非国民通信

ノーモア・コイズミ

目指せ、構造回復

2012-11-28 23:00:42 | 政治・国際

業界団体票、自民回帰の動き…民主が強い警戒感(読売新聞)

 2009年の政権交代を機に民主党支持に回った業界団体で、衆院選(12月16日投開票)を前に自民党支持に回帰する動きが出てきた。

 自民、公明両党の政権復帰が現実味を帯びているとみているからだ。民主党に配慮して「自主投票」とする団体が多いものの、自民党は「多くの票を見込める」と期待を高めている。

 日本歯科医師会の政治団体・日本歯科医師連盟(日歯連)では、地方組織の多くが自民党支持に回るとの見方が広がっている。日歯連は今回の衆院選の対応を地方組織の判断にゆだねているが、日歯連が10月31日、東京都内で開いた臨時評議員会で、来年の参院選の組織内候補として石井みどり自民党参院議員の推薦を決めたからだ。

 日歯連は政権交代後の10年参院選で、いったん決めた自民党支持を撤回し、民主党の西村正美参院議員を支援した経緯がある。

(中略)

 これに対し、民主党は警戒感を強めている。細野政調会長は24日、兵庫県宝塚市での街頭演説で、「自民党の政権公約には、業界団体の要望が丁寧に全部書いてある。建設業界、農協、医師会など、一つ一つの業界向けの政策を税金で行う自民党政治の本質が出ている」と批判した。

 

 業界団体の支持もまた自民党へと傾いているそうです。まぁ民主か自民か、果てまた「第三極」かと限定された中から選ぶのであれば、自民を取る人が多いのは致し方ないところでしょう。民主党の議員達には、一度は自民から奪った支持がなぜ今になって離れていこうとしているのか、よくよく考えて欲しいところです。しかるに引用した最後の行はどうでしょうか。自民党政治の本質云々と細野氏は述べているわけですが、どうにも私には民主党政治への反省が根本的に欠けているように思われてなりません。いずれまた自民党の失政によって有権者が他の政党を探し出す日も来るでしょうけれど、民主に代わりが務まる日が来るとはとても……

 もし細野の語る通りであるのなら、概ね業界団体の動きは健全だと言えます。どちらの党の方が自分たちを取り巻く環境を改善してくれるか、それを基準に支持を決めようというのですから。これでもし反対に自分たちを窮地に陥れるであろう党の方を支援しようとしているのであれば、頭がどうかしていますよね。自分たちの要望に具体的に応えてくれる、そういう党を選ぼうとしている業界団体は健全です。

 しかし、健全とは言えない組織もあるわけです。例えば、今なお民主党支持を堅持する連合など。どうにも民主党政権が連合所属の組合員にとってプラスになるとは考えられないですし、むしろ枝野などは労組からの組織的な支持を恥部であるかのごとく隠そうとしてきた辺り、蔑ろにされてきたと言った方が適切でしょう。ならば民主党「以外」の党に鞍替えすると揺さぶりをかけても良さそうなもの、単なる脅しと侮られないためにも実際に他の党を支援してみるくらいしなければダメです。しかし、周りに諭されてもなぜかDV夫から離れられない人みたいな振る舞いを続けています。

 中小の労組でもネット上での活動に熱心なところは組合員の便宜よりも脱原発が第一、本来の存在理由を捨ててプチ政治団体と勘違いしている類も散見されます。確かに政治へのコミットが「手段」として必要になる場面もあるでしょうけれど、それで組合員を守れるのやら。まぁ自分たちの「利」を守ろうとする行為がネガティヴに受け止められる風潮は変わっていません。ならば自分たちの利益のために活動するのではなく、己を省みず世のため人のために働いているのだと、そう振る舞うことで世間の理解も得られるとでも考えているのでしょうか。人権感覚が問われるのは誰からも共感される人の人権ではなく世間を敵に回した人(犯罪者など)の人権が脅かされているときです。そして電力会社社員の労働者としての権利が著しく蔑ろにされている今こそ、労働者の権利への意識が問われるところなのですが。

 小泉純一郎以降、日本の政治は「利」から「罰」に大きくシフトしたように思います。何か「悪い奴」を名指して、その打倒を訴えることで有権者の支持を集めるのが常套手段になりました。抵抗勢力、古い自民党、既得権益、官僚(公務員)、原発(電力会社)、中高年正社員、社会保障受給者等々、それが本当に「悪」がどうかはさておき、「悪」に見立ててはそれを「やっつける」姿勢を披露することで正義のヒーローを演じようと努めてきた、それが日本におけるモダンな政治家像だったはずです。

 今後も引き続き勧善懲悪型の政治を続けることしか頭にない政治家にとって、「業界団体の要望」に丁寧に応じる姿勢を見せるなんてのは悪徳でしかなさそうです。そうではなく、自らに「利」を引き寄せようとする人々を不当な受益者と見なして攻撃する、これが「政治家として当然あるべき姿勢」だと思われがちなのではないでしょうか。少なくとも、細野はそういうタイプだと推測されますし、その細野を要職に置く民主党執行部も大差ないと考えられます。

 しかるに、そうやって自分の隣人を「悪」として手当たり次第に叩いてきた結果として日本の惨状があるわけです。追い求められるべきは「罰」ではなく、やはり「利」ではなかったかと。人々の声にもしっかりと耳を傾けては「利」を提示する、そんな政治を取り戻さなければならない時代に来ているように思います。この十数年来の退行を続けたいのであれば、細野の自民党批判は正しいかも知れません。しかし、もう一度前に進みたいのであれば、誤ったものを元に戻すことが必要です。

 

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3 コメント

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例えとして適切かは分かりませんが (ノエルザブレイヴ)
2012-11-29 22:17:00
犯罪者に対し「出来る限りの罰を!」と叫ぶのは「罰」でしょう。で、「また間違いを犯してこちらに迷惑がかかるのが嫌だから更生支援をしっかりすべき」と叫ぶのは「利」なのでしょうかね。

いずれにせよ、対象を傷つけることを競い合うことに正直私は疲れています。
あと、例えば公務員や電力会社の社員といった人々に「現状への不満を一言も漏らすな」といわんばかりの態度を取るのもどんなものでしょう。
返信する
Unknown (非国民通信管理人)
2012-11-29 23:20:34
>ノエルザブレイヴさん

 情けは人のためならず、とも言います。これと同様に「利」だって他人のためばかりではない、いずれは巡り巡って自分や社会全体の説くにもなるものなのだと思うのですが、世間で支持を集めるのは専ら「罰」の強化を叫ぶ人ばかりなのですよね。安倍晋三/自民党も大概ですけれど、では他の党はどうなのかと言えば、どうにも別の対象への憎悪を滾らせるばかり、やはり他罰的な傾向では変わりがなくなってしまっているわけで、うんざりします。
返信する
Unknown (ノエルザブレイヴ)
2012-12-15 11:08:13
あと気になるのは、安心して叩けるネタに皆さん安易に飛び付きすぎなのではないか、罰を安易に求めすぎなのではないか、ということですね。
返信する

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