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2019-10-06 21:15:04 | 政治・国際

野党、消費増税に一斉反発 枝野氏「不況の中で暴挙」(毎日新聞)

 野党は1日、消費税率10%への引き上げに対し、一斉に反発を強めている。4日召集の臨時国会で追及を強める構えだ。

 立憲民主党の枝野幸男代表は党会合で「今の消費不況の中でこの暴挙は日本経済全体に深刻な影響を与えるのではないか」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表も記者団に「税の3原則である『公平、中立、簡素』いずれにも反する税制で、問題が多いと言わざるを得ない」と批判した。玉木氏は野党内で浮上している減税法案提出に関し「8%に下げるのか、5%に下げるのか。経済状況を注視しながら立場を決めていきたい」と述べた。

 衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」代表の野田佳彦前首相は軽減税率について「しっかり社会保障を支えるために社会の中に根づかせるべきものだったが、おかしなやり方になってしまった」と否定的な見解を示した。

 

 さて先月には立憲民主党や国民民主党、野田佳彦グループが統一会派を結成しました。とりあえず当ブログでは、新しい統一会派を「民主党」と呼ぶことにしたいと思いますが、この民主党内の各派閥のボス達が揃って消費税引き上げに否定的な見解を述べているようです。民主党玉木派代表の言う「税の3原則である『公平、中立、簡素』いずれにも反する税制」との評価は全くその通りですけれど――

 民主党枝野派代表の「今の消費不況の中でこの暴挙は日本経済全体に深刻な影響を与えるのではないか」との意見も、それなりに筋は通っています。しかし、消費税増税は「今」決まったものではなく、遡ること7年前に決められたものです。修正主義者の枝野が認めることはないにせよ、その当時は消費税増税が実行される今よりも、ずっと酷い不況だったはずです。

 そして言うまでもないことですが、7年前に消費税増税を決めたのは、現・民主党野田派の会長である野田佳彦であり、枝野もまた経済産業大臣を勤めていました。民主党政権による公約破りの消費税増税には反発がなかったわけではなく、僅かながら離党者も出たものですが、枝野は元より玉木もまた、当時は民主党に残ることを選んだ歴史があります。

 民主党の面々にとって、言行不一致は習慣であって不実ではないのかも知れません。もし私が民主党議員であったなら、自らが消費税増税を決めたにも関わらず、その取り付けた合意を自民党が履行する段になって異議を唱えるようなことは、とても恥ずかしくてできません。しかし民主党議員に、恥の意識など期待する方が馬鹿というものです。

 もし民主党が誠実であろうとするのなら、まずは消費税増税を決めたという自党の過ちを明確に認め、国民に謝罪することから始めなければなりません。しかし過ちを認めるどころか、その責任を自民党になすりつけようとする、何とも卑劣な人々ではないでしょうか。まぁ、こんな党に投票する愚かな人々がいるのですから、過ちが繰り返されてしまうのだと言えます。

・・・・・

 なお軽減税率にも言及されていますが、これはどうしたものでしょう。逆進性を軽減する上では、やらないよりマシとは言えます。マイナス100点の政策を、マイナス98点程度に緩和する意義はあります。しかし前々から述べてきたとおり、「日本式」軽減税率の問題として、軽減税率対象と、そうでない品目の税率が僅かに2%しか違わない点は、もう少し論議されるべきだったはずです。

 軽減税率を導入している国は数多ありますけれど、日本のように「2%しか違わない」軽減税率は極めて珍しいわけです。僅かに2%の差では、むしろ煩雑さが印象論として優ってしまう虞すらあります。そもそもイートインとテイクアウトを分けるのは極端に外食が安いという日本の個別事情に適したものなのか疑わしい等々、どうにも軽減税率の「中身」は消費税同様の欠陥が多そうです。

 ただ、この欠陥は意図されたものなのかとも考えられます。例えば公明党は「軽減税率を導入させた」という実績さえ作れれば、中身まで気にするつもりはなかった。新聞業界は、軽減税率対象という「特別枠」に自らを加えることができればそれで満足だった。そして増税派は、効能が乏しく煩雑さの方が目立つと軽減税率にネガティブな印象を植え付けたかった。こうした人々の思惑の結果として、2%しか違わないという世にも奇妙な軽減税率が作られたのではないでしょうかね。

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