非国民通信

ノーモア・コイズミ

国からの金

2023-12-24 21:59:27 | 政治・国際

 さて自民党の政治資金問題は収まる様子がありませんが、では自民党に民主や維新が取って代われば世の中が良くなるのかと、その段階にまでは進んでいないのが現状でしょうか。立民は自民党以上に財務省寄り、維新は自民党以上にご都合主義ですから、この3党以外は泡沫候補しか立候補しない私の住む選挙区では苛立ちも募ります。多数決を基盤とする既存の政治制度にも色々と限界があるんじゃないかと、そう思わないでもないこの頃です。

 パーティー券収入が話題をさらう裏側で、やや影の薄い存在となっているのが官房機密費というもう一つの金の問題です。こちらは使途を隠すことが制度上は許されている代物で、マスコミ関係者や「文化人」の類いに政府から裏でばらまかれたものと疑惑を持って語られてきたものでもあります。まぁ日本及びアメリカ政府の代理人みたいな発言を続ける大学教員なんかも珍しくないところ、人によっては金品を受け取った結果としての発言もあるのでしょう。もちろん、本人が純粋に既存の体制を信奉している可能性は否定しませんが。

 日本及びアメリカ政府を擁護する発言が、「金を受け取った」メディアや大学教員の口から語られれば、一定の疑念を持つ人は当然いるはずです。あるいは政府方針に反対するデモの類いが、中国なりロシアなりの日米政府が敵視する国の支援によって行われたとすればどうでしょう。今度は逆の立場の人たちが挙って騒ぎ出すであろうことは疑う余地もありません。しかるに2013年から翌年にかけて起こったウクライナのクーデターには、アメリカ政府の高官が参加していたわけです。

 西側諸国が「マイダン革命」などと呼び習わしているクーデターにおいて、どれだけアメリカ政府からの資金援助があったかは定かでありません。ただ、その中には現在のアメリカ政府国務次官(2014年の時点では国務次官補)であるヌーランドが公然と参加していました。もし岸田政権の退陣を迫る大規模なデモが起こったとして、その中で中国政府の要人が反政府活動を鼓舞する演説を行っていたら、「日本人」はどう感じるでしょうか? ウクライナで起こっていたのは、そういうことです。

 少なくともクーデター政権が欧米諸国からの承認を得る上で、ヌーランドの参加は大きな役割を果たしました。選挙で勝利しながらも政権を追われたヤヌコーヴィチと暴力によって政府を転覆させたクーデター勢力、アメリカが後ろ盾に付いているのは後者であることを知らしめる役割をヌーランドは担っていたと言えます。同じクーデターでもミャンマーでは政権側が非難され反政府勢力が欧米から擁護されるわけで、結局のところ欧米諸国の判断基準は「どちらをアメリカが支持しているか」に尽きると言うほかありません。

 全米民主主義基金、というアメリカ議会が出資する基金があります。これは元々CIAが秘密裏に行ってきたものをオープンにした結果と言われ、アメリカに従わない国の反政府勢力を支援するために使われているものです。その支援先の一つに「香港衆志」が知られるところで、これは先般「一生(香港に)戻ることはない」と発言して話題を呼んだ活動家の周庭氏が創始者に名を連ねる団体でもあります。日本では持ち上げられるばかりの周庭氏ですが、事実として外国の代理人であることは理解されているのでしょうか?

 日本政府から金を受け取っている言論陣に対しては冷ややかな視線を向ける人でも、アメリカ政府から金を受け取っている人々に対しては、必ずしも同じ態度を見せるわけではないようです。官房機密費を受け取って政府与党を擁護するのは悪でも、アメリカの基金を後ろ盾に反政府活動に従事するのは「民主主義のため」の正しい行動と受け止めている人は多い、日本の大手メディアは自国の政府を批判することはあっても、アメリカの世界戦略には無批判に見えます。しかしバイデン政権がやろうとしているのは、台湾や香港を第二のウクライナにするための戦略であり、平和のため真に立ち向かうべき相手は何かと考えると、それはアメリカ意外には思い浮かびませんね。

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