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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

胎蔵界曼荼羅供

2007-01-05 18:57:13 | art music
??あきらけく 後の仏のみ世までも 光伝えよ法の灯火
             -伝教大師

Mandala1
(胎蔵界曼荼羅)


□ 『比叡山延暦寺の声明 :胎蔵界曼荼羅供』 (VZCG-233)

佛讃
九方便 廻向方便
四智讃梵語 乙様

マンダラに捧げる密教で最も重要な法要、総本山比叡山での録音。真言における日本のお経は音楽的にも高度に洗練されており、緻密なポリフォニーと倍音の響きは、とかく宗教において音楽と言う文脈と乖離された「声明」について、他の何物でも無い「音楽」としての楽しみ方を誘惑するようです。

真言(マントラ)は、そもそも古代インドの祈祷の際に祭壇(ヴェーディ)に対して祈願し歌う修法であり、リグ・ヴェーダのサンヒター、タントラ教のシャクティ崇拝に起源を持ちますが、東方への伝播にしたがって、祭具が神々を描いた布へと変化し、それが曼荼羅と呼ばれるようになりました。

曼荼羅とは、サンスクリット語の「maNDala(円環)」に由来し、『マンダ(神髄)』を『ラ(持つ)』の接尾語であると同時に、「観念の世界」と「世界の外観」の一致、すなわち悟りを象徴するものでもあります。真言を唱えることで、この観想と心の統一を計るのが密教の修法となりました。これは密教でも用いる瑜伽(ヨーガ)という語の意味にも通じます。

Kannon
(延暦寺:聖観音菩薩)
余談になりますが、この延暦寺の横川中堂に本尊として祀られている藤原時代の『聖観世音菩薩』の立像は、数多の観音に変化する前の最も基本的なタイプで、六観音の中では「未来を護る」仏とされています。観音の語源もまた、サンスクリットの「Avalokitesvara(世界を自在に観る)」存在を指すものであるとされていて、この『観想一致』というキーワードは、ゾロアスター以前の遠い系譜から、現代日本の仏教の支流に至るまで貫かれているテーマなのではないかと思います。

(ちなみに、最澄が延暦寺の起りである一乗止観院(現在の根本中堂)に自ら刻んだ薬師如来像は、「現在」を、西塔釈迦堂にある釈迦如来像は「過去」を護る仏であり、延暦寺には「過去」「現在」「未来」を見守る守護仏が介していることになる。)

しばしばペルシャ神話のアナーヒター(シヴァ神と習合、ゾロアスター以前は河の名前を冠した地母神)、インド神話のラクシュミ、あるいはサラスヴァティーと比定される観音は、それらとの共通項として水を司るものとして描かれます。特に学問・知恵・弁説・音楽を司る「母たる女神」サラスヴァティーは、ギリシャ神のムネモシネーにも対応しているとも思えるのですが。。

さて、大きく逸れましたが、ここで歌われている「曼荼羅供」は、「宇宙の実相」の仏格である大日如来(サンスクリットでは"Maha=Vaieocana"=「太陽の光」を転じて仏格とした)を供養するもので、「胎蔵界」は716年に唐で翻訳された「大日経」における、大日如来(=宇宙)の司る物理的な「理」「相」に関わるものとされています。これに対し、「金剛界」は、その「智」を顕現した観念・精神を扱い、両界の法儀にはそれぞれ違った法要と声明が用いられます。

□ 九方便 廻向方便(・・・金剛界の『五悔』に相当する礼懺)

    所修一切 衆善業        利益一切 衆生故
    我今尽皆 正廻向        除生死苦 至菩提
    帰命頂礼 大悲 毘慮遮那仏 

(※・・・日本における曼荼羅の流布については、神格化の著しい空海による功績が最も有名。天台密教においては、最澄と空海の一時期の交流と決別、その後、両宗派が大陸側から競って宗教を導入しようという情報戦を経て、真言宗と多くの共通点と深刻な差異を設けることとなったが、インド密教と連携した空海の齎した純度の高い(あるいは、最小のレーベンシュタイン距離を持っていた?)宗教観にアドバンテージがあった。その後の系譜は、史実に推して知るべしである。)

数多の信仰が、その根を絡ませ合い、それぞれが形式や音楽において、幽玄で微妙な違いの響きを奏でている。。不可知論者であっても、現実に五感を刺激するその芸術とダイナミズムに魅了され、精神の血肉となっているはず。(あるいは信仰とは、自身の内で揺るがざる不信の反像なのかも)信仰の根底を成すものは、豊穣な精神世界と芸術性が支える、心理的な効果に拠るものが大きいのだと確信させてくれます。もちろん、現在に至るまで、信仰や利権争いが引き起こした、多くの血なまぐさい衝突を経てきたものでもあるのだけど。


□ Clip.

量子情報科学:
アクティブフィードフォワードを使った高速の線形光学量子計算
High-speed linear optics quantum computing using active feed-forward
One-way quantum computation is based on 'cluster states' (that is, highly entangled multiparticle states). This paper experimentally implements active feed-forward technique in such a system, a crucial element in the approach to correct for random quantum measurement errors.
Robert Prevedel et al.
10.1038/nature05346

Abstract: http://www.nature.com/nature/journal/v445/n7123/abs/nature05346.html
Article: http://www.nature.com/nature/journal/v445/n7123/full/nature05346.html


quote;
As information carriers in quantum computing, photonic qubits have the advantage of undergoing negligible decoherence. However, the absence of any significant photon?photon interaction is problematic for the realization of non-trivial two-qubit gates. One solution is to introduce an effective nonlinearity by measurements resulting in probabilistic gate operations.



宇宙論:
古代の星の光のきらめき
Cosmology: Ripples of early starlight
After all known sources are accounted for, puffy blobs of infrared light persist on deep-field telescope images. Evidence is mounting that these could be the signatures of stars in early 'protogalaxies'.
Craig J. Hogan
10.1038/445037a

http://www.nature.com/nature/journal/v445/n7123/full/445037a.html



□ News.

>> 「中国、最新鋭戦闘機“殲10”を実戦配備」 (朝鮮日報)

文匯報は「“殲10”が日本の自衛隊のF15、F16型機よりもやや優れているため、日本でも最新型戦闘機の開発を求める声が強まっている」とも報じた。


確かに。
既にアメリカではF-35に代表される次世代戦闘機をテスト中で、
北欧、欧米諸国~トルコ、オーストラリアまで切り替え予定。
日本は購入財源が足らない?せめてF-22に。。。

<参考>
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-35_(戦闘機)


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