lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

EarthEar Environmental Sound Art: Label Relaunch!!

2009-11-04 07:56:43 | art music
Eesa



□ EarthEar Relaunch: Radio, Sound Blog, CD collections

>> http://earthear.com/

・Copious amounts of streaming audio, with tracks from all 17 EarthEar releases.
・EarthEar Radio, a pop-out audio player that offers a great introduction to this vibrant field
・EarthEar Sound Blog, featuring audio and video from EarthEar artists and other friends worldwide. Add us to your RSS feed, or sign up for email notifications of new posts; they're going to be fun!
・Artist pages with links to their sites and other online destinations that they recommend
・An EarthEar Sound Map, where you can explore our CD and blog audio by region.
・EarthEar Collections, specially priced themed sets of EarthEar CDs
・The Big Sound: still central to our mission is sharing the breadth of this artistic medium ? EarthEar's releases offer a distilled version, but there's much more out there, and you can get started in exploring the rest of the field with our links to artists and labels.



汎地球上の「自然環境」や「民族文化」のマクロ・ミクロな素材を元に、フィールド・レコーディングや実験音響、サウンド・インスタレーションなどに代表される『環境芸術』を総合的に取り扱うミュージック・レーベルの一つとして、私が最も評価している"EarthEar"が11月より本格的に運営を再開しました!


2007年のサイト閉鎖以来、文化・芸術的観点からの非営利環境プロジェクトである" Acoustic Ecology Institute"に心血を注いできたというレーベルオーナーのJim Cummings。1999年の創立より10周年の節目となる今、人類が地球規模の問題に直面し、環境や文化の多様性の価値が更に問われている時代、こういったレーベルの必要性と存在意義に絶好の機宜を得たという所でしょうか。


活動内容ですが、より一層自社ライセンスのアーティストを中心にフィーチャーしていく方針のようです。数年前までは大きなカタログが同封されてきたものですが、今回からはディストリビューターとしてCDBabyと提携し、以前に比べて取り扱い規模を縮小した運営となっているようです。

サイトでは多くのサンプル音源が整理・公開されていますが、"Earth Ear Radio"と題したコンテンツで包括的にチェックできる他、BGM的な流し方も出来そう。"Earth Ear Map"では、音源それぞれのテーマを取材した地域を世界地図上にドロップ。今後カタログの充実に伴って、利用価値が高まりそうです。




□ Recommendations.

さて、そんなEarthEarレーベルの素晴しい音源の数々から、私が個人的にお薦めしたいものを幾つかご紹介します。



Dreamsofgaia2009

□ V.A. / "Dreams of Gaia"

Beneath the Forest Floor

>> http://earthear.com/gaia.html

"EarthEar"レーベルの“顔”とも言うべきカタログ・コンピレーション。2枚組CDで48pに渡るブックレットが付属しています。"Environmental Sound Art"の何たるかを捉えるのに適したハブ的なアルバムで、一口に「環境音楽」とは括れない、自然や動物、そして気候から都市文化までをテーマとした、多様なジャンルの音楽が収められています。

Hildegard Westerkampの"Beneath the Forest Floor"や、Hans Ulrich Wernerの"Dreams and Memories"が秀逸。環境音採集家として権威的な存在であるDouglas Quinを擁するのもレーベルの強みと言えるでしょう。


フィールド・レコーディング素材の加工という音楽的意匠は、20世紀初頭の前衛音楽から最新のエレクトロニカまで、レコーディング・テクノロジーの幕開けと共に様々な試みと実践を積み重ねて来たものですが、同様のジャンルを扱うレーベルは世界中に無数にあれど、"EarthEar"の優れたコンセプトと質の高さが窺える完成度の高いアルバムに間違いなく、事実、"Dreams of Gaia"はセールス的にも稀に見る実績を挙げています。




Timebellsone2009_2

□ Steven Feld / "The Time of Bells 1"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Bormes

>> http://earthear.com/bells1.html

世界各地の日常や伝統を渡り歩いて、『鐘の鳴る風景』を切り取ったフィールド・レコーディング作品。Steven FeldのオウンレーベルVoxLoxとEarthEarのコラボレーション・アルバムとしてリリースされました。

この一作目では、フィンランドやギリシャ、フランスの村落を舞台に、教会や羊飼いの鐘が響く日常の光景を編集。あらゆる文化に根ざす『鐘』というものの役割と人々との関わりを克明に刻んでいます。




Lion2009

□ David Dunn / "The Lion in Which the Spirits of the Royal Ancestors Make Their Home: Vernacular Sounds of Zimbabwe"

Dawn Chorus including Besa Children

>> http://earthear.com/lioninwhich.html

こちらは環境音や自然音のブレンドから浮き彫りにされる、人間という種族の持つ原始的な特質や文化に焦点を合わせようとするもの。人類の起源たるアフリカの地で歌われる、生命力溢れるチャントの数々。文化的価値観の中では宗教や民族といった垣根に囚われた象徴でありながら、それは自然の中に写像されることで全く違った意味を帯びるのかもしれません。




□ Featured Release.

Ecoacoustic2009

□ David Monacchi / "Eco-Acoustic Compositions"

Echoes of a Sonic Habitat
Nightingale - Study

>> http://earthear.com/ecoacoustic.html


EarthEarのRelaunchに際しての記念すべきニューリリースとなるElectro-Acoustic作品。こちらはより電子音響・アンビエント的アプローチで自然音を扱っていて、現在のエレクトロニカに最も近い印象を与えるものとなっています。

水音、虫の鳴き声、クジラや熱帯雨林など、様々な音のピースを「音楽」を触媒として共鳴させたもので、時には伝統楽器を織り交ぜるという楽曲性も展開。ただ、そういった有為性はあくまで「最低限」に抑えられたものであり、自然音との調和と親和性を最優先においた意匠とのこと。


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実は今回のリニューアルで取り扱いを止めてしまった音源にもお薦めしたいものがあったのですが、その中でも、水の流れや雷鳴をコラージュしたEric La Casaの"Stones of the Threshold (Ground Fault Label)"や、タイの象楽団に取材した David Soldier & Richard Lairの"Thai Elephant Orchestra"(象が楽器を演奏する!)は、私にとっては正に必聴盤となっています。


原始に起源を有する音楽文化にあって、『時間と空間を記録する』という現代ならではの技術と発想に依拠する側面の強い『環境アート』としてのミュージック・ジャンル。その様式や在り方も無数にあれば、それぞれのリスナーの関わり方や、何より「楽しみ方」も実に多彩。

その可能性は無限、あるいは逆に画一的という評価も為されるでしょうが、今こうして自身を取り巻く文化や環境を顧みる必要性が声高に謳われる時流にあって、その価値を掘り下げ続けてみるのも道の一つかもしれないですね。