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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Star Wars Episode III:Revenge of the Sith.

2005-06-27 03:06:37 | 映画
───「これで自由は死んだわ 万雷の拍手の中で」
                 -パドメ・アミダラ
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先日観てきました。
率直な感想を述べると、とても重かったです。
展開はただひたすら終盤に向けてダウナー一直線。
物事がジリジリと最悪の方向へと布石を巡らし、
遂には運命の瞬間が訪れてしまいます。

※ ↓以下、ネタバレ注意↓

ダース・ヴェイダーの誕生と、銀河共和国の帝国制への転身を描くのが大筋。
テーマとしては業に支配にされる善悪の区別と拮抗が扱われています。
万物の流転と調和を重んじるジェダイと、万物を制御し、
生命を死から救う力も備えるというシスの教義。相対する
二つの規律への疑念と板挟みに陥った英雄アナキン・スカイウォーカーは、
最愛の人の命を救いたい一心から、闇の所業を犯してしまいます。

彼を暗黒面へと陥れたのは、「情と執着」でした。
情の強さから数々の命を救い、心優しい一面を見せる一方で、
その性質が翻ることにより、全く逆方向の行為と結果を齎してしまいます。
要は「自分のすべきこと」が導く目的の成就よりも、
それに起因する感情的な動機と衝動に囚われることで、
師や同志を裏切り、子供達を殺した後、自己正当化の為に一転した論理を振るう、
背徳的とも言える業を差別する規範さえ見失うことになるのです。
しかしこの作品の最大の見所でカタルシスを感じられるのが
その一連の出来事であり、灼熱の紅彩の中で青色のライトセーバー同士が
閃光を衝突させる様はショッキングであると同時に、
退廃的な恍惚感さえ覚えてしまいました。
クライマックスはアナキン vs.オビ=ワンと皇帝 vs. ヨーダのセーバー戦が
同時進行で畳みかけるように描かれ、ここぞというシーンで挿入される
エピソード1の音楽「運命の闘い」で興奮は最高潮(笑)
ただその結末はあまりに酷く、おぞましいものでした。

悔やましいのは、彼が至る処で間違いを振りかえり、過ちを押し留め得る瞬間があったこと。しかし状況がそれを赦しませんでした。
「失いたくないが故に、それを失うことになる」
諸悪の根源で黒幕であった皇帝自身のこの言葉が、善悪両者の悲哀を孕んだエピソード3の通奏低音として響いているような印象を持ちました。

ビジュアル面では、新三部作の過去2作より更に大きく深化、飛躍していて、冒頭のコルサント上空の宇宙戦では速度の対比を効果にしていたり、圧倒的な立体感覚と空間処理にリアルに浮遊感を覚えました。(フワッと)これは大画面で是非体感してください!それにこれまでは「ハイ、ここが○○星の△△ですよ~」みたいなのっぺりとしたCGセットの世界がそこにあるような感覚でしたが、今作ではしっかりとその奥行きと多側面を捉えられるようになっています。正直前2作は旧3部作とは世界観が乖離しているように思えてならなかったのですが、今作は戦時中という時代設定もある為か、かなり旧作に近い雰囲気を感じられるのも特徴。旧3部作を観て漠然と空想を広げていた広大で神話的な宇宙が、ここに来てはじめてビジュアルに裏打ちされたと言っても良いかもしれません。

宇宙船の形状も示唆的なので注目。今回は帝国樹立の寸前ということで、旧3部作で描かれる帝国軍と反乱軍、両者の宇宙船の特徴を一つに兼ね備えています。


そんなわけで一回観た印象をつらつら書いて見ましたが、
後最低10回は見に行くつもりなので感想も当然変わるかも(笑)
後半部の展開が神憑り的なので、アカデミー編集賞を取れるかも。。


Anakin's dark deeds

ジェダイ聖堂の殺戮と、オビ=ワンがパドメにアナキンの罪を告げ、
彼女に彼の居所と妊娠について迫るシーンで流れる音楽。
とても悲痛で美しいミニマルな旋律が後半部に浮上します。
スターウォーズでこの種のフレーズが聴けるのは異例。


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