた、中露両国が望む輸出入取引に制限を課してきたのが我が国です。その報復措置として日本産水産物の輸入停止措置が行われたのならば、この程度の「反撃」は甘受すべきであってそれを非難するのは筋が違います。即時撤廃を求めるのならまず日本が相手に課している不当な措置を解除するのが先と言うほかありません。

 数あるノーベル賞の中でも最も政治色の濃い文学賞では、ソ連/ロシアで弾圧されたという華々しい金看板で受賞を飾る人も目立ちます。今年もその種のノミネートがあったようですが、しかし「弾圧」とは何だろうと時に首を傾げるところがないでもありません。ウクライナを舞台にした戦争が始まったとき、NATO諸国では少なからぬロシア人が踏み絵を迫られました。ロシア批判を公言しなかったことで契約を解除され地位を追われたロシア人もいれば、プーチン大統領に親しいと一方的に決めつけられて財産を差し押さえられたロシア人もいたわけです。それは弾圧ではないのか?と。

 ロシアの企業の中には弾圧に屈して活動の拠点を国外に移し、ロシア批判を公に掲げることで西側諸国での活動を許されているケースもあります。その一方で踏み絵を拒んで西側市場から締め出されているものも多く、果たしてどちらが弾圧と戦っているのかを鑑みると、むしろ後者を応援したくなる気持ちすらあります。「西側」の人間にとって弾圧とは「向こう側」の国で行われるものであり自分たちの世界には存在しないと思い込んでいるようです。しかし実態はいかほどのものでしょうか?

 アメリカとその衛星国は、自陣営が一方的に制裁を科すことを当たり前と感じています。だから中国やロシアに課しているいかなる制裁措置も、何ら顧みるようなものではないわけです。そこで相手国が報復として今回のような輸入停止措置に走ると、あたかも急に攻撃を仕掛けられたかのような勘違いが生まれてしまうのでしょう。しかし現実は違う、先に仕掛けたのは自陣営の側であって、「今」起こっていることはその延長線上にあるということを認めない限り、解決策に辿り着くことは永遠に出来ないと言えます。

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