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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Deep Forest / "Deep Africa"

2013-03-17 21:04:23 | music12
Deep_africa



□ Deep Forest / "Deep Africa"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Yelele
How Long
Tiko

Release Date; 02.April / 2013
Label; Universal
Cat.No.; 3717526
Format: 1xCD, digital.

>> http://www.deep-forest.fr/


>> tracklisting.

01. Amber Opening
02. Dub Africa
03. Mosika
04. Yelele
05. Bedi
06. Atali Wowo
07. Wasis
08. Zoulawa
09. Ho Mambo
10. Alaake
11. Lomo
12. How Long
13. Tiko
14. Mosika Ending

All songs performed by Deep Forest (Eric Mouquet)
Drums: David Fall
guitar: Guimba Kouiate
Bass: Alune Wade
Vocals: Zama Magadulela, Lokua Kanza, Blick Bassy, Wasis Diop, Olyza, and Dany de Mouataba




Deep Forestこと、Eric Mouquetが世界各地の土着音楽を取材したエレクトロニック・ミュージック・プロジェクト、"Deep Project"の第三弾として放つ"Deep Africa"。


タイトルの通り、今作はDeep Forestとしての原点に立ち返り、Baka Pygmiesの民族音楽をコラージュした1stアルバム同様、アフリカをテーマにしている。しかし内容はアフリカ大陸の広汎に渡る音楽素材をもとに構築される。

Deep Projectの先行2作、"Deep Brasil"と"Deep India"とは異なり、今回は取材地域出身の特定アーティストを連名として冠していないが、クレジットに記述されているとおり、アフリカの現地ミュージシャンを多数招いたコラボレート作品であるという方向性は変わっていない。




"Amber Opening"で示される通り、今作はどちらかというと、現地の伝統音楽のエスニックな土臭さよりも、ドリーミーなシンセサイザー(あるレビューサイトは、Pink Floydの"Shine On You Crazy Diamond"を引き合いにしているほど)や、"World Mix"のようなハウスビートがふんだんに使用され、エリックの創作性が前面に出た内容となっている。

"Music.Detected_"の方法論と1stアルバムの様式を融合させたような形とも言えそうだ。



同時に、90年代のアルバム、"Boheme"、"Comparsa"のような、現地ミュージシャンのパフォーマンスから溢れ出る極彩色のエナジーを感じさせるような、往時の力強さはやや抑えられているものの、"Deep Africa"における声の身体表現は、コーラスワーク、サンプリングともに非常に繊細に計算され尽くした、まさにオブリガードの意匠を極めたもので、おそろしく丁寧に練り上げられた楽曲が粒揃いと言える。



ヴォーカリストや器楽演奏は、南アフリカ、コンゴ、カメルーン、セネガル、コートジボワール、マリなど、アフリカ各地から、勢力的に活動を行う著名人を起用。"Deep India"とは異なり、扱われる主題は古来の伝統音楽そのまま形というよりも、パフォーマーのルーツに根ざしたフォークロア風の歌謡が主立っている。



シングル・カットされる予定であった"Dub Africa"は、まさに失われた2000年代の空白を経て転生した"Deep Forest"のエッセンスを凝縮した象徴的な楽曲である。ジャズ・テイストを醸し出す"Mosika"は、Ericに大きな影響を与えたJoe Zawinulを彷彿とさせるもので、"Deep India"でも同様のパフォーマンスを披露している。



"Yelele"と"Atali Wowo"は、"World Mix"にも通づる疾走感に溢れたトラック。初期Deep Forestの多幸感に満ちたハウスチューンだが、当時よりもクセが少なく、ドライビングミュージックにも適した響きとなっている。コートジボワールの女性シンガー、 Olyzaが湿っぽく歌い上げる"Bedi"は、アルバム中でも異彩を放つ美しいバラード。


国際的にデビューも果たしているセネガルのシンガーであり、Jazzistでもある、Wasis Diopの渋いボーカルとエスニックコーラスとの対比が眩しいダウンテンポ、"Wasis"は彼自身の名を冠した楽曲。後半の陽気な展開は"Comparsa"の懐かしい作風を思い起こさせる。

"Tiko"では、"Sweet lullaby"を彷彿とさせるアフリカン・チャントと、Deep Forestの壮大なアンビエントの音色が、サックスの叙情豊かな旋律をまとって、原初の大地を紫気に染め上げる宙の黄昏を眼前に浮かび上がらせる。セネガルのベーシスト、Alune Wadeの演奏も素晴らしい。


また、どの曲に参加しているのかは現時点では不明だが、カメルーンのボーカリストDany de Mouatabaは、myspace上でもDeep ForestやEnigma直系のニューエイジ楽曲を自ら発表するコンポーザーの顔も持っている。 http://www.myspace.com/mouataba



そして"How Long"、アフリカン・コーラスとエフェクト越しの英語歌詞が叙情たっぷりに歌い上げる内容で、同様にワールドミュージックを欧州のPOP市場に持ち込んだPeter Gabriel ("While the earth sleeps"で共作)の影響も強く窺える。テクノコンポーザーとしても、今も衰えない鋭いセンスを披露しており、この曲に至って、エリックを90年代ニューエイジ・ミュージックの忘れ形見として見る評価を改めざるを得ないだろう。

"How long it takes, how many years, how long to save the world?"


先進諸国による資源の搾取と飢餓、人権問題、未だ各地で紛争が絶えず、およそ人類の抱える負の部分の皺寄せの大部分を背負わせされているアフリカという大地への祈りと、音楽という共通言語による世界への願い。

彼が四川大地震や東日本大震災の被災者者に捧げた"won't be long"とは対になる、アイロニーも含んだ曲想であることは間違いなさそうだが、これはどこか人類全体に根源的なノスタルジーと原体験を感じさせるアフリカの風土・文化への、テクノロジーサイドの彷徊と憧憬を顕すものであるのかもしれない。







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