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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Camille Thomas, Beatrice Berrut / "A CENTURY OF RU

2013-06-19 21:13:54 | art music
Acorc



□ Camille Thomas, Beatrice Berrut / "A Century of Russian Colours" / Rachmaninoff, Kabalevsky, Auerbach

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Auerbach: Prelude No. 16 (Tempo di valzer)
Auerbach: Prelude No. 12 (Adagio)
Kabalevsky: Andante molto sostenuto

Release Date; 22/05/2013
Label; Fuga Libera
Cat.No.; FUG 712
Format: 1xCD

>> http://www.outhere-music.com/en/albums/a-century-of-russian-colours-fug-712


Cammile_beatrice

>> http://www.camillethomas.com
>> http://www.beatriceberrut.com


>> tracklisting.

Sergei Rachmaninoff (1873-1943)
Sonata in G minor for Cello and Piano, op.19 (1901)

01 Lento. Allegro moderato 10’32
02 Allegro scherzando 6’26
03 Andante 5’35
04 Allegro mosso 11’17

Dmitry Kabalevsky (1904-1987)
Sonata in B flat major for Cello and Piano, op.71 (1962)

05 Andante molto sostenuto 11’37
06 Allegretto con moto 6’32
07 Allegro molto 8’32

Lera Auerbach (1973) Seven Preludes from 24 Preludes
for Cello and Piano, op.47 (1999)

08 Prelude No. 19 (Allegro appassionato) 1’04
09 Prelude No. 20 (Giocoso) 1’12
10 Prelude No. 6 (Andante tragico) 2’36
11 Prelude No. 15 (Allegro con brio) 0’57
12 Prelude No. 16 (Tempo di valzer) 3’02
13 Prelude No. 12 (Adagio) 5’18
14 Prelude No. 24 (Vivo) 4’46


Camille Thomas, Cello
Beatrice Berrut, Piano

Recording: 4-7 January 2013, Flagey, Studio 4, Brussels (Belgium)
Recording producer, sound engineer, editing, mastering: Aline Blondiau
Cover Picture: Camille Thomas (right) & Beatrice Berrut (left) © Aline Fournier
Design: mpointproduction
Proofreading: Charles Johnston
Executive producer: Frederik Styns





"the White Russia of the early years with the melancholy, luminous Romanticism of Rachmaninoff, the sombre, poignant universe of Kabalevsky at the height of Red Russia, and the volcanic energy and poetic force, always on the verge of rupture, of Auerbach, one of the last artists to emigrate from the USSR. These are the worlds to which we hope to transport you. Bon voyage!"


Camille Thomas & Beatrice Berrut (May, 2013)




パリ出身の若き美貌のチェリスト、カミーユ・トーマス(25歳)と、ジュネーヴ出身のピアニスト、ベアトリス・ベルート(28歳)による、近現代ロシアの黎明を灯した色彩豊かな楽曲を、瑞々しく豊穣な音色で奏でたデュオ・アルバム。


カミーユとベアトリスはそれぞれ、数多くのプライズを世界的コンクールで獲得する、将来を嘱望されたソリストであり、お互いに国際色豊かな環境の下、その音楽性においても、ナショナリズム・民族的な題材に積極的に取り組む姿勢が評価されている。




ラフマニノフ、カバレフスキーといったロシア帝国革命期~旧ソ連の権勢を誇った作曲家から、アウエルバッハ(アヴェルバフ)のような、旧ソ連から亡命した最後の音楽家を取り上げた系譜は実に興味深く、スラヴの感性が辿った時代背景と作曲技巧の対称性を一つの作品として連綿と紡ぎ、どこか藍色を帯びた採光の変化として魅せるディレクションは特筆に値する。



19世紀、ロシアでは自国の音楽を国際的な主流から区別し、独特の音色を確立しようとする動きが勃興した。Mily Balakirevなどが、その第一人者とされる。結果、バラキレフの強い民族主義の下、ドイツの衒学表現の影響を強く受けていると見なされた弦楽やピアノ室内楽は、一連の運動から取り残された形になったという。


バラキレフ一派の中で、室内楽の更新に強い関心を示したのは、当時ハイデルベルグ大学において化学研究に従事するアレクサンドル・ボロディンのみであったが、学生間での草の根運動の甲斐あって、同世代から初めてロシア室内楽の伝統的な形式が定義されるようになる。チャイコフスキーのピアノトリオOp.50や、弦楽六重奏といった仕事は、まさに最初の大成を為したと言える。そしてラフマニノフなどの若い世代が追随し、皮肉にも最終的には、ロシア貴族の伝統的な文化価値の基盤を築くに至った。




アルバム序盤を飾るラフマニノフの『チェロソナタ ト短調 (Op.19)』は、牧歌的なモチーフから、生きる苦悩や悦びを切り取ったかのような激情の旋律の振れ幅が大きく、低迷期にあった彼の精神の不安定さと衝動性を反映するものとして有名である。

とりわけ耽美でロマンチックな主題が台頭するアンダンテ楽章は、ベルートの一粒一粒零れるような繊細なタッチにより、このアルバムの最もアトラクティブな一面を彩っている。



次いで重厚なチェロの旋律がリードするカバレフスキーの『チェロ・ソナタ 変ロ長調 (Op.71)』は、彼の厳格で正確無比な美学の追求が、恐ろしいほどまでに高純度で、しかし何処か暗澹たる響きを持って奏でられる逸曲である。


ソ連共産党員も務めたカバレフスキーは、愛国主義に根ざした作曲活動を繰り広げ、当時のモダニズムとは一定の距離を保っていたものの、その洗練に研鑽を重ねた技巧の深化・複雑さは正しく目を見張る物であり、特にそのチェロ・ソナタは、一連の時代背景と切り離しても非常に美しい副産物として評価されている。

互いの旋律が丁々発止に入り乱れるAllegretto con motoにおけるカミーユとベアトリスの演奏は超人的で、寸分違わぬ音色と抑揚の的確さは、何よりもアキュレーシーを重用視した作曲家の厳格な意図を存分に反映し、敬意を示したものだろう。



最後に登場するレーラ・アウエルバッハは、上の二人の人物像とは好対照と言えるに違いない若手女性作曲家であり、詩人、小説家でもある。

チェリャビンスク生まれの東欧系ユダヤ人である彼女は少女時代、ソ連解体を待たずにアメリカに移住。自由の地でピアノの才能と独創性を育み、自身が演奏家にとって最大の賛辞であるヴィルトゥオーソと評されるまでに成長した。彼女にとってロシアの大地は、故郷というよりも『もはや外国』なのだと自身で語っている。



然し乍ら、その精神世界の根流にはロシア伝統文化の魂が引き継がれており、アウエルバッハの作風は、19世紀に端を発するロシア伝統音楽の系譜に名を連ねている。斯様に彼女の作品は、歴史的にロシアでしか生まれ得なかったロシア音楽という系譜へのアンチテーゼを含むのかもしれない。


彼女が26歳、つまり今回の演奏者と同年代の頃に製作した『24の前奏曲』からの七曲は、先人達が確立したロシア音楽の基盤にしっかり立ちながらも、その楽曲構造はアヴァンギャルドの脱構築やサチュレーションに通じる意匠により、大胆な不協和音や飽和によって幻惑的な響きを放っている。



シュニトケの影響を強く窺わせるアウエルバッハの『24の前奏曲』への挑戦は、元々はJ.S.バッハの平均律クラヴィーアの思想に基づいており、ショパンを皮切りに歴代の名だたる音楽家が表題の自作曲を披露してきたものだが、彼女の方法論は、それまでの全ての蓄積を覆し、新たに創造するものだ。


アウエルバッハの音楽とは、創り手と聞き手、あるいは寄せては返す生成と予期、その相互作用と干渉・反発のコンポジットが産み出す、破壊的な響きである。それは型枠通りの感情や呪術と対をなすように、音楽という表現手段の根幹に背くものなのかもしれない。

しかし、この退廃的な光芒こそが、何よりも人間的な感情を掻き乱し、ある種の崇高な詩的韻律にまで昇華されている。次世代の演奏界を担うカミーユとベアトリーチェが、『ロシアの色彩の始まり』をテーマにした作品において、この難解な楽曲に挑んだ意味は計り知れないほど大きい。







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