非国民通信

ノーモア・コイズミ

日本の未来を憂う

2023-09-20 21:35:31 | 政治・国際

突然の首脳宣言合意 日本政府関係者「聞いてない」「ふざけるな」(毎日新聞)

 10日閉幕した主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、採択が危ぶまれていた首脳宣言が初日の討議の途中に発表されるという異例の展開で、日本政府も対応に追われた。

(中略)

 モディ氏の発言の真偽を確かめると、会議室にいた外務省幹部は「発言を聞いていないので知らない。少なくとも、私がここに来るまではまとまっていなかった」と驚いた表情で話した。

 ホテルにいたある交渉関係者は、首脳宣言の案は見たというが「合意したなんて一切聞いていない。対外発信の前に我々には知らせてほしい」と話した。そして一言、「驚いた。ちょっとふざけるなという感じだ」とこぼした。

 

 さて先日はG20サミットが開催されたわけですが、首脳宣言が初日に発表されるなど異例の展開もありました。この首脳宣言、どうも政府関係者によると日本の与り知らぬところで決まったようです。まぁ日本政府に外交上の意思はない、アメリカの意向に沿うだけの国を相手に合意を取り付ける意味などないと判断されたのでしょう。アメリカがインドを友好国と見なせば日本もそれに倣うだけですから、日本を蔑ろにしたところで何かが変わるものでもありません。

 なお採択された首脳宣言では第8条に「ウクライナにおける戦争に関し(Concerning the war in Ukraine)」と記されています。日本のように一方の立場で参戦している国ですと「ロシアによるウクライナ侵略」みたいな表現になるのに対し、インドが議長国として採択した宣言は至って客観的な表現に収まっています。実際に私もブログ上では「ウクライナを舞台とした戦争」と可能な限り中立の表記に努めてきただけに、インド政府のバランス感覚にはうなずけるところです。

 現実問題として、2013年から2014年にかけてウクライナでは反ロシア派によるクーデターがあり、反クーデター勢力と西側諸国の承認を得たクーデター政権による内戦が続いていたわけです。この内戦にロシアが直接介入を開始したのが2022年で、あたかものそのときから戦争が始まったかのようなミスリーディングが日本国内では繰り返されて来ました。そしてNATO諸国はクーデター政権の2代目であるゼレンスキーへの大々的な支援によってロシアと戦う役割を担わせています。

 まず第一に反ロシア派のウクライナ人と親ロシア派のウクライナ人の戦いがあり、日本政府は前者を支援し行者に制裁措置を科してもいるところです。そして大きな枠組みとしてはウクライナを傭兵国家に仕立て上げるNATOとロシアの戦いがあります。これをロシアとウクライナの二国間の戦争であると見なすことは現在に至るまでの背景から目を背けることに他ならず、平和を希求すればこそ絶対にあってはならない振る舞いであると言えるでしょう。

 日本の報道を見る限り、キエフ政権の軍隊は太平洋戦争当時の日本軍のような勢いで着実な勝利を重ねているようです。ただ不思議なことに長期的なスパンで見ると膠着状態は続いたまま、戦局が大きく動く様子はありません。国内主要メディアの伝えるところが正しいのであればロシア軍は甚大な損失を被っており、NATOとキエフ政権の軍隊によって壊滅させられていてもおかしくないはずですが、なぜ事態には目立った進展が見られないのか、それは考えられる必要があります。

 これもやはり偏向報道のたまもので、ゼレンスキー陣営に関しては軍の被害が報道されない、あたかも民間施設だけが破壊されたかのように日本のメディアでは伝えられているところが大きいでしょう。逆にロシア側は軍の被害だけが尾ひれを付けて伝えられるわけです。現実には戦争である以上、お互いに無傷ではいられません。双方の軍に損耗が生じるのは当たり前のことなのですが、上記の偏向報道の結果としてロシア側だけが一方的に軍を失っているように見えてしまうと言えます。

 そうでなくとも日本は気持ちの上では戦争当事国、キエフ政権側に立った一方的なプロパガンダを垂れ流し続けてきました。報道当初は真偽のほどが分からないものも大半は実体を伴わないことが後に明らかになったわけですが、このデマを垂れ流してきたメディアや大学教授連中が糾弾を受けた事例を私は知りません。結局のところ、ロシア側を貶め、NATO陣営の士気を鼓舞するようなものになっていれば何でも受け入れられている、それが我が国の戦時報道の実態ではないでしょうか。

 現実に向き合う、というのは日本人の最も苦手とするものなのかも知れません。ウクライナを舞台にした戦争においては典型的で、ひたすらゼレンスキー陣営の大本営発表をそのままに喧伝することに努めてきたのが我々の社会であると言うことが出来ます。しかし日本が「国際社会」と呼び反ロシアで盛り上がっている白人サークルは世界における少数派に過ぎない、日本が「グローバルサウス」などとレッテルを貼っている国々こそが多数派として力を付けている中で、我が国の立ち位置はこれで良いのかと、大いに未来を憂うばかりです。

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